こうした課題解決は、材料研究部の得意とするところで、他社にはない特徴であった。
とても考え及ばないような技術を材料部門、研究部門が数多く提案した。
NSUタイプのオイルシールは、軸方向に金属のリングがはっていて、ローターの表面にサイドハウジングを押し付けるというタイプであった。ひとつのシールの中でローターが回転するから、こちらはオイルがのって、他方は掻いていかなければならない。ひとつのシールでノリとカキを両方やらなければならない。サーフィンで、どっちもやるというのが不可能と同じこと。ノルだけじゃなくて、カイていかなければいけない。これが難しい。
NSUは、金属リングを入れたタイプのオイルシールであったため、硬いので精度を上げても動かなかったり、漏れたりした。
そこで、マツダはゴム製のOリングを開発することにした。いってみれば剛と柔、NSUタイプが剛でマツダタイプが柔である。
ゴムみたいなものでシールしたらダメかと。ゴムは溶けるとか、洩れるとか言われたが、オイルがあるから、そんなに温度上がってるわけじゃないんじゃないかと考えて考案した。
そうしたら、信じられないことが判明した。温度を測ってみたら中が低かった。Oリングの一部が吸気サイドポートに常に接していて、冷却されていたのである。
Oリングは、最初は2本、途中で3本になって、最終的には2本になった。1本では機能しない。2本必要というのは、外側のシールのゴムは内側を向いていて、内側のシールのゴムは外側を向いている。外側のシールは、ガスにやられるので内側を向いている。内側のシールは、オイルの圧力で押されるので外側を向いている。
ゴム製オイルシールをはめる時に、溝のエッジで切れることがある。そこで、はめる治具まで考案した。
達富は、オイルシールの図面を1000枚も描いた。山本健一に200種類と言われていっぺんに200枚作図したこともあった。
サイドではないが、オイル消費を少なくさせるために、まゆ型のローターハウジングの表面もいろいろ変遷があった。
NSUのものは、ローターハウジングが鋳鉄製だったが、これはもう話にならないので、アルミ製にすることにした。
摩擦条件が、いわゆる叩き磨耗だから、クロームメッキのような堅い材料にしたほうが、磨耗もいいだろうということでアルミのケースの内側に、クロームメッキをすることにした。
アルミに直接クロームメッキすると、弱く剥離してしまうことから、鋳造アルミの表面に鉄を溶射して、研磨して、クロームメッキをする方法が採用された。
こうしたローターハウジングの加工は、当時のマツダが充実した材料研究組織を持ち、工作機械(内面工作機は国内シェアNo.1)部門を有していたことで初めて可能となったものであった。
とても考え及ばないような技術を材料部門、研究部門が数多く提案した。
NSUタイプのオイルシールは、軸方向に金属のリングがはっていて、ローターの表面にサイドハウジングを押し付けるというタイプであった。ひとつのシールの中でローターが回転するから、こちらはオイルがのって、他方は掻いていかなければならない。ひとつのシールでノリとカキを両方やらなければならない。サーフィンで、どっちもやるというのが不可能と同じこと。ノルだけじゃなくて、カイていかなければいけない。これが難しい。
NSUは、金属リングを入れたタイプのオイルシールであったため、硬いので精度を上げても動かなかったり、漏れたりした。
そこで、マツダはゴム製のOリングを開発することにした。いってみれば剛と柔、NSUタイプが剛でマツダタイプが柔である。
ゴムみたいなものでシールしたらダメかと。ゴムは溶けるとか、洩れるとか言われたが、オイルがあるから、そんなに温度上がってるわけじゃないんじゃないかと考えて考案した。
そうしたら、信じられないことが判明した。温度を測ってみたら中が低かった。Oリングの一部が吸気サイドポートに常に接していて、冷却されていたのである。
Oリングは、最初は2本、途中で3本になって、最終的には2本になった。1本では機能しない。2本必要というのは、外側のシールのゴムは内側を向いていて、内側のシールのゴムは外側を向いている。外側のシールは、ガスにやられるので内側を向いている。内側のシールは、オイルの圧力で押されるので外側を向いている。
ゴム製オイルシールをはめる時に、溝のエッジで切れることがある。そこで、はめる治具まで考案した。
達富は、オイルシールの図面を1000枚も描いた。山本健一に200種類と言われていっぺんに200枚作図したこともあった。
サイドではないが、オイル消費を少なくさせるために、まゆ型のローターハウジングの表面もいろいろ変遷があった。
NSUのものは、ローターハウジングが鋳鉄製だったが、これはもう話にならないので、アルミ製にすることにした。
摩擦条件が、いわゆる叩き磨耗だから、クロームメッキのような堅い材料にしたほうが、磨耗もいいだろうということでアルミのケースの内側に、クロームメッキをすることにした。
アルミに直接クロームメッキすると、弱く剥離してしまうことから、鋳造アルミの表面に鉄を溶射して、研磨して、クロームメッキをする方法が採用された。
こうしたローターハウジングの加工は、当時のマツダが充実した材料研究組織を持ち、工作機械(内面工作機は国内シェアNo.1)部門を有していたことで初めて可能となったものであった。