京都が好き 写真が大好き by たにんこ

長く写真をやってると 
聞こえないものまで 
聞こえてくるんだな

「ひばりちゃんとやっちゃん」 5

2023年06月01日 23時43分47秒 | 猫 ネコ ねこ
「ひばりちゃんとやっちゃん」 5

大女将の言われた通りの経路を通って行くと
目の前2~3mの右側部屋の前に 男が立っている。
通路の向こうの奥の階段踊り場に もう一人の男が立っている。
何か不自然だ・・・おかしい・・・そう感じたが 黙って通路を歩いて行こうとしたら
右部屋のドアの前に居た男が 「何処に行くんだ?!」と 急に怒鳴られた。
びっくりして怖くて黙っているおれに 段々と声を荒げていく男。
部屋から女性が出て来て 「何を騒いでいるの!」 と。
「あれっ?あなたは誰なの!何処から来たの?!ここで何をやってるの?!」
ババアが(お母さん 御免なさい)そんな事を言って怒鳴る。
瞬く間に4~5人に囲まれ やいのやいの言われた。
おれは悔しくて悔しくて 涙が出そうになっていた。
ただただ帰るのに 何で? そう思っていた。
そんな時 神降臨だった。
「大勢で騒いで 何やってるの?」 そんな事を言いながら 部屋から女性が出て来た。
「まだ子供じゃないの!こっちにおいで」と言い おれの手を握り 部屋に連れていかれた。
おれの後ろでは まだ騒いでいる。
部屋に通され 「ここに座りなさい」 と言われ テーブルの前に座らされた。
「ごめんね 怖かったよね?」 そう言いながら 何時の間にか涙を流しているおれの頬を
ハンカチのようなもので拭ってくれ 頬っぺたにチュウをした。
その時に 物凄く良い匂いがした。
その当時の田舎の悪ガキの間では 「チュウしたら その人と結婚しなければいけないんだ・・・」
と言う馬鹿な話がまかり通っていた。
おれは子供心に 「この人と結婚するのか・・・」 と馬鹿な事を思いながら顔を上げた。
テーブルを挟んでその目の前に テレビで見る超有名人の 美空ひばりさんが居る。
心臓が口から飛び出る・・・と言う経験を 小学生のおれが経験した
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「ひばりちゃんとやっちゃん」 4

2023年06月01日 23時41分10秒 | 猫 ネコ ねこ
「ひばりちゃんとやっちゃん」 4

大女将の経営している旅館は 市内でも県内でも全国でも有名だ。
芸能人やスポーツ選手も来る。
老舗中の老舗だった。
おれは 芸能人やスポーツ選手には興味など無く 興味が有るのは
その当時 チンピラ不良が聞くロックが好きだった。
だから同級生が やっとベンチャーズを聞く頃には おれはビートルズや
ハードロックを聞いていた。
卓球が面白くなって 打倒お袋を目指していた頃のある日。
大女将の好意で 卓球をしに行った。
けれど帳場で 注意事項を言い渡された。
「行く時は何時も通りで良いけど 帰りは逆方向の階段を使ってね」
そう言われた。
娯楽室に行くと 例の仲居さんが居て 仲良く笑いながら卓球をした。
暫くすると「仕事に戻るから」・・・そう言い 出て行った。
おれは壁に向かって 一人で練習を。
どれくらいの時間が過ぎたのか?・・・
帰ろうとして 大女将の注意事項を思い出し その通りの経路を辿って帳場に。
が・・・その経路が 後に大事件勃発の始まりなど おれは露知らずだ
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「ひばりちゃんとやっちゃん」 3

2023年06月01日 13時03分15秒 | 猫 ネコ ねこ
「ひばりちゃんとやっちゃん」 3

その時の・・・その当時のおれには 自慢できるものなど 皆無に等しかった。
スポーツはそこそこ出来るし 勉強もそこそこ出来る。
プラモ造りも 人よりはそこそこ上手い。
黙っているけど ドラムも近くの山で出会ったお兄さんに習い 叩けてはいた。
鼓笛隊では そう言う訳で小太鼓担当で そこそこ上手い。
けれど どれも自慢できるほどでは 全然ない。
つまり お袋が卓球が出来るし しかも上手いと誰もが認めているから
口惜しさが有ったんだと思う。
しかも デブなのに。
ずっと後に お袋の術中にまんまとハマったのを聞かされた。
武道を・・・スポーツを蹴ったおれに 何とか別のスポーツをやらせて
体を鍛えてもらいたかった・・・そうだ。
そんな事など露知らないおれは お袋に「今度何時誘われるんだろう?」
とか思っていたんだ。
時は来た。
数日後 お袋のお使いで 例の旅館に行く事になった。
荷物を届けたおれに 大女将が 「やっちゃん 娯楽室に○○ちゃん居て 卓球やってるから
行ってみな」 と言われ 行ってみた。
おれの家の仲居さんのお姉さんが居た。
卓球をやっていて おれが誘われた。
ペンホルダーから教わり 色々やってみた。
面白かった。
「これを覚えれば 何時かお袋をやっつけられる・・・天下を取れる」 と。
馬鹿糞な無謀な思いを 小学5年生の田舎のガキが思ったわけだ。
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