鉄人 須藤 將のホームページ

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ロータリーエンジンとモータースポーツ その54

2009-09-15 06:51:38 | 車・バイク
松浦は燃費に悩んでいた。
製造品質で、ただ1点目標をクリアーできなかったのが燃費である。目標は90年比10%以上の削減であったが、ベンチテストでは、2~3%の改善であった。

エンジンが完成すると、787に搭載して鈴鹿サーキットでテストが実施された。
松浦は、鈴鹿サーキットを走行するクルマのテレメーター・データーを眺めていたら、奇妙なことに気が付いた。
同じクルマで、同じラップタイムでも、ドライバーによって、燃費に10%以上の差が出る。
走り方の差によって、同じラップタイムでもこんなに差が出るのである。技術的に燃費を10%以上削減することは至難の業であるが、運用面であるレースマネージメントでは可能であることが分かった。
早速、高燃費結果を出したケネディの走行テレメーター・データーの解析を行った。その結果、ストレートの終わりでは早めにアクセルを放し、エンジン・ブレーキは緩やかにクルマを流しながらコーナーに入るぎりぎりのポイントまでブレーキポイントを遅らせ、コナリングの限界スピードまで一気に減速し、できるだけ速いスピードでコーナリングして、立ち上がりを一呼吸遅らせてアクセルを徐々に開くといった走行であった。
また、前記の貴島チームのコンピュータ解析で改良されたサスペンションでコナリングスピードが格段に速くなっていた。
これをやれば、燃費問題はクリアーできる。
しかし、これをどうやってドライバーに実行させるか、昔から苦楽を共にしてきたドライバー達は受け入れてくれるであろう。前年から参加してくれているF1ドライバーは特にプライドが高く、受け入れてくれるかどうか松浦には不安であった。F1サーカスは、車両が軽いため、ブレキングポイントぎりぎりまでアクセルを踏み続け、一気にエンジンブレーキを併用した減速、コーナー脱出一呼吸前にアクセルを開き、脱出と同時に全開にするのが常識であった。

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