銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、素敵なものが数々ございます。
それは江戸からの粋を伝えるものであったり、先人の技や美を伝えるものであったり様々です。
その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。
『縫潰札入(ぬいつぶしさついれ)「翁」』江戸時代 縦16.5×横10.4×マチ1.5cm(折り畳んだ状態)
絹糸で作った瘤を木綿地に1つ1つ縫い込んでいくこの手法は、
途方もないほどの時間と労力を費やす、根気のいる作業によって生まれたものです。
能を題材を得たこの作品は、面と衿と松などを刺繍で作り、周囲をこの縫い潰しによって施されています。
翁の顔のアップ。翁の眉が小さな梵天状になっていたり、刺繍で作られた能衣装も立体的に表現されています。
背景の黒い部分が「縫潰し(ぬいつぶし)」の技法の部分です。
扇、松部分のアップ。扇の鶴の刺繍も細やかにもかかわらず、立体的!
細かいたくさんの瘤が見えるでしょうか。うまく写真が出るかな?
装束のアップ。この袂部分の盛り上がりが見事!本当に刺繍?と思ってしまいます。
札入れの内側はこのようになっております。
このような札入れをどんな趣味人が所持していたのでしょうか。
江戸時代の職人の技の高さに驚かされる逸品ですね。