「脳を鍛える」と称して様々な風説が飛び交っているが
残念ながら「これさえやっときゃ頭が良くなる」という定形的な方法論はない
なぜなら ヒトの脳は皆違うからだ
身体でも動かさないと鈍るのだが ただ筋トレだけやっても運動能力が高まるわけではない
ボディビルダーのように筋肉ムキムキになってもオリンピックで金メダルが獲れるわけではなく 目的に沿った合理的鍛え方というものがあるのだ
脳機能を活性化させるのに最も効果的なのは 「好きなこと」に熱中することである
これは人それぞれ全く違うので 定形的に「これさえやっときゃ」的な方法論がない
人によってはバイオリンの演奏かも知れないし 砂漠の真ん中で一日中トカゲを探すことかも知れないし 街中で長靴履いて虫取り網を持って一日中虫取りをすることかも知れない
要は「どれだけ集中できるか」なのである
集中して熱中して夢中になって何かに没頭している時というのが脳活性において最も効果的で 他人からの評価に左右されずに主体的に楽しむ純粋行為があれば脳は自ずと活性化されるのである
純粋に楽しめることがない人の場合 他人からの評価や外見ばかりに気を取られているから本質的満足感が得られず エタノールだのニコチンだの危険薬物に手を出さなければいられなくなるのである
当然頭は悪くなる 麻痺させたがって頭が良くなるこたない
他人からの評価や 他人からの見た目に左右されることなく熱中できることがあれば 薬物などで脳を麻痺させているヒマなんぞない
プラモデルの組み立てであっても ランナー(枝)からどうやったらきれいに部品が外せるのか どうやったらパーツの接合部分をきれいに仕上げられるのか どうやったらきれいに塗り分けられるのか そういった工夫をアレコレ考えることによって 思い描いたような仕上がりにならなくても脳は活性化され 技能も向上するのである
むしろ 下手くそであることが重要で 下手くそだからこそ頑張って上手になろうとするのであって 向上心というのは自分の能力が低いことを自覚していないと働かないのである
本当に好きなら それが楽しめる
そうした純粋な楽しみを忘れ他人との比較競争に執着して「俺様は頭が良いんじゃ」などと勝手に妄想してしまっていると それ以上の向上心が働かなくなり どんなに学生時代に学力成績が高くても簡単にバカになって通り魔だのテロだのに手を染めてしまうのである
思った通りにバイオリンが弾けないからこそ 千住真理子は一日中取り憑かれたようにバイオリンを弾き続けるのであり
思ったようにトカゲが見つからないから加藤英明は世界中を飛び回っているのである
「思ったようにうまくいかない」ことを楽しむことで 脳はアレコレ工夫してなんとかしようと働くのであって 他人と比べて「俺の方が優秀だ」とか「自分だけは絶対に大丈夫だ」などと勝手に勘違いしていれば満足感や安心感は得られるのかも知れないが 脳は働かなくなってバカになるのである
「自意識」という言葉は一般的には「他人からの見た目」として使われるのだが 本当の「自分の意識」というのは外見的なものではない
大多数のヒトは他人からの見た目にばかり意識を奪われがちな性質があるため 「他人からの見た目」こそが意識の本質だという勘違い錯覚しているのである
自分が何をしていたら楽しく熱中できるのかは 他人からはわからない
他人なんてのは あくまで他人であって 他人がどう思ったところで自分の脳が何を楽しいと思うのかも どれだけ脳が活性化しているのかも他人からはわからないし 比較もできない
他人とは脳神経接続がないので 自分の楽しさとか幸福は他人からは測りようも 比べようもないのである
ところが ヒトという種の生物は その先天的な「社会性」によって 他人からの見た目こそが意識の本質だと勘違いする習性があるため 純粋に個人的な楽しみに没頭することができなくなる傾向がある
「有名大学を卒業した」といった他人との比較による世間的価値観に基づいた過去の栄光にすがっていると 自発的に物事を考えることができなくなるため どんなに学力成績が高くても頭は良くならない
教えられた内容に間違いがあっても気付くことができず 間違った内容を鵜呑みにして間違った判断をし続けるようになる
「ウイルスは弱毒化する」などと断言している医者達が典型である
進化生物学界における合目的的能動進化説を鵜呑みにしているから 「進化には目的がある」という非科学的オカルト観念を鵜呑みにできるのである
遺伝的進化の全ては偶発的結果であって 目的も方向も存在しない
環境適応であっても 環境自体は決して不変ではなく むしろ生物自体の活動によって環境への影響を及ぼす以上 遺伝的進化というものには終着点や目的は全く存在しないのである
最初から「わからない」と言うのであれば これはバカではない
「わからない」ことは「わからない」と保留することは科学では重要な判断だからである
論理客観的には理解できていないにも関わらず 教えられたことを漫然と鵜呑みにして何ら自分では検証せずに 教えられたことを教えられた通りにしか答えられないからバカなのである
ナチスのユダヤ人絶滅収容所の吏官は ナチス政権下の価値観が間違っているかどうかを自分の脳で考えなかったから 大量殺害計画書の作成に邁進することができたのである
バカは多数や権威に迎合しておけば安心満足することができる
多数や権威に迎合しておいた方が生存にとっては有利に働くことが多いからである
だが 多数や権威に無為に迎合服従しているからこそ 社会持続可能性や安全性の喪失につながることを 多くのヒトは「理解」していない
意識の本質とは 何が真実なのかを客観的に論理検証することであって 情動の強度程度で決定しているからデマや嘘を信じ込む羽目に陥るのである
ヒトという種の生物は 「信じたいものだけを信じようとする」習性があるため 認知的不協和(気分が悪い)を解消する形で信じたくない話は論理客観的根拠があっても頭ごなしに無視しようとするのである
これが洗脳の基本メカニズムである
かつて一度教え込まれて信じ込んだ「生物やその遺伝的進化には目的がある」という話を事後正当化する形で 学力偏差値が高いだけのバカは「生物やその遺伝的進化には目的がない」という科学的な客観的事実を受け入れようとはしなくなる
洗脳というのは バカだから洗脳されるのである
バカでなければ洗脳状態には陥らない
当たり前の話ですな
Ende;