銀座平野屋女将日記

銀座平野屋210年のあゆみと老舗女将の嫁日記

江戸の技を伝える3つのもの(その2)

2019-05-30 | 日記

 

銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。

それは江戸からの粋を伝える物であったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。

その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。

 

 

 
 
 
 
前回に続き、江戸の技術を伝える「3つの入れ物」のご紹介です。
 
 
✳︎1つ目はこちらから→
 
 
2つ目です。
 
「鹿革巾着袋」(23.5×26cm)
 
 
鹿革で出来た巾着袋です。
 
実はこの巾着袋。元々は江戸時代の「革羽織」をつぶして作られたものです。
 
「革羽織」とは、鹿の揉み革(もみがわ)で作られたれた羽織です。 
「革半纏(かわばんてん)」ともいいます。
江戸時代中期頃から、町火消や鳶(とび)の親方衆が
燻革(ふすべがわ)で仕立てて防火用としたり、
防寒用として着用されてきました。
表裏の色を変えて、どちらを表にしても着られるように仕立ててあります。

つまり、この革羽織は、江戸時代の革加工の技が結集したものなのです!
 

 
✳︎揉み革(もみがわ):なめし皮の表面を削り、もんで柔らかにしたもの。
表面に細かい皺(しぼ)がある。

✳︎燻革(ふすべがわ):松葉などの葉で燻された革



 
 
 
 
紐を通している白い細い棒状のものは「扱き(こき)」と言います。
牛骨でできています。
 
『扱き』は「しごく」とも読みますが、
「引き抜くように動かす(=扱く:こく)」ところから
「こき」と呼ばれているようです。
 
 
 
 
この鹿革巾着の表面です。
皺(しぼ)が見られます。
 
鹿革は湿気に強く、通気性に優れている一方で、
油分の多い性質為、扱いやすい素材だそうです。
そして滑らかな手触りなので、
昔から鎧などの武具や足袋としてでも使われてきました。
 
この巾着袋は、湿気を嫌うものを入れる為に作られたのでしょうね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3つ目です。
 
 
「鹿革製叺(しかがわせいかます)」(10.5×7.5cm)
 
 
こちらも江戸時代の「革羽織」をつぶして作られた叺です。
 
✳︎「叺(かます)」についてはこちらをご覧下さい→
 
鹿革は油分を多く含んでいるので、水に濡れても油分が失われることがありません。
つまり雨の日も使うことができる素材です。
水気を嫌う煙草を入れるのにちょうどよい素材なんですね。

 
 
かぶせを開けた状態の内部です。
こはぜや、スナップ状の裏座などはついていません。
 
 
 
かぶせを開いた外側です。
かぶせの「背」の白い模様のようなものは、
革羽織に描かれた大紋(背中の大柄の紋様)の一部です。
 
 
たばこを入れるための叺は、粋を好む人が己のこだわりをもって作られたものです。
江戸の花形職業の町火消が命を預けた革羽織で作られたというのは
持ち主にとって、最大の自慢のネタになったのでしょうね。
 
 
 
 
 
↓ちなみにこちらが銀座平野屋が所蔵する革羽織です。
(つぶしたものとは別物です)
 
 
 
銀座平野屋では先代の時代に、この貴重な革羽織で袋物や札入れを作りました。
今回ご紹介の巾着袋と叺は、江戸の加工技術が垣間見られる貴重な品々であり、
銀座平野屋の歴史を語る品々なんですね。
 
 
 
 
 
 
 
 
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江戸の技を伝える3つのもの(その1)

2019-05-29 | 日記

おはようございます。

昨日、東京に戻って参りました!

これから、小倉に向けての準備が始まります。

小倉の皆様、お待ちくださいね。

 


 

銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。

それは江戸からの粋を伝える物であったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。

その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。

 
 
今回は江戸の技術を伝える「3つの入れ物」のご紹介です。
 

 

 

 まず1つ目。

中央の小箱から。

桑の木を使って作られた「江戸指物の小箱です。

(縦7.5×横7.5×高さ4.7cm)

 

江戸指物(えどさしもの)」は

金釘を一本も使わず、外側に組手を見せずに作られた木製品です。

箪笥や机、鏡台など大きめのものから、煙草盆や硯箱のような小さめのものまで

様々な調度品が作られています。

大きく発展したのは江戸時代だそうで、

道具に工夫を凝らし、木目を活かし、

組手を外から見せない木の組み方に江戸の職人の技が光りました。

 

その技術が受け継がれてきましたが、

残念ながら職人が減ってきているのが現状です。

けれどその中でも、特に台東区で技術の継承が続いており、

女性の職人さんも誕生しています。

台東区では工房も多く、今なお江戸指物の調度品が数多く作成されています。

 

 

 

蓋を開けたところです。

木の継ぎ目を探しても、なかなかわかりません!

そしてこの艶やかな表面。

手にしっくりと馴染んでくる小箱です。

蓋がスッとはまる感触も気持ちがいいものです。

 

 

2つ目です。

。。。と言いたいところですが。

ごめんなさい!長くなりそうなので、次回に続きます!

 

 

 

 

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鹿児島山形屋さん、無事に終了しました!

2019-05-27 | 催事

先程、無事に鹿児島山形屋さんの

大江戸のれん市」が終了いたしました。

ご来店下さいました全てのお客様、

まことにありがとうございました。

また鹿児島のお客様にお会いできるのを楽しみにしております!

 

取り急ぎ、ご挨拶までに。。。

 

ありがとう!鹿児島!

 

 

→これもまた次のお楽しみに。。。


さて、次は

6/5(水)〜11(火)小倉井筒屋さん

東京・江戸 味と技めぐりです!

東京に戻ったら小倉に向けた準備に取りかかります!

 

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井筒屋小倉店「東京・江戸 味と技めぐり」

2019-05-27 | 催事

 

本日2つめ更新です。

 

本日は催事のお知らせです。

 

6月5日(水)~11日(水)井筒屋小倉店さんにて

東京・江戸 味と技めぐり」に出店いたします!

 

場所は本館8階催場です。

 

 

皆様のご来店を心よりお待ちしております!

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本日最終日!鹿児島山形屋「大江戸のれん市」

2019-05-27 | 催事

皆さま、おはようございます。

 

鹿児島山形屋さんにて開催の

大江戸のれん市本日最終日です!


早いもので、とうとう本日最終日となってしまいました。

いつもご贔屓にしてくださるお客様、

はじめましてのお客様。

多くのお客様にご来店頂き、本当に感謝しかございません。

 

 

美味しいものや楽しいところが多い鹿児島。

あと一日楽しみたいと思います!

ちなみに本日は5時までです

お早目にご来店下さいね。

 

 

 

 

 

 

場所は1号館6階大催場です。 

本日5時までとなります。

皆様のご来店を心よりお待ちしております!

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