聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院に勤める研修医たちの日々の情報をリアルにお届けいたします。

指導医徒然日記 ~研修医の労働と本学の取り組み~

2009-05-31 15:22:45 | Weblog
お疲れさまです。
さて、研修医の先生方の疑問に直接的に答えられるかわからないけど、
臨床研修必修化においては労働性と学習性の問題はかなりされたのね。
そこで新臨床研修制度における指導医ガイドラインから学習環境整備の項目で触れてる内容を
ちょっとここで紹介しておきます。
ただしここで紹介する内容は指導医ガイドラインに沿っていますのであしからず。

まずは研修医の労働・研修時間をめぐる背景から
現時点で日本における労働時間に関する規制では、いわゆる労働基準法がありますよね。

そこでは労働時間等が規制されている。その中(労働基準法第32条)にね、
労働時間は1週40時間、1日8時間とあるわけです。
34条には休憩も記されている。もちろん休日についてもちゃんと記載されてます。
ほんと細かく規定されているのです。
その中で宿日直の回数として、宿直については週1回、日直については月1回程度を限度。
そのようになってるんですね。
さてここでいう宿直とは何か?
こんな風に書かれています。
1.通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること
2.夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外に、病院の定期巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温等、特殊の措置を必要としない程度の、又は短時間の業務に限ること
3.夜間に十分睡眠がとりうること

うう~ん困ってしまいます。
多くの勤務医において当直とはこのようなものだと言っても、
それは現実感がわかない?
とくに救命センター勤務がある場合はどうなんだ?ってことで、
ちゃんと記載があって、そのような勤務内容ではきちんと時間外労働としての賃金を支払うようになっています。

そうなんです。
研修医の夜間急患センターでの研修では学習性もありますが労働性を認めて手当てがちゃんと支給されているんです。

でもね、一方で日本では、研修医や若い先生たちの教育(学習性)については、
そもそも出席の強制がなく自由参加のものであるが多い。
つまりこのような学習性の意味の多い研修内容に要する時間は労働時間にあたらないと解釈されているんです。
だからね、指導医の行う手術の見学や文献の勉強等の教育を時間外に実施することについては、
出席が強制ではなく、自由参加のものであれば、時間外労働にならないものと考えられるてるわけ。

例えば、研修医の先生が当直するならその時間は患者さんの急変や診療をするための時間であり、
学会の準備や自己学習のために費やすためではない。仮に病棟からの呼び出しに対して、
「ちょっと待って、今忙しいから」は、あり得ないのです。ほんとはね。

救命センターを抱える聖マリアンナ医科大学は、救命での労働性が重要視されます。
給与体系もそういう一面をもっています。
そこで、きちんと研修医の先生方にも、手当てを支給しているんですよ。

さて最後に海の向こうの話。

米国では2003年7月から、すべての研修医の労働・研修時間(Duty Hours;病院内外での労働、研修、医学生の教育等研修医であることに伴う全ての活動の時間)について、強制力を伴う規制を開始したんです(米国ACGME(The Accreditation Council for Graduate Medical Education)の新規制)。
それによれば新たな規制内容は;
・ 1週間の労働・研修時間は80時間以内(だだし、4週間平均で計算)
・ 勤務と勤務の間に10時間以上の休息を設ける
・ 連続勤務は24時間以内(患者引継等の新患や治療を伴わない業務ではさらに6時間延長でき、これを合算すれば連続30時間まで勤務可能)
・ 1週間に1日以上の完全休暇日(ただし、4週間平均)
・ 当直の頻度は3日に1回まで(ただし、4週間平均)

これを具体的に表現すれば;
・ 勤務日は1日平均10時間勤務
・ 4日に1回のペースで24時間連続当直+6時間の引継業務等
・ 1週間に1日の休暇
で週あたり77.5時間の計算となるんだそうです。


例えばT病院での救命勤務の研修医は、
日勤と準夜さらに深夜勤務できちんとした休日を設けて
一週間で80時間を達成。
病棟の研修医は、月~金曜日毎日10時間。当直帯は準夜6時間2日と深夜8時間が1日。
土曜日5時間を加えてみれば、合計で75時間となります。
でもこの時間をすべて臨床業務にはしないように気を使うわけです。

くれぐれも勤務時間≠労働時間ではないので誤解のないようにお願いします。

正直ね、学習性で言えば、これくらいの臨床の機会がないと研修としては心もとないのが現実。
研修医もまたきちんとした研修をという思いが強ければなおさら無理するヤツがいるのではと危惧します。

つまり、無理をさせずに効率よく研修させる。

ここは重要なポイントですよね。

ということでまだまだ議論が多い内容を含んでいるです。
わかるかな~?


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