鉄人 須藤 將のホームページ

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ロータリーエンジン開発物語 その25

2010-01-25 03:54:48 | 車・バイク
それから住友銀行へ行って、済んだら今度は東海道を下る。神奈川、静岡の販売店へ行く。販売店には前もって連絡が行っているから、セールスマン、サービスマンが表にでてきて、サーッと並んで待っている。そこへ、松田恒次社長がコスモに乗ってスーッと入っていったら、ダーッと拍手で迎えてくれる。そこで、松田恒次社長が、「最近耳にしていると思うが、マツダがどこかとひっつく、無くなるという噂が飛んでいるけれども、そういうことはない。マツダの名前を失うことはないんだ。マツダはよそがやらない技術をやっているし、それをモノにして見せる。それを担当している山本がどんなものか、みなさんに説明するから、よおく聞いてくれ」と模型を出して見せたら、みんな目を輝かせて聞いている。山本健一が、「なんとか皆さんの御期待にそえるよう努力します」とやる。松田恒次社長が、「山本が皆さんに約束したでしょ。山本が約束を果たすには資金がいる。皆さんでクルマを売って下さい」とやる。すると、「ワーッと、社長、売りまーす」と。これはもう、山本健一は引っ込みがつかない。それを、広島までやって帰ってきた。

山本健一を池田首相に会わせ、金融関係の責任者に会わせ、激励受けさせて、性根入れさせて、そして販売店にいって、皆に約束をさせて、引っ込みがつかなくさせられた。

松田恒次社長のこういうことを聞くと、ロータリーエンジン狂いみたいに聞こえるが、ところが松田恒次社長が立派だったのは、ロータリーエンジンの技術をものにすることで、これを売って儲けるのではないんだ、それでマツダのアイデンティティの基礎に貢献させる。儲けるのはレシプロとディーゼルだという経営戦略を持っておられたことである。

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