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そよかぜノート

読書と詩の記録

父からの手紙

2007年07月25日 | book 文庫

小杉健治
光文社文庫 648円
2006年3月 初版  2003年作品

 『父からの手紙』 2007.7.22

「父親の愛がもたらす深い感動」

毎年、阿久津麻美子と伸吾の誕生日に届く父からの手紙。10年前に家族を捨て、家を出てしまった。
殺人の罪を償い出所した秋山圭一。腹違いの兄の義姉を守るために人を殺した。でも、自分でもその動悸にひかかりがある。圭一は義姉の居所を探し始める。麻美子と圭一、全く接点がないように思われた二人が、次第に近づいていく。

 最初は、二人の主人公がいる2つの場面に戸惑った。何の接点もない二人が、これからどう結びついていくのかも楽しみだった。前半、それぞれの場面について理解し把握していくのにくたびれた。後半は、少し予想も立ち、その通りになるのかとワクワクしながら一気に読んだ。いつものことだけど、休みに入ると読み終えたくなる。
麻美子の父が50年間の手紙を用意し、さらにいくつかの出来事を考えそれにあった違った手紙を用意していたことには驚いた。それだけの手紙を用意するには、何ヶ月もかかったことだろう。いつ、どこで書いたのだろう。いらぬことを思ってしまう。こんな死んだ人が書き残した手紙と言えば、「ニライカナイからの手紙」を思い出す。どちらが先に書かれたものかはわからないけど、「ニライカナイからの手紙」という映画を先に見ているだけに、新鮮な驚きはなかった。圭一にとっては、手紙に関しては全く関わり合う場面がなかった。半分の物語の結末であり、テーマのような気がした。送っていたのは圭一の兄だったけど、バラバラだった主人公が交わったとき、中心に手紙が来ていなかったことが、題との違和感を感じたのだと思う。



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