12.お尻から白煙 カチカチ山のたぬき
1963年7月には、開発中のロータリーエンジンは、後のL10Aコスモスポーツへと発展するプロトタイプのL402Aスポーツカーに搭載され、各種の実車走行テストが行われた。
すると、お尻から白煙を出して、カチカチ山のたぬき状態になった。
そんな煙っちゅうもんじゃない。火事だー。
NSUの原案は混合燃料であった。マツダは三輪車で混合燃料の経験がある。メータリングポンプで定量吸入をさせていた。噴射ではなく吸入だから、どうしてもシールが悪ければお尻りから白煙が出る。出る原因というものは、もちろんアペックスシールもあるが、頂点シールの方に頭が一杯で開発をやっていて、二次的に考えていた横の方、オイルシールとサイドハウジングにあった。
当初はNSUから帰って、チャターマークのアペックスシールに殆ど80%ぐらい研究対象を重点的に置いており、側面の開発にはあんまり手がまわらなかった。ところが、実用テストに入り、化けの皮が剥げた。
三角形のローターの細工精度や三角形のおむすびの内側のオイルシールだけではなくて、ローターを挟むサイドハウジングにも問題であった。サイドハウジングの平面度。しかもローターというのは揺動運動をすることから、側面が異常に磨耗する。
そういう磨耗をいかに防ぐかということが非常に重要になってくる。側面の製作精度はもちろん、耐磨耗性をどういう風にして確保するかということが大きな課題であった。材料研究部で、次から次へと新しい金属溶射をして、平面研削・研磨して、テストを重ねた。
しかし、なかなかうまくいかなかった。
発想を変えて、金属表面処理をトライしてみた。
そうしたら、ガス軟窒化処理が有効であることが判明し、磨耗問題が解決した。
通常、ガス窒化をやると母材が変形する。そうするとまた研磨しなければならない。これがまた大変だから母材が変形しない程度に薄化粧。さーっと表面をガス軟窒化して、その上を磨くとうまくいった。
とにかく処理が大変であったが、“ロータリーエンジン・スペシャルトリートメント”という名前を、山本健一がつけた。
1963年7月には、開発中のロータリーエンジンは、後のL10Aコスモスポーツへと発展するプロトタイプのL402Aスポーツカーに搭載され、各種の実車走行テストが行われた。
すると、お尻から白煙を出して、カチカチ山のたぬき状態になった。
そんな煙っちゅうもんじゃない。火事だー。
NSUの原案は混合燃料であった。マツダは三輪車で混合燃料の経験がある。メータリングポンプで定量吸入をさせていた。噴射ではなく吸入だから、どうしてもシールが悪ければお尻りから白煙が出る。出る原因というものは、もちろんアペックスシールもあるが、頂点シールの方に頭が一杯で開発をやっていて、二次的に考えていた横の方、オイルシールとサイドハウジングにあった。
当初はNSUから帰って、チャターマークのアペックスシールに殆ど80%ぐらい研究対象を重点的に置いており、側面の開発にはあんまり手がまわらなかった。ところが、実用テストに入り、化けの皮が剥げた。
三角形のローターの細工精度や三角形のおむすびの内側のオイルシールだけではなくて、ローターを挟むサイドハウジングにも問題であった。サイドハウジングの平面度。しかもローターというのは揺動運動をすることから、側面が異常に磨耗する。
そういう磨耗をいかに防ぐかということが非常に重要になってくる。側面の製作精度はもちろん、耐磨耗性をどういう風にして確保するかということが大きな課題であった。材料研究部で、次から次へと新しい金属溶射をして、平面研削・研磨して、テストを重ねた。
しかし、なかなかうまくいかなかった。
発想を変えて、金属表面処理をトライしてみた。
そうしたら、ガス軟窒化処理が有効であることが判明し、磨耗問題が解決した。
通常、ガス窒化をやると母材が変形する。そうするとまた研磨しなければならない。これがまた大変だから母材が変形しない程度に薄化粧。さーっと表面をガス軟窒化して、その上を磨くとうまくいった。
とにかく処理が大変であったが、“ロータリーエンジン・スペシャルトリートメント”という名前を、山本健一がつけた。