睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

今朝の空・肥後守とゴムパチ・百日紅の花が咲くころ

2019-07-19 07:57:38 | 散文うたかたの記


浅草は新旧と今昔が混在して違和感がない町。
最新モードの服を売る店の並びに、
母がよく着ていたアッパッパがぶら下がっていた。
いいよな、
好きだよこういう町。

今朝は股関節がきしんだ。
布団から起き上がったとき、
ファンベルトがキュッと鳴る感じ。

ぐずぐずしてちっとも進まない。
あちこちといっても二部屋しかない
うさぎ小屋をうろちょろする。

仕事で煮詰まったときのクマさんもよう
順序だてた思考ができないのは朝だから
凝縮と弛緩を繰り返す朝だから。

ゴムパチのゴムがぷつんと切れて跳ねて飛んだ。
指に当たって痛かった。
あのミツマタは百日紅の枝を切ってつくった。

それが母にバレてしこたま叱られた。
ゴムパチを作ったことじゃなくて、
百日紅の枝を切ったことを。

口を尖がらしてバランスがだいなしになったと
花が咲く季節のたびに云われた。
百日紅のV字の花の間から見える青い空が消えた。
ゴムパチのゴムが切れたはバチが当たったのだ。

肥後守は今も持っている。
百日紅の枝を削った当時の物じゃないけど、
見るたびにあのころの母が目に浮かぶから
大事に持っている。

母ひとり子ひとりのあのころは、
間違いなくぼくだけの母だった。

珈琲淹れて
現実に戻ろうな
そうだ、
掃除機かけるように云われたんだ。









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