銀座平野屋女将日記

銀座平野屋210年のあゆみと老舗女将の嫁日記

根気の粋ー縫潰札入「翁」-

2018-04-27 | 日記

銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。

それは江戸からの粋を伝えるものであったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。


その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。





『縫潰札入(ぬいつぶしさついれ)「翁」』江戸時代 縦16.5×横10.4×マチ1.5cm(折り畳んだ状態)



絹糸で作った瘤を木綿地に1つ1つ縫い込んでいくこの手法は、

途方もないほどの時間と労力を費やす、根気のいる作業によって生まれたものです。

能を題材を得たこの作品は、面と衿と松などを刺繍で作り、周囲をこの縫い潰しによって施されています。



翁の顔のアップ。翁の眉が小さな梵天状になっていたり、刺繍で作られた能衣装も立体的に表現されています。

背景の黒い部分が「縫潰し(ぬいつぶし)」の技法の部分です。



扇、松部分のアップ。扇の鶴の刺繍も細やかにもかかわらず、立体的!
細かいたくさんの瘤が見えるでしょうか。うまく写真が出るかな?


装束のアップ。この袂部分の盛り上がりが見事!本当に刺繍?と思ってしまいます。



札入れの内側はこのようになっております。






このような札入れをどんな趣味人が所持していたのでしょうか。

江戸時代の職人の技の高さに驚かされる逸品ですね。

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エキゾチックの粋ー古渡印度更紗「唐花」紙入ー

2018-04-13 | 日記
銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。

それは江戸からの粋を伝える物であったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。

その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。




『古渡印度更紗「唐花」紙入』縦10×横16.2×マチ1.5cm



これは古渡印度更紗の生地を札入(紙入)に仕立てたものです。
古渡更紗はこの女将ブログでもたびたび登場しておりますが、
地の色はクリーム色に古色を帯び、型押しの草花模様に金の彩色が見られ、いにしえの南国を思わせるゆったりとした趣が感じられます。



窓際で撮影しました。金のキラキラ感が伝わるでしょうか。

銀座平野屋ではこの生地を、先代社長の書き付けにより「白地蔓唐草金更紗(しろじかづらからくさきんさらさ)」と呼んでおります。


札入(紙入)などの縁の部分を嚢物用語では「玉縁(たまべり)」と称します。
通常、玉縁に用いる革は丈夫で、さまざまな材としっくりするところから馬皮を用いたそうです。
この作は、そうした玉縁の手本ともいうべきものの一つと聞いております。


茶色の縁が分かりますでしょうか。これが「玉縁」です。


こんなにも素敵な札入をどんな人が所持していたのでしょうか。
エキゾチックな逸品。きっと自慢の品だったのでしょうね。
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西宮阪急「大江戸工芸展」

2018-04-11 | 催事
連日、銀座の町は観光の人々や、お買い物の人で賑わいをみせております。

冬の頃よりも4月に入ってからは特に人が増えているような・・・

益々外歩きが楽しい時期ですね。



本日は催事のお知らせです。

4月18日(水)~24日(火)西宮阪急にて
大江戸工芸展
に出店いたします。



場所は1階催事場です。






かわいらしいリボンチャームのついた2WAYハンドバッグなど、新しい商品を取り揃えております。


銀座平野屋の「春の西日本催事の旅」もいよいよ大詰めとなってまいりました。

皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げます。
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井筒屋小倉店でおまちしています❣

2018-04-06 | 催事
すっかり春らしい暖かい季節となりました

4月4日(水)~9日(月)まで井筒屋小倉店での「大江戸展」に出店しています。

新しい商品を取り揃えて皆様のお越しを心よりお待ちしています。



お近くの方、お散歩がてら是非お立ち寄りくださいませ。

皆様に会えるのを楽しみにしています。

お待ちしていま~す。


限定販売の商品もございます。
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江戸の粋ー鉈豆型煙管入ー

2018-04-05 | 日記
銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。

それは江戸からの粋を伝える物であったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。

その中で銀座平野屋には、江戸時代から伝わる逸品もございます。




『沈香、鉈豆形、筒(じんこう、なたまめがた、きせるいれ)』 懷玉斎 補作


煙草入れにはなた豆の葉。
これは白檀で作られています。(長さ21cm幅3.2cm)


なたまめの煙草入れをよーく見ると、なんと!なめくじが。

結構リアル。
このなめくじ(3.8cm)は白べっ甲で彫られてます。
こんな小さななめくじが、べっ甲の中でも希少性の高い白べっ甲で作られています。


刻みたばこを入れる蔓草も様の描かれている袋、「百襞巾着(ひゃくひだきんちゃく)」は印伝でつくられています。

(横9.5×縦17cm 口径役3cm)
印伝の革は柔らかく、その用途も開閉が頻繁な巾着には最適で、
しかも革にも関わらず帛(きれ)の感触があるので、江戸の通人に好まれたようです。

そしてここには直径1.2cmのとんぼ玉が。とってもお洒落!

*印伝(いんでん)=鹿や未の革をなめし、漆で柄付けしたもの。袋物に多く使われます。銀座平野屋でも江戸印伝の袋物をお取り扱いしております。


この作品のベースを作った職人の名前はわかりませんが、
懷玉斎(かいぎょくさい)という江戸時代後期の一流象牙彫の大家の補作として銀座平野屋に伝わっております。
補作とはいえ筒(煙管入)の作品は懷玉斎としては珍しく、根付類の作品が多いようです。

名もなき彫刻師が完成させなかった本体のなた豆を、
白檀でなた豆の葉と白べっ甲でなめくじを埋め込んで、
芸術作品といってよい逸品に完成させた江戸時代の懷玉斎という職人の仕事の素晴らしさと
この素敵な煙草入れを所持していた江戸の人の粋を感じずにはいられません。
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