*begejstring for DANMARK*

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君へ。

2006年05月19日 | *デンマーク・北欧諸国*

【注意】すごく、重い話です。そしてまた長い話。ごめんなさい。無理そうであれば、飛ばしてください。





これが、君への手向けになるならば。

いたずらっ子な君、でもそれはきっと淋しがり屋だったから、だよね? 

ここに君のことを書くことで、君にさらなる安らぎが与えられるのならば。



 
ほんの数日間、

ほんの数日間を、

私は、

私たちは、

君と過ごしただけだったのに。



デンマークまでのあまりに遠い距離感を嘆いた時もあったけど、

考えてみたら、それを埋める方法はいくらだってある。


どんな乗り物に乗っても、今の君には逢えない、遠いとおいところ。

そして、もっとも近いところ。



今の君は、楽しい思い出だけを持ってそこにいるんだろうね。

もう苦しまなくてもいい、苦しみのない場所に。

その楽しかった思い出の中に、日本のことは、入ってるかなぁ?

私たちの、みんなのことは、入ってるかな?


日本のことに興味を持って来てくれてた君、

5倍もの倍率、ダントツ一番人気だった日本に来れた君たちの1人、


あの満開だった桜も、覚えてくれてるかな?

みんなで、青空の下、散歩したよね。




みんなが自由にぶらぶらしていた時、お土産屋さんの前でなにやら物色していた君、

君の食べ物に関することは聞いていたから私が話しかけたら、


「これはナニで出来てるの?」
「リス・パウダー(お米の粉)」(こんな単語ですらデン語と英語混ざってる)
「あぁ、リス・ケェエ!」(お米の粉から作られる、デンマークのケーキみたいなもの?)
「これは?」
「あ、これは小麦粉入ってる」
「これは?」
「(小豆!? あんこ?)え、えっと…やぱんすけ・すいーと・びーんず、かなぁ…(汗)」(また混ざってる)

そこで売っていた食べ物系のものを次々と指していく君、一生懸命説明する私、

そして、食べられそうなものはお煎餅のみ。


買う時になって、ちら、とお財布を覗く。


小銭しか入ってないやん!


…でも、やっと探した唯一の食べられるものだっただけに、私が買ってプレゼント。

その、嬉しそうな顔!

私より全然背が大きいくせに、その、天使のような笑顔。


半分こに割ったのを、一緒に食べたよね。
私はいいよって言ったのに、無理やり私に渡して。

すっごく、美味しそうに食べてた。

すっごく、美味しかった。





いつも帽子をかぶっていた私、

ある時それを奪って、そのまま洗面所にこもったきり、出てこない。

ほかの子と喋りながらも、内心すごく心配だった私、

かなり経ってから、

出てきた。


ポーズ!
え、そ、それがやりたかったの!?


小学生かい!


でも、大笑い。


それを撮った写真が、ここにあるよ。

ニヤリ、と笑って。

満足そうに。






語学にハンディがある私は、君とも、君以外の子たちともなかなか喋れなくて、

でも、ある時から君とは話せるようになって、

あまりにも私が言葉をわからな過ぎでも、電子辞書を使いながらでもなんとか頑張って。




そういえば…HARIBOのミント味のも、無理やり…渡してくれたような…?

また、ニヤッとわらいながら。チシャ猫みたいに。

私、ミント味嫌いなんだけど? でも、ニヤリ。

それに…HARIBO、君は食べて大丈夫なの? また、ニヤリ。うなずきながら。

しょうがない、…口に入れて。


…あ、大丈夫だ、これ。おいしい。

それを聞いて、また、ニヤリ。






君が、君たちが、日本に来てくれた時の写真とかビデオをまとめたもの、

もうそれは観たことがあるものだったけど、でも、

君のことを聞いてから、データを送ってもらって、また観てみたよ。

みんな笑ってる。

君も、笑ってる。



この、私たちの苦しみは、

君と一緒に生活していたみんなと比べれば…まだ、いい方なのかもしれない。





今、君はもしかしたら、不思議そうな顔で私たちを見下ろしてるのかもしれないね。

なんでみんな、そんなに泣いてるの?

叫んでいるの?

なんでみんな、そんなに怒ってるの?

いつもの、笑い声は?


苦しみ、という感情がない、その場所で。



きっと、手にはたくさんのチョコレートとか甘~いケーキ。

そしてコーラ? 糖分たっぷりの飲み物?

たくさん並んでた自動販売機で売っているものもすべて、説明したね。…日本特有のものを説明するのがこんなに大変だとは。

もう、甘い物も、小麦粉が入ってるものも、我慢しなくてもいいもんね。

あんなに、食べたそうにしてたから…。






成田で、君たちを見送った時、

「Vi ses !!」(またね!)って、HUGしながら、君に言ったよね。

またいつか、会えると思っていたんだ。

偶然に、でも。

狭い国の利点、として。


本当に、私の「明るいデンマーク未来予想図」の中の1つに、それは組み込まれていたんだ。


偶然、君と街で出会って、

そして傍らには、君の可愛い彼女がいて、

その彼女は私好みでもあったりして(!?)、

「日本であんなこと、あったよね~」って、その彼女にも分かるように、噛み砕いて、その頃にはもうちょっと話せるようになってる(はず)のデン語で説明して、

近くのカフェに入って、いろんなおしゃべりをして…


そんな、普通の、他愛もないようなことを、そんな未来こそを、私は想像していたんだ。

特別な未来ではなく、

そんな、普通の生活。

君の、

私の、

みんなの。








大輪の、白い花から、

甘ったるいような香りが、部屋中にたちこめている。


行くことが出来ない、だから、その代わりに。


その前には、封を切ったミルク・チョコレート。

これはダメなんだ、と言いながら置いたことがあったよね。


傍には、帽子。


明日は、日本のお菓子を買ってくるね。








私がそこに行った時は、その中を君が案内してね。

いつか、誰もが行くところだから。



私たちを、そこから、ずっと見守っていて。





きっとみんな、忘れないから。

私も、忘れないから。




君を、

君のことを。






……君へ。

















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