松崎の街には沢山のなまこ壁の民家が並んでいました。
なまこ壁とは防火、保温、防湿などを目的とした建築技法で、壁面に四角い平瓦を貼り付け、その瓦の継ぎ目に漆喰をかまぼこ状に塗り、その盛り上げた漆喰の形が海鼠(ナマコ)の姿に似ています。
東京帝国大学で薬学主任教授を務め、昭和33年に文化勲章を受章した近藤平三郎の生家、
明治43年の建築で、以前は呉服商を営み、現在は無料休憩所となっている伊豆文邸などの民家が、見事なまでのなまこ壁を見せて並んでいました。
福島県の喜多方や岡山県の倉敷などでも見かけた、なまこ壁の家々は、松崎の街に独特の風情を醸し出していました。
樹齢1000年を数える伊那下神社の大イチョウは、昭和27年に静岡県の天然記念物に指定されています。
樹勢が盛んなころ、黄葉する秋には船乗り達が海上十里から松崎港の目印としたそうです。
松崎での見学を終えて、私は次の目的地である熱川バナナ・ワニ園へと向かいました。
県道15号を抜けて、国道414号へ入ります。
国道横の梅の木には花が溢れていました。
国道を両側から挟む、山の斜面の竹林の葉が萌黄色に光り、季節が動き始めたことを物語っていました。
しかし、期待していた河津の桜祭りは、異常気象の為か、例年だと堤をピンクに染め上げる桜の花が、可哀想なほどに憐れな状況で、桜の季節には今少しの時間が必要なようです。
花の盛りに巡り会えた時の喜びはひとしおですが、人生同様に、いつも思い通りとはいかないようです。
満開の花との出会いや幸運との巡り合わせは、三度に一度、打率3割程度のものなのかもしれません。
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