黒い回転ゴミ日記

日々のあれこれ。

波止場

2009-01-04 20:37:51 | インポート
昨年末の帰省に、初めてフェリーを使ってみた。
かなり前に一度、家族の車に乗り、乗り込んだ事はあったが、今回のように一般入場口から乗ったのは初。
夕方遅く港に着き、フェリーがズドーンと横たわるターミナルに入って行くと、JR駅にも空港にもない独特な空気がそこには流れていた。
泪、酒、漢、澗、汗など、さんずいが脇についた様々な漢字がそこかしこに滲み込んでいるかのようなターミナル。その場に身を置いた途端、今ではない全く異なる時間へと引きずり込まれた。
そして、フェリーへと繋がる、肌寒く細く長い廊下を歩く頃には、いるわけもない置き去りにした恋人、事実とは全く異なる火鉢を前に内職をする母、そしてこれまたあるわけのない僕の頭上を飛び交う無数の紙テープ、などなどの映像が僕の妄想の元でオーバラップされ、もう気分は集団疎開、はたまた集団就職。
そんな気分で乗り込んだフェリーは、これまた独特の臭気を孕んでいた。もちろん何かが臭うわけではない。
北海道まで15時間の旅。なかなか快適だった。思った以上にしっかり寝られるし、ラウンジスペースのソファも座り心地がよく、旅の疲れもほとんど残らない。
飛行機や電車の旅は、ある色で括れそうな客層というものがありそうな気もするが、船旅は雑多だ。銭湯も消えかかっているこの世の中じゃ、ここまで雑多な中で空間を共有する機会というのは、そう多くはないのじゃないだろうか。そう考えると貴重な場でもあるような気もする。
それにしても陸に上がれば、例外なく、見覚えのあるロゴや色に風景が支配されている。
そんなクソ食らえな風景から遠く身を置きフェリーで高イビキも、ちょっとクセになりそうな気がしている。
そして何より運賃が安い。

写真は帰りのフェリーから撮った、1月3日早朝の日の出。

Hinode


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