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銀座平野屋女将日記

銀座平野屋210年のあゆみと老舗女将の嫁日記

季節の美ー飾り櫛(その3)-

2019-03-22 | 日記

 

銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。

それは江戸からの粋を伝える物であったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。

その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。

 

 

今回は「飾り櫛」でまだご紹介していないもののをご覧いただく存じます。

「飾り櫛」は以前も取り上げております→(その1)(その2)

が!じっくりご紹介したいので

数回に分けてご紹介させていただく予定です!

どうかお付き合い下さい。。

 

 

 まず1点目。

櫛 桜蒔絵(さくらまきえ)」 政光作 横9.5cm×縦4.2cm

 

鼈甲台の櫛です。えんじに近い赤の漆が下地として塗られています。

少し小ぶりの櫛ですが、螺鈿蒔絵で飾られているので

とても綺麗な輝きを見せています。

 

 

こちらはもう一面。

両面とも満開の桜の木が描かれています。

春のお出かけに身に付けたものでしょうか。

それにしても、表裏で桜の枝の太さの違い(幹か枝か)を表現するなんて。

1つのの櫛で色々な表情が見られるのは、ゼイタクな趣向ですね。

 

「政光」の作者名が入っています。

アップで撮影したので、桜の花の細部まで見られます。

きれいですねぇ~。

下の書き付けは先代の手による覚書です。

「桜蒔ヱ 青蝶貝」とあります。

 

青蝶貝とは夜光貝の一種で、貝の裏面の真珠層を加工し

「螺鈿(らでん)」として蒔絵に使われています。

色の様々な表情が作品に輝きを与えているようで、

日本では古くから用いられています。

 

櫛を上から見たところです。

この細い部分にまで蒔絵が施してあります。

職人さんの仕事の細かさにいつも驚かされます。

 

 

 

 もう一つはこちら。

櫛 切金菊蒔絵(きりかねきくまきえ)」孝永作 横9.7cm×縦4.7cm

 

鼈甲台に切金蒔絵をほどこし、

さらに光沢のある白やピンクや緑の蒔絵で小菊を表現しています。

櫛の歯にかかる秋草の表現が素敵です。

 

*切金蒔絵(きりかねまきえ)=金や銀の薄い箔を 細長や三角などにさらに細かく切り、これを貼り付けて文様をつける技法。


切金細工の細かさたるや!

この四角に切ったものはわずか1mmに満たない大きさです。

これを一面に張り付けるのは気が遠くなりそうな作業です。。。

「孝永」の作者名が入っています。

格調の美-櫛笄(その4)でご紹介した『笄 秋草』の作者と同じようです。

 

こちらはもう一つの面。

小菊が少ないので、おそらく裏面です。

下の書付は、やはり先代の書き付けによる覚書で

「切かね菊蒔ヱ」とあります。

 

 

 

今回は春と秋の櫛をご紹介いたしましたが、

銀座平野屋で所蔵している櫛笄は、桜や菊が多いように感じます。

昔から日本人に馴染みの植物だったのですね。

 

 

 

長くなっておりますので、

本日はここまでにいたしとうございます。

↑これだけありますよー

まだ続きます(気長にお待ちください)

 

 

 

 

 



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