京都が好き 写真が大好き by たにんこ

長く写真をやってると 
聞こえないものまで 
聞こえてくるんだな

2011祇園祭「放下鉾」オフィシャルカメラマンⅡ

2011年06月28日 14時07分09秒 | Weblog
眼下に見た番傘…
カッコ良いんだ。

おれ達二人は会所を出た。
警備員が言ってた「伝統ですから」の言葉。
数々の疑問が沸いて来た。
一体あの鉾の材料は 何処から運んで来るんだ?
女が上がれない山鉾って…
だって数ある山鉾の中でも 入れる所が沢山有るじゃないか!
伝統って…何何だ???!!!
おれは懐に飛び込む決心をした。
大好きな「放下鉾」の懐に。

「放下鉾」HPにメールを出した。
「放下鉾」の写真を添えて。
後日返事が来た。
放下鉾祇園囃子保存会副会長の 永井崇博さんからだ。
会長さんも 会いたいと。
二人に会った。
放下鉾祇園囃子保存会会長の松廣正博さんと 副会長の永井崇博さんと
有る場所で話をした。
会長は切り出した。
「何故内の放下鉾なのか?」
おれはおれなりに 一生懸命話をした。
心の中では「おれの様な田舎者の話を理解してくれるだろうか?」
そうも思ってた。
おれの話が終わった。
会長は じっとおれを見つめ 一言一言話をしてくれた。
その話とは「伝統」だった。
聞けば聞くほど奥深い話だし 益々興味が沸いて来た。
「放下鉾」の伝統は 京都府 京都市 中京区の中でも厳しいと。
そして上下関係も めちゃくちゃ厳しいとも。
おれの服装の事も言われた。
おれはその時に 諦める決心が付いた。
おれの本当の姿を 一番最初に見てもらいたいから 何時もの服装で行ったんだ。
色々両名から話を聞き 会長がふっと席を立った。
副会長の永井さんが「予定はこうなってます」と 一枚の紙を差し出した。
驚いた。
オフィシャルの件が 決まった瞬間だった。

永井さんが「ちょっと出ましょうか?二人で…」と 誘ってくれて
近くの喫茶店に入ったんだ。
喫茶店の席に着くなり 永井さんは溜息をついた。
それ程上下関係は厳しく 伝統として息づいている…少しだけど分かって来た。
おれ達の世話役をしてくれる永井さんに別れを告げ 帰路に。
バスの中でおれは 武者震いに襲われたんだ。
京都駅に着いても止まらない。
まともに歩けないんだ。
このおれが歩けないほどに 武者震いが襲って来た。

2011祇園祭。
6月25日 26日と撮影。
関係者以外 誰も入れない所に おれは居た。
大好きな「放下鉾」の裏側を撮って来た。
おれの祇園祭が始まった。
これから一ヶ月 長丁場になる。
必ず 「放下鉾」の伝統を守り 切り撮って来る。


※放下鉾祇園囃子保存会会長の松廣正博さんと副会長の永井崇博さん
両名の名前の掲載は 許可を取っています。


奏者を待つ 凛とした太鼓。

2011祇園祭「放下鉾」オフィシャルカメラマン

2011年06月28日 13時07分35秒 | Weblog
「放下鉾」と初めて出会ったのは 5年前の祇園祭だった。
写真の整理をしていた時に 分かった。

2008年の祇園祭の時に 宵々山の午前中「放下鉾」を見た。
会所の…会所は重要文化財…二階から鉾に 梯子が掛けられ
一般の人は 通りのその下を通る。
おれは鉾の 数メートルまで近づいていた。
見ると その鉾に掛けられてる梯子の前後に
凛とした番傘が二つ。
何でもない光景だ。
けど 気になる絵なんだ。
暫く見入ってた。

翌2009年。
ちょっとずつ祇園祭が分かって来た。
自分なりに情報を仕入れたんだ。
また新町通りに。
嫌になるほど毎年祇園祭を見て そして嫌になってた年だった。
けど 例の番傘に惹きつけられて行ったんだ。
昨年と同じ「放下鉾」の 凛とした姿が有った。

2010年。
鉾建ての情報が入った。
朝早く新町通りに行った。
ワクワクする光景が 目の前に広がっていた。
当たり前だけど 鉾を組み立てているんだ。
暑さも忘れ ぼぉ~~~っと数時間見ていたよ。
周りを見た。
電柱には 黄色いネットが掛けられている。
新町通りは あちこちで通行止目。
数日後の宵々山の日。 
おれが主宰する写真倶楽部の会員さんと 祇園祭を計3名で見に行った。
土砂降りだったんだ。
「放下鉾」の前を通った時に 声を掛けられた。
「中を見れますよ!」と。
泣く泣く遠慮した。
おれ達は ずぶ濡れだった。
もし万が一 二階に飾られているお宝に 水滴が掛かったら…
嘘な観光客には 絶対なりたくなかったんだ。
けど翌日の宵山の午前中 雨が嘘のように上がった。
この日も会員さんと出掛けた。
「放下鉾」の会所に おれ達二人は入って行った。
案内のお兄さんが「二階へどうぞ!写真も自由にどうぞ!」
と言ってくれた。
濡れていないから 堂々と入ったんだ。
二階に上がって御宝を撮影していた その時に…
警備員から声を掛けられたんだ。
「鉾の中に入れますよ!ただし男性だけです」
警備員は続けた。
「伝統なんです。申し訳ありません」
連れの会員は女性だった。
その会員は言うんだ。
「中を見学して来て下さい。私はここを見ていますから」と。
きっとおれは 嬉々とした顔をしていたんだろうな。
鉾の中に入った。
眼下に広がる光景は 去年までの光景とは全然違う。
別世界だ。
何枚も何枚も シャッターを切った。
昨年まで見上げて撮っていた番傘が 眼下に有る。

続く。

その日の練習が始まる前に組み立て 終わるとバラス。