Ｗｅｂマーケティングその５８

ウェブサイトを評価する場合、とかく財務指標で評価しがちである。しかし、ＩＣＴ化したウェブサイトは財務指標だけでは評価しきれない。
そうした場合、ウェブビサイトの評価をバランススコアカードの４つの視点で行うことが必要である。

このバランススコアカードの４つの視点とは、「財務の視点」「顧客の視点」「内部業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」である。

「財務の視点」は、経営活動の最終成果としてストックマーケットにおける時価総額（発行株式数x株価）で評価されるのであるが、事業成果として売上高、利益、利益率などで評価する。しかし、ウェブサイトの効果をこうした財務指標だけで評価するのは片手落ちで、こうした財務指標などが目標に対してどう変化したかは事業成果の一つとする。

「顧客の視点」は、顧客満足度を高めるために顧客の視点から如何に発想・行動を行ったかで評価する。具体的にはクレーム数の低減や顧客満足度調査結果などが目標に対してどう変化したかを評価する。

「業務プロセスの視点」では、コスト削減や顧客満足度の向上を図るための定型業務プロセスのしくみをどれくらい作り上げたかを評価する。受注から発送迄の時間や工数低減、在庫管理などのしくみの完成度で評価する。
ここでの改善の視点は、現行プロセスをモニターして行う改善ではなく、戦略に沿って顧客の満足度を向上させるための定型業務プロセスのしくみを作り上げる長期的改善を行うことにある。
この顧客の満足度を向上させるための定型業務プロセスは他社との差別化を図る原動力になる。この定型業務プロセスであるデル・モデルを、ウェブ上で完成させて成果を上げているのがデルコンピュータである。

「学習と改革の視点」は、ビジョンや戦略に基づき社員の意識が高く動機づけられたものに変わったか、お客さま中心になり、知識が共有化されているかなどを評価する。
ウェブビジネスは従来のビジネス概念やスキルに対してギャップを生じる。そうしたギャップを埋めるためには、社員の情報の共有化（ナレッジマネジメント）やスキルアップのしくみが必要となる。

これら、４つの視点の評価を総合してウェブサイトの効果を総合的に判断するのである。必ずしも数値で評価できるものばかりではないが、４つの視点で常に評価し、その結果を新たな経営戦略策定にフィードバックして、戦略的なウェブサイトを推進しなければならない。

これからの時代の先行投資と無闇にウェブサイトに投資をしたり、効果が見えないと投資を削減したりするのではなく、客観的な評価を基にした戦略的なウェブサイトの推進が必要である。