銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。
それは江戸からの粋を伝える物であったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。
その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。
今回は「飾り櫛」でまだご紹介していないもののをご覧いただく存じます。
が!じっくりご紹介したいので
数回に分けてご紹介させていただく予定です!
どうかお付き合い下さい。。
まず1点目。
「櫛 桜蒔絵(さくらまきえ)」 政光作 横9.5cm×縦4.2cm
鼈甲台の櫛です。えんじに近い赤の漆が下地として塗られています。
少し小ぶりの櫛ですが、螺鈿蒔絵で飾られているので
とても綺麗な輝きを見せています。
こちらはもう一面。
両面とも満開の桜の木が描かれています。
春のお出かけに身に付けたものでしょうか。
それにしても、表裏で桜の枝の太さの違い(幹か枝か)を表現するなんて。
1つのの櫛で色々な表情が見られるのは、ゼイタクな趣向ですね。
「政光」の作者名が入っています。
アップで撮影したので、桜の花の細部まで見られます。
きれいですねぇ~。
下の書き付けは先代の手による覚書です。
「桜蒔ヱ 青蝶貝」とあります。
青蝶貝とは夜光貝の一種で、貝の裏面の真珠層を加工し
「螺鈿(らでん)」として蒔絵に使われています。
色の様々な表情が作品に輝きを与えているようで、
日本では古くから用いられています。
櫛を上から見たところです。
この細い部分にまで蒔絵が施してあります。
職人さんの仕事の細かさにいつも驚かされます。
もう一つはこちら。
「櫛 切金菊蒔絵(きりかねきくまきえ)」孝永作 横9.7cm×縦4.7cm
鼈甲台に切金蒔絵をほどこし、
さらに光沢のある白やピンクや緑の蒔絵で小菊を表現しています。
櫛の歯にかかる秋草の表現が素敵です。
*切金蒔絵(きりかねまきえ)=金や銀の薄い箔を 細長や三角などにさらに細かく切り、これを貼り付けて文様をつける技法。
切金細工の細かさたるや!
この四角に切ったものはわずか1mmに満たない大きさです。
これを一面に張り付けるのは気が遠くなりそうな作業です。。。
「孝永」の作者名が入っています。
格調の美-櫛笄(その4)でご紹介した『笄 秋草』の作者と同じようです。
こちらはもう一つの面。
小菊が少ないので、おそらく裏面です。
下の書付は、やはり先代の書き付けによる覚書で
「切かね菊蒔ヱ」とあります。
今回は春と秋の櫛をご紹介いたしましたが、
銀座平野屋で所蔵している櫛笄は、桜や菊が多いように感じます。
昔から日本人に馴染みの植物だったのですね。
長くなっておりますので、
本日はここまでにいたしとうございます。
↑これだけありますよー
まだ続きます(気長にお待ちください)
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