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そよかぜノート

読書と詩の記録

おとなになれなかった弟たちに・・・

2007年08月01日 | book 児童書 絵本
米倉斉加年(よねくらまさかね)
偕成社 1000円
1983年初版 1983年作品

 『おとなになれなかった弟たちに・・・』 2007.8.1

母に---

ぼくの弟の名前は、ヒロユキといいます。

父は戦場に行った。母と祖母とぼくと妹と弟の5人で生活していた。弟は生まれたばかり。食べ物がなく、母親の乳の出が悪い。おもゆを飲ませたり、山羊の乳を遠くまで買いに行ったり、時々ある配給のミルクを飲ませたりしていた。ミルクは甘かった。ぼくは時々そのミルクを飲んでしまった。戦況が厳しくなって、僕たちは疎開することになった。親戚の家に行ったら、食べ物はないと追い返された。身も知らぬ田舎の家の6畳の部屋を借りることができた。弟は病気になって入院した。栄養失調だった。しばらくして弟は死んだ。小さな棺桶に入れられた。弟が死んだのは、1945年7月だった。あともう少しで戦争が終わったのに。

戦争がなかったら・・・戦争で犠牲になるのは兵隊だけではない。小さな子どもや年寄りや女性が、だれも守る人がいない中で死んでいく。「守る」とは敵から守るのではない。ましてや、特攻隊のように、君を守るために死にに行くなんて全然ちがう。生きることを許さない見えない敵から守るのだ。それは戦争を起こした人たち。戦争を進める人たち。でも、この時代は守ろうにも守ることができなかった。戦争はいやだと言ったら、生きたいと言ったら、悪いことだとされた時代。お腹がすいたということも言えない時代、お前達のために戦場でがんばっている兵隊さんに申し訳がない。本音は戦わないで生きてもどってきてほしいのに。
今のようにミルクはない。だれもがお腹をすかせている。人のことなど心配していられない。栄養失調で子どもが死んでいく時代なんて絶対あってはいけない。
戦争の悲惨さを考えていったら、必ず到達することこがある。それは、被害者としての悲惨さから加害者としての悲惨さだ。最近は加害者の怖さをその反省をなかったことにしようとしている人がいる。戦争の悲惨さを心から感じていない人だ。いつか、再び私利私欲のために戦争もよしと考えている人だ。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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なんなん (Unknown)
2010-10-06 17:57:11
たくときも
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あrr。 (りんりん)
2011-10-11 22:13:49
かわいそうな・・・
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