鉄人 須藤 將のホームページ

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ロータリーエンジン開発物語 その21

2010-01-21 00:59:12 | 車・バイク
クロスホロー・シールを採用したL8Aロータリーエンジンのベンチテストを行っていたとき、ローターギヤと固定ギヤが壊れた。
ハウジング側に小さい固定ギヤがはいって、ローターのほうには大きな内歯歯車が固定されている。この固定ギヤであるステーショナリーギヤが回転して、ローターギヤと固定ギヤが壊れる現象が生じた。

理論的にはロータリー運動するのだから、それらのギヤに荷重はかからない。それでも壊れる。

現実には荷重がかかって壊れる。荷重がかかる原因をいろいろ考えてみた。ローターの振れ、精度の問題、燃焼もばらつきなどいろいろ上げられる。

そこで、山本健一部長から特命でお前はこれを考えろと言われて、宮近はいろいろ解析しながら、開発を進めた。宮近は、歯車のことばかり考えていた。会社にいても、家にいても、そのことばかり考えていた。宮近は診断装置を作らなければいけないと言って、いろいろ荷重をはかる装置を作った。

ローターは回っている、回っているところから信号を取り出すというのは、当時は至難の技だった。外に信号を取り出す測定装置まで開発した。どれだけ荷重がかかるか、ローターの姿勢がどうなっているか、傾いているのではないか。正常にまわっているときには荷重がかからないけど、傾いてまわっていたらかかるかもしれないと仮説を立てた。
そこで、先ず測定してみた。そうすると案の定、荷重がかかっているということが分かったが、運転状態を改善するのはなかなか難題であった。そこで、対策としてはギヤ側でやることになった。

いろいろ検討した結果、結論は、ステーショナリーギヤは固定し、インターナルギヤはそれまでボルトで固定していたものを板バネで作ったスプリングピンを6本打ち込んで留めることにした。

この対策をしたら荷重がかかった途端にちょっと、インターなるギヤがフレキシブルになる。いわゆる減衰効果が得られる。それでうまくいった。荷重や歯車そのものの精度を変えて、かみ合いをずらしたりしたが、スプリングピンが一番効果が大きかった。それも基礎計測技術と、解析技術とがあってはじめてできたことであった。

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