睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

千衣子その後(1)

2009-08-12 00:45:18 | 千衣子(猫) MEMORIAL




千衣子を連れてこようと決意した夜、

「ペット禁止」の声が出ているこのマンションで本当に子猫を飼えるのかどうかためらっていた。
YES/NOを繰り返すたび、ダンボールハウスの小さな覗き窓からこちらを見つめる二つの眼と
黒い鼻先がおもいだされ、いてもたってもいられなくて部屋じゅうほっつき歩いた。
迷いながら窓を開けたり閉めたりするたびに冷たい夜風がほほをうつ、おもては寒い。

車のキーを握ったとき、覚悟ができた。
歩いて5分の会社へ子猫を迎えにいく前に実家に立ち寄り迷彩色のケージを持ってきた。
最悪、マンションの管理組合からNOと云われたら、しばらくのあいだ実家に預けるつもりで
母にその旨も告げてきた。

その夜から千衣子はわが家の一員になった。
マンションの外階段を8階までへろへろになって昇りながらも心は満たされていた。
人肌に暖めた牛乳を飲みほし、セプンイレブンで買ったペートフードの缶詰を半分たいらげ、
ひとしきり3LDKを探検したあと、満足げにケージに戻りあのタオルを枕に寝ころんだ。
それから1年くらい迷彩色のケージは彼女のお気に入りの遊び場になっていた。

翌日、マンションの管理組合にペット申請を提出したところ、なぜか、すんなり承認を得た。
後日、市役所で猫登録を済ませ、丸い金属の監察プレートと避妊手術の補助券をもらい、
晴れて千衣子は公私ともに猫ちゃん市民権を獲得しました。(補助券5.000円なり)

それから一ヵ月後、初めての外出は近所のペット病院へ。
不安げに見つめる千衣子に「いいこだから我慢してね・・・」そう云い含めて3日間の入院となる。





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