美しく、魅力的な声を持つが、これは盗人の隠喩である。
この鳥は自分では巣をつくらず、他の鳥の巣に卵を産み込み、自分の子を他の鳥に育てさせる。
このような生き方を、神が許していることに注目しなさい。
なぜ、他の存在から愛を盗むような生き方をしている鳥が自然界にいるのか。
彼らは親を知らない。他の鳥なら、自分の親を見て自分を知ることができるだろうが、この鳥は果たして、自分がカッコウという鳥だということを知っているのだろうか。
自分をほかの鳥だと思っていはしないか。
神はおもしろいことを教えようとなさっている。
島のように巨大な頭足類の姿をした海の怪物。荒れる海の波のような、しなる腕を持つという。船を襲い、人間を海に引きずり込む。
陸生動物であるヒトにとって、海は異界に等しい。異星と言ってもいい。そこで長期間生存することは事実上ヒトには不可能だ。
だがヒトにはクマやイヌにはない性質がある。無謀な冒険をしてみたい。そのような、焦りに似た情熱がある。神にさからい、馬鹿なことをしてみたい。
それが人間を海に向かわせるのである。
クラーケンはそのようなヒトの甘い考えに立ちはだかる、神の鞭である。人間にはわからない、ひどい世界があるということを、神が教えているのだ。
冒険したいという気持ちを妨げはしないが、神を甘く見ないほうがいい。十分に気をつけてやりなさいという意味なのである。
不可能に挑戦する自己存在の前に立ちはだかる、負の厳しさを表す。
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*クリスマス・イヴ、ウィリアム・サッカレーの忌日、ペーター・コルネリウスの誕生日。誕生花はヒイラギ。