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そよかぜノート

読書と詩の記録

歩きだす夏

2007年07月28日 | book 児童書 絵本
今井恭子(広島県出身)
学研 1200円
2004年6月 初版 小川未明文学賞 大賞

 『歩きだす夏』 2007.7.27

とうとう夏休みがきた。わたしは、パパのいる北海道へと飛んだ。ところが----空港に出むかえていたのは、パパだけではなかった。パパによりそうようにして、若い女の人が立っていたのだ。「うそっ、うそでしょー!」わたし(加奈子)の小学校最後の夏休みは、最悪のスタートを切ることになった。

パパは発酵の研究をしていて、先輩に誘われ、札幌の会社の開発部門に移った。ママは陶芸の道に目覚め、パパと離婚して東京に残った。私はママと一緒に生活しているが、夏休みの三週間だけ札幌のパパのところに行く。ママの陶芸への道にも、パパの引き出しの中の花柄のハンカチにも、私は納得できない。悶々とした毎日を送っていた。パパもママも自分の好きなことをしてわがままなんだ。

 現代の物語の主流は「離婚」・・・その壁を乗り越える主人公たち。こんなにあっけらかんと離婚する人は、それほど憎悪や怒りを抱いていないし、それぞれがまっすぐな生き方を求めているからこその離婚であって、子どももいつか理解できる、というよりただ離れているだけのような感覚でいられる。でも、現実はもっとどろどろしているだろうなあ。ママはうらみつらみを子どもにぶちまげ、水商売の仕事で夜はいない。いつも酒のにおいをまきちらし、子どものことなんて無関心。子どもは非行に走り、暴走族から抜け出すぜ、夜の町を徘徊、現実か幻かわからないような生活、麻薬にそまり・・・・
自分で歩くことがどれだけ難しいことか。「好きな道」が、自分を生かす道であることを確信し歩くことができること、それが自立。ただ好きなことをするだけだったら、欲望に身をまかせたらいい。自分の判断で自分の道を歩き出す夏・・きっとさよ子さんのような寄り添う人が原動力になるのだと思う。自分から歩き出そうとするきっかけはやっぱり誰かなんだと思うなあ。さよ子さんで良かったね。


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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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いい話でしぃたぁ~♪♪ (吉富 楓)
2007-08-10 19:30:48
私は、初めこの話は「長くて全然おもしろくなさそ~とか思っていたけれど、読んでいるうちにわくわくドキドキしてきて「最後どうなるのだろ」と関心がでできましたぁ~♪♪
こんなおもしろい話はめったにないので「読書感想文に書かないと」思ったのですぐ書きましたぁ~♪♪
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コメントありがとう (soyokaze-note)
2007-08-12 09:43:58
そうだね。最初だけでやめてしまうと、後からの展開の感動を味わえないよね。最初からぐーんと迫ってくる物語もあれば、お膳立てをすませておいて、飛び出してくる物語もあります。これは後者の方だね。
このブログの初めてのコメントです。どうもありがとうございます。
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良い話でした♪ (♪KAEDE♪)
2008-02-17 15:28:16
とっても、良い話でしたまた、読みたいです
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泣けるぜぇ~☆ (♪KAEDE♪)
2008-02-17 15:30:19
とっても良い話で、読書感想文に書きましたまた、読みたいです
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