さて、ここからテクニックの話に戻ります。
初級から中級にかけての、マシンコントロールの方法の話です。
マシンコントロールといっている意味は、体重の移動とかフォームとかではなく、もっと現象的に客観的にとらえることができるハンドル、アクセル、ブレーキの操作によるマシンの制御のことです。
概要は、
(1)アクセルオンによる立て起こし
(2)アクセルの遊びを取る
(3)後ブレーキによるラインの膨らみ過ぎの修正 (4)後ブレーキによるスピード&アクセル調整
(5)ハンドルの切り増しによる立て起こし
(6)前ブレーキによる立て起こし (7)逆ハンドルを切っ掛けとする倒し込み
(8)アクセルを残したブレーキング
を予定しています。
(3)と(6)は既に記事にしていますので、それ以外を順に説明しましょう。
今日は、「アクセルオンによる立て起こし」です。
上図は、中級のパイロン旋回の基本的なラインとブレーキ、アクセルの動きを示したチャートです。ごく当たり前に、旋回の最後には、アクセルをジワッと開けてバイクを起こします。そして、バイクが次の目標に向かったところでアクセルを全開にします。
実は目次を立てた後に考えたのですが、旋回中にアクセルを開けると何故バイクが起き上がるのかということは、私にはよくわからなかったのです。直感的、経験的には旋回の終わりにアクセルを開けるとバイクが立つことはわかっているのですが、何故そうなるのかを考えるとよくわからなかったし、実はその後2,3人のイントラさんに訊いてみたのですが、それはこれこれと、すぐに答えてもらうことは出来なかったのです。
①色々考えてみると、まず確かなことは、旋回中にアクセルを開けて旋回スピードが上がると、それに伴って遠心力(速度に対する慣性)が高まってバイクが起き上がるというものです。ただし、もしも遠心力が高まることによってバイクが起き上がるのであれば、バイクは起き上がりながらそのまま外側に倒れてしまうでしょうから、本能的にライダーはその起き上がりを押さえようという荷重動作を行うと思われます。それによって自動的に条件が変わっていくことになります。直パイの切り返しで考えると、そのような外側まで倒れようとする力を利用すれば、一気に切り返しができることになります。
②次に、もう一つの説は、バイクの旋回中に発生する「起き上りこぼし」効果ということです。この図は、和歌山利宏「ライディングの科学」1990グランプリ出版からの引用ですが、バイクが旋回中に車体を起こそうとする抗力が発生していることを表しています。
和歌山氏が書いていることを簡単に説明すると、タイヤの接地面がアクセルを開けてトラクションをかけることによって、旋回の内側に移動するということです。そのために、接地面にかかっている抗力に対して実際の重心が外側になるのでバイクが起きるということのようです。
③その他、考えられるのは、スピードがあがる結果として、そのスピードに対してバンク角とハンドルの切れのバランスを見たときに、ハンドルが切れすぎた状態になり、バイクが起き上るというものです。
旋回終了時に、アクセルを開けて、あけた瞬間にモリモリッとバイクが起き上るのは主に②の効果だろうと考えられます。そしてその後スピードが上がっていくときに外に膨らんでいきながらバイクが立つのが①の効果、膨らむことなくバイクが立ち上がって起き上るのが③の効果ではないかと思われます。
旋回の終わりに利用したい力は、やはり②の力で、ジワッとアクセルを開けてリアタイヤにトラクションがかかった瞬間にモリッとバイクが起きることを切っ掛けにして、バイクを立ち上げていくという感じを生かしていきたいのです。直パイの切り返しなども、この起き上り効果というイメージをとらえた方が良いような気がします。
特にスロットルの遊びを取って、ジワッとアクセルを開けたときにリアタイヤが地面を蹴って、その結果としてリアタイヤの内側から外側に向かってバイクを起こす力のベクトルを感じ取れると、それによってバイクが起き上るのと同時に降るスロットルをくれてやるタイミングが掴みやすくなると思います。
他方で、小さいRから大きいRにつながるような複合コーナーでアクセルを開けて大きいコーナーに合わせていくような時には、遠心力によってバイクが膨らむことをイメージするのがよいのではないでしょうか。
初級から中級にかけての、マシンコントロールの方法の話です。
マシンコントロールといっている意味は、体重の移動とかフォームとかではなく、もっと現象的に客観的にとらえることができるハンドル、アクセル、ブレーキの操作によるマシンの制御のことです。
概要は、
(1)アクセルオンによる立て起こし
(2)アクセルの遊びを取る
(3)後ブレーキによるラインの膨らみ過ぎの修正 (4)後ブレーキによるスピード&アクセル調整
(5)ハンドルの切り増しによる立て起こし
(6)前ブレーキによる立て起こし (7)逆ハンドルを切っ掛けとする倒し込み
(8)アクセルを残したブレーキング
を予定しています。
(3)と(6)は既に記事にしていますので、それ以外を順に説明しましょう。
今日は、「アクセルオンによる立て起こし」です。
上図は、中級のパイロン旋回の基本的なラインとブレーキ、アクセルの動きを示したチャートです。ごく当たり前に、旋回の最後には、アクセルをジワッと開けてバイクを起こします。そして、バイクが次の目標に向かったところでアクセルを全開にします。
実は目次を立てた後に考えたのですが、旋回中にアクセルを開けると何故バイクが起き上がるのかということは、私にはよくわからなかったのです。直感的、経験的には旋回の終わりにアクセルを開けるとバイクが立つことはわかっているのですが、何故そうなるのかを考えるとよくわからなかったし、実はその後2,3人のイントラさんに訊いてみたのですが、それはこれこれと、すぐに答えてもらうことは出来なかったのです。
①色々考えてみると、まず確かなことは、旋回中にアクセルを開けて旋回スピードが上がると、それに伴って遠心力(速度に対する慣性)が高まってバイクが起き上がるというものです。ただし、もしも遠心力が高まることによってバイクが起き上がるのであれば、バイクは起き上がりながらそのまま外側に倒れてしまうでしょうから、本能的にライダーはその起き上がりを押さえようという荷重動作を行うと思われます。それによって自動的に条件が変わっていくことになります。直パイの切り返しで考えると、そのような外側まで倒れようとする力を利用すれば、一気に切り返しができることになります。
②次に、もう一つの説は、バイクの旋回中に発生する「起き上りこぼし」効果ということです。この図は、和歌山利宏「ライディングの科学」1990グランプリ出版からの引用ですが、バイクが旋回中に車体を起こそうとする抗力が発生していることを表しています。
和歌山氏が書いていることを簡単に説明すると、タイヤの接地面がアクセルを開けてトラクションをかけることによって、旋回の内側に移動するということです。そのために、接地面にかかっている抗力に対して実際の重心が外側になるのでバイクが起きるということのようです。
③その他、考えられるのは、スピードがあがる結果として、そのスピードに対してバンク角とハンドルの切れのバランスを見たときに、ハンドルが切れすぎた状態になり、バイクが起き上るというものです。
旋回終了時に、アクセルを開けて、あけた瞬間にモリモリッとバイクが起き上るのは主に②の効果だろうと考えられます。そしてその後スピードが上がっていくときに外に膨らんでいきながらバイクが立つのが①の効果、膨らむことなくバイクが立ち上がって起き上るのが③の効果ではないかと思われます。
旋回の終わりに利用したい力は、やはり②の力で、ジワッとアクセルを開けてリアタイヤにトラクションがかかった瞬間にモリッとバイクが起きることを切っ掛けにして、バイクを立ち上げていくという感じを生かしていきたいのです。直パイの切り返しなども、この起き上り効果というイメージをとらえた方が良いような気がします。
特にスロットルの遊びを取って、ジワッとアクセルを開けたときにリアタイヤが地面を蹴って、その結果としてリアタイヤの内側から外側に向かってバイクを起こす力のベクトルを感じ取れると、それによってバイクが起き上るのと同時に降るスロットルをくれてやるタイミングが掴みやすくなると思います。
他方で、小さいRから大きいRにつながるような複合コーナーでアクセルを開けて大きいコーナーに合わせていくような時には、遠心力によってバイクが膨らむことをイメージするのがよいのではないでしょうか。
克服のためには、理論を理解することと、反復練習しかないかなと考えてます。
小さい感覚のパイロンではアクセルを使わないと切り返しができないのですが、その理由がアクセルによる立て起こしと、その反動を利用して逆に傾けるのだとわかって納得できました。
このエントリーを書いたのは5年前ですから、今では①と③という要素は小さいということはわかっています。つまり、実際に速度の変化が起こるより早く車体が立ち上がるモーメントが発生しているように感じます。
ですから、アクセルを開けた瞬間にトラクションによって後輪タイヤの形状が変化して重心が移動して起き上がるということなのだろうと思います。
遠心力の変化で立ち上がるということを考えると、そのまま外に放り出されるイメージで反対側までバンクさせるという「切り返し」のシナリオが浮かび上がってきます。
私はいつも切り返しのセクションでは、スロットルの開け加減でパイロンレイアウトに見合った素早い切り返し(素早く開けてすぐに切る)、もしくはもっと間隔のあいたゆったりとした切り返し(じわっと開けてすぐに切る)を使い分けています。
どうもです。
なぜバイクで速度があれば傾けられるのか? なぜ起き上がるのか? 直線で傾けることができるのか? なんていう疑問がわかった気がします。
私は①と③は何となくわかってましたが、②は新鮮でした。タイヤの形やグリップ力は、ここで大きな役割を果たしているのかも、って思いました。
旋回時のバイクの傾けに対して、アクセルの遊びをとってトラクションをかけて、安定するのは②の範囲でしょうか。そしてアクセルを開けていくと、①と③が微妙なバランスで効いてくる。アクセルの開け方を間違うと、このバランスが崩れるのかも。このバランスをうまく征服できれば、早くパイロンを通過できるのかもと考えています。