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「カロリー制限」で人間は本当に長生きできるのか3

2018年05月10日 | 長寿遺伝子
さて、このシリーズの最終回です。結末は意外な方向に・・・・「ハンバーガー半分と少しのポテト」では生きられない

この調査でカロリー制限が長寿につながると断定するには、期間が十分とは言えない。それを確かめるには何十年もかかるだろう。しかしレッドマンはこのデータについて、長年、論争の的になっている人間の老化の理論2つを改めて裏づけるものだと主張する。

その1つは、生命体の代謝速度が遅いほど長く生きるという説である。もう一方は、年月とともに細胞がフリーラジカルによる悪影響を蓄積し、生命体が老化するというものだ。

Calerie研究者には、その説に納得しない人もいる。ワシントン大学の治験を指揮した内科医、ルイージ・フォンタナはこう言う。
「空腹で死にかけているせいで、睡眠時の代謝率が下がるとも考えられます。それが長寿のバイオマーカーになりますか? 答えはノーです。毎日の食事をハンバーガー半分、フライドポテトを少しだけにすればカロリーは減らせますが、長生きするでしょうか? 栄養失調で死にますよ」

フォンタナ自身がCalerieの治験データから出した研究結果では、ある特定のインシュリン経路に変化が起きるほうが、代謝全体の減少より重要だろうとしている。彼はさらに、1日数時間、冷水の中で泳がせたラットの研究結果についても指摘する。ラットの代謝率は下がるが、室温に置いたラットほど長く生きられなかった。
マウスをフリーラジカルから守る酵素を過剰に発現させた研究もある。この場合も、マウスは長く生きられなかった。レッドマンのデータは興味深いが、すべてを説明できるわけではないとフォンタナは言う。

「20年前は、カロリーを減らせば減らすだけいいというのが定説でした。しかし、いまわたしたちが行っている研究では、数値は重要ではないという結果が出てきています。遺伝的性質や食事構成、食べる時間、腸内微生物の種類といった要素すべてが、カロリー削減に影響を与えるのです」。

削減でがんの発病と進行を遅らせる
カロリー削減が人体に与える影響についての研究では、細胞が老化する原因はいまだ解明されていない。しかし、だからといってカロリー削減が健康の増進に大きく寄与している可能性が消えたわけではない。
「カロリー削減は、がんの発病と進行を遅らせる唯一の方法として知られています」と米国立老化研究所(National Institute on Aging)で老年学実験研究室(Translational Gerontology Branch)の研究室長を務めるラファエル・デ・カボはいう。

カボの研究チームは最近、25年にわたりアカゲザルを使って行ったカロリー削減の研究結果をまとめた。サルを使った別の研究ほど劇的な長寿効果は見られなかったが、がんや代謝性疾患の発病率は下がることを確認した。カボは言う。
「環境汚染のひどい状況で働く人たちがカロリー摂取量を減らせば、汚染物質から身を守るために極めて有効でしょう。しかし、おわかりの通り、ずっと少量しか食べずに我慢できる人はいません」

ジェフリー・パイパーほど、身をもってそれを知る人間はいないだろう。産科医で現在58歳の彼は、9年前にワシントン大学の治験者として参加した。それまでずっと体重を落とせずにいた彼は、これで痩せられることを期待していた。参加したときの彼の血圧は84~132あったが、カロリーを減らした食事法を数カ月続けると、65~115まで下がった。さらに、1年間で体重は30ポンド(約13.6キロ)落ちた。

しかしその半年後、ハイパーは治験をやめた。あまりにも要求がきつすぎたのだ。「エネルギーも体力も奪われましたし、明らかに性欲もなくなりました。それに毎日カロリーをしっかり管理されるのには、本当にうんざりしましたね」
ハイパーはいま、すっかり体重が元に戻り、高血圧の薬を飲まなければならなくなった。しかし少なくとも、充実した生き方をしている実感がある。たとえ長生きは無理だとしても。【引用終わり】

このハイパー医師の結論を皆様はどう思われますでしょうか!
好きなものを(この場合は食欲)を断つのは大変で、しっかりとした意思が必要です。好きなものを好きなだけ食べて長生きできなくても、身体に不都合が出ても”それでいいんだ”も人生の選択肢として有りだとは思います。
私はそうはありたくはないですいが・・・・・


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