京都が好き 写真が大好き by たにんこ

長く写真をやってると 
聞こえないものまで 
聞こえてくるんだな

2011祇園祭「放下鉾」の伝統

2011年06月29日 17時48分02秒 | Weblog
6月25日 放下鉾祇園囃子保存会副会長の永井さんと 会所で待ち合わせをした。

案内されて会所の中に入る。
おれのTEAMのスタッフ3名 計4名で入った。
正面奥には「放下鉾」の暖簾が掛けられている。
問題は その暖簾の奥だ。
暖簾の手前までは 祇園祭が行われる時には誰でも入れる。
案内されて 暖簾をくぐる。
目の前には 永井さんの話に聞いていた倉が ひっそりと佇んで居た。
永井さんが「ここから撮影して下さい」と。
倉の中は いくら許可を得たオフィシャルでも 未知の世界で未公開だ。
その倉の扉を開ける。
倉までの距離は 5メートル位だった。
放下鉾祇園囃子保存会の若手が 次から次へと楽器等を運び出す。
直ぐに会所の二階に。
永井さんが 色々な箱の中を見せてくれ 説明してくれる。
そこには 整然と並べられた楽器類が有った。
シャッターを切る。

ばらして有る太鼓を組み立てている。
演奏が始まる前に組み立てられ 演奏が終わるとばらす。
一見面倒な様だが そこにも理由が有る。
おれはプロとしてドラムを叩いていたから分かる。
勿論 本革も使った事が有る。
この時期は ドラムの皮を張っていると弛む。
現代のドラムは 本革じゃなく化学製品だ。
和楽器で有る太鼓は 動物の皮を使った本革だ。
まったくの真逆で この時期の本革は破けてしまう。
その和太鼓の皮を締める為に 色鮮やかな朱色の紐を きゅきゅっと締めていく。
鉦は 濃い紫色の薄い帯状のような物を 組み立てられた竹から吊るし
その帯に括る。
笛も 奏者が自分の場所に 凛とした形で置く。

永井さんから話を聞いていたが 誰も楽器を…
つまり今で言う チューニングや音出し 音合わせをしない。
聞こえるのは 太鼓を締め組み立てながら叩く コンコン位だ。
会長の松廣さんと副会長の永井さんが 最初に会った時に話してくれた事が。
おれはこう聞いた「会所で練習…つまり音合わせなどするんですか?」と。
永井さんが「それは無いです。家でも練習はしませんよ。本番通りの演奏をします」
驚いた!
そして和やかだった楽器の準備が整い 着物に着替える。
おれは見た。
撮影した。
顔つきが変わって行く。
囃子方が自分の席に着く。
太鼓方の合図で 演奏が開始された。
撮影する。
皆の顔が打って変わった様に まったくと言って良いほど別人だ。
演奏の迫力は おれの想像を絶したものだった。
ふと気になり 皆の演奏を見ている会長の松廣さんと 左傍に居る和服姿の永井さんを見た。
やはり先ほどまでの顔とは 全然違う別人になっていた。
撮影した。
30分ぶっ続けに演奏して 10分から15分の休憩。
それがワンクルーで 三セットもやる。

続く。