鉄人 須藤 將のホームページ

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ロータリーエンジン開発物語 その24

2010-01-24 05:53:47 | 車・バイク
13.挨拶回り

試作型コスモができて2年目、「山本君ちょっと旅行したい。国内旅行だから付き合ってくれって。まぁまぁ、付いてくればいいんだ」と松田恒次社長から声がかかった。

コスモで、松田恒次社長が自動車ショーに乗りつけて展示した後、まず行ったのが池田勇人首相のところ。朝早く行ったら、寝ておられた。山本健一は、松田恒次社長と応接間でで待っていたら、どてら着て眠そうな顔で入ってこられた。松田恒次社長が、「総理、その節は非常にお世話になりました(ロータリーのライセンス契約の政府認可をもらうのに当時難しい問題があり総理に頼んで解決してもらった)。お願いしてやったロータリーエンジンはこういうものです」と模型で説明して、「その報告に来ました、この山本が開発の責任者です」と紹介した。すると、眠そうな顔しながら池田首相が、「おー、山本君か、しっかりやれよ」と。一国の総理からしっかりやれよといわれたら・・・・・。

次は野村證券に行って、松田恒次社長は、また「お世話になるけどよろしくお願いします」と山本健一を紹介する。すると、「あー、山本さんしっかりやってくださいね」と。

それから今度は興業銀行。当時、頭取は中山素平。山本健一は、銀行なんて関係ないし「外で待ってます」と言ったら、「いいんだ、オレの傍におりゃいい」と。で、また中に入って、「資金をお願いします」とやる。模型を出して、「この山本が開発の責任者です」と。「山本さん、しっかり頑張んなさいよ」とまた言われる。

それまでは、松田恒次社長は会社のトップで、オーナー経営者で、威張ったところしか知らないから、山本健一は松田恒次社長が頭を下げる姿は見たことがない。ところが、銀行に頭を下げながら頼む、このプロジェクトに一所懸命になっているなということが分かる。山本健一をこういうふうに紹介すると燃えるに違いないと松田恒次社長は読んでいたのである。

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