水滸聚義

中国古典『水滸伝』の紹介や考察を行っています

あらすじ 第二回

2010-10-23 | あらすじ 第一回~第十一回
 ■第二回 王教頭 私かに延安府に走れ  九紋竜 大いに史家村を閙がす

 洪太尉が解き放ったのは、かつて封印された天罡三十六星、地煞七十二星、あわせて一百八の魔王だった。しかしその後、何事もなく時は流れ、朝廷では第八代皇帝の徽宗が即位した。

 徽宗は芸術や遊興を好み、自分にへつらうを重用し、朝廷には奸臣がはびこることとなった。元ごろつきで、蹴鞠の腕だけで徽宗に登用された高俅もその一人だった。徽宗が即位すると、高俅は瞬く間に殿帥府太尉(武官の最高位)にまで昇進した。禁軍(近衛軍)武芸師範の王進も新しく上役となった高俅の恨みを買ってしまい、老母とともに首都東京開封府を逃れ、辺境で仕官するために旅に出ることになった。

 王進は、旅先の華陰県史家村の史太公の屋敷で宿を請うた。老母の体調が優れないため、王進はしばらくの間、史家村に逗留することになった。史太公の息子・九紋竜の史進は武芸をたしなんだが、禁軍師範の王進の腕前には全くかなわず、史進は王進に師事し武芸十八般を学ぶこととなった。しばらくして王進は史家村を去って旅を続け、まもなく老齢の史太公も亡くなり史進が村の顔役となった。
 
 ある時、史家村にほど近い少華山の山賊の頭領・跳澗虎の陳達が手下を率いて史家村を通ろうとした。史進はこれを制して、一騎打ちで陳達を生け捕った。山賊の頭領神機軍師の朱武白花蛇の楊春は、陳達の命を救うために一芝居うち、山を降りて史進のもとを訪れ、三人まとめて役所に突き出すようにと自首した。朱武の思惑通り、仲間を思う義侠心を天晴れと思った史進は、三人を許した。

 これが縁で史進と少華山の三頭領は親しく付き合うようになった。しかし、少華山の頭領達には多額の懸賞金がかけられており、金に目がくらんだ村人の李吉は、密かに役所に訴え出た。ある時、少華山の三頭目が史進の屋敷を訪れ、宴会が催されていたとき、ふと屋敷の外が騒がしくなった。史進が外を見てみると県の捕り手達が屋敷を取り囲んでいた。