真実を求めて Go Go

今まで、宇宙についての話題を中心に展開してきましたが、今後は科学全般及び精神世界や歴史についても書き込んでいきます。

「タイムトレベル」その1

2015年01月31日 | 物理学

 2006年に、タイムマシンの特許が公開されました。

 タイムマシンの特許は、オクラホマのマービン・B・ Pohlman 博士によって合衆国特許商標局に出願されています。
特許の全文は下記からダウンロードできます。
http://www.google.com/patents?id=oH2bAAAAEBAJ&zoom=4&pg=PA1#v=onepage&q&f=false

 この特許の中の図面が、2000年11月にインターネット上で、2036年からやってきたと自称しているジョン・タイターが公開した、タイムマシン操作マニュアルの中にある図面と全く同じです。特許の中には、PDFファイルをご覧になるとわりますが、数式が書かれており特許というより物理の小冊子のような感じです。
 もしかすると、ジョン・タイターとは、マービン・B・ Pohlman 博士だったのではないでしょうか。


 それでは、タイムトラベルについてですが、タイムトラベルには、必ずこれに伴うタイムマシンという機械を考慮に入れる必要があります。タイムマシンは機械ですから、それを製造する技術も必要になってきます。
 ですから、このブログではタイムトラベルに関係する物理的な問題が中心となった記述になってしまいます。

 タイムトラベルにとって、最も大事な要素としては「時間」と「空間」の関係は必然です。そのため、どうしてもアインシュタインの相対論と最先端の宇宙論を中心に考えていかざる得ません。
 そこで、今回はブラックホール・ホワイトホール、そしてこの二つをつなぐ橋であるワームホールに関係する話、「アインシュタイン・ローゼン橋」から書き進んでいきます。

 1917年、アインシュタインは一般相対性理論の方程式を完成し、重力により時空がゆがめられることを説明しました。そして、その同じ年に、ドイツの天文学者カール・シュワルツシルトが、球対称で回転していない質量の周りの、ゆがんだ時空を記述するアインシュタイン方程式の解を発表したのです。

 シュワルツシルト半径より内側からは光でさえ飛び出すことができません。もし太陽と同じ質量の天体が収縮したと仮定するとシュワルツシルト半径は約3kmになります。このシュワルツシルト半径より更に凝縮した天体はブラックホールになってしまいます。

 アインシュタインは、もともと、ブラックホールは自然界に存在しないだろうと考えていました。しかし、そんな思いとは裏腹に、その後、ブラックホールがだれも考えつかないほど奇妙で、中心にワームホールが存在する可能性すらあることを明らかになってきました。

 数学者はこれを多重連結空間と呼ぶ。物理学者がワームホールと言うのは、地中の虫(ワーム)が地中を掘り進むようにして、二点間を結ぶ穴(ホール)を作るものだからです。このワームホールは、次元の入口と呼ばれることもあります。呼び名はどうあれ、これはいつの日か次元間旅行の究極の手段となるかもしれないのです。

 ワームホールを一般に示した最初の人物は、ルイス・キャロルというペンネームで本を書いたチャールズ・ドジソンです。『鏡の国のアリス』のなかで彼は、鏡という形でワームホールを持ち込んだのです。その鏡を介して、オックスフォードの田舎と不思議の国がつながっていたのでした。
 オックスフォード大学の数学講師だったドジソンは、多重連結空間のことをすでに知っていました。多重連結空間は、定義上、輪を縮めても一点にできないような空間のことです。通常は、どんな輪もたやすくつぶして点にできます。しかし、ドーナツのような形の空間を考えた場合(これが多重連結空間)、その表面にドーナツの穴を取り囲むように輪を置けるのですが、この輪を空間のなかでつぶしていっても点にはできません。穴の輪郭までしか縮められないのです。

 1935年、アインシュタインと教え子のネイサン・ローゼンが、ワームホールを物理学の世界に持ち込みました。

 アインシュタインとローゼンは、電子(一般に何の構造ももたない微小な点と考えられている)をブラックホールと見なす斬新なアイデアを思いついたのです。このようにすれば、一般相対性理論は、統一場理論における量子の世界の謎を説明するのに利用できるはずです。
 ふたりはまず、長い首をもつ大きな花瓶にも似た、一般的なブラックホールの解に注目しました。そして首(ブラックホールでは喉と呼ばれる)の部分を切り、別のブラックホールを逆さまにしてそれにつなげたのです。アインシュタインの見たところ、この奇妙だが滑らかにつながった形状によって、ブラックホールは中心に特異点がなくなり、電子のように振る舞う可能性がありました。

 電子をブラックホールと見なすというアインシュタインのアイデアは、失敗に終わりましたが、今でも、宇宙論者達は、アインシュタイン・ローゼン橋がふたつの宇宙をつなぐ通路になりうると考えています。宇宙を飛びまわっていて、たまたまブラックホールへ落ちてしまうと、一気に穴へ吸い込まれて(ホワイトホールから)向こう側へ出る可能性があるのです。

 アインシュタインにとって、自分の方程式の解が物理的に妥当な前提から出たものなら、物理的に存在可能な物体に対応するはずでした。しかし彼は、だれかがブラックホールに落ち込んで並行宇宙に出るということは考えもしなかったようです。
 ブラックホールの中心では潮汐力が無限大になるので、不幸にもそこへ落ちた人間は重力場で原子までばらばらになってしまうからです。
(アインシュタイン・ローゼン橋は一瞬だけ開くが、すぐに閉まるため、どんな物体もそこを抜けて向こう側に到達することはできない)。

 要するにアインシュタインは、ワームホールが存在するとしても、生きて通り抜け、それを報告できるような生物はいないとする態度をとっていたのです。

ホワイトホール2
アインシュタイン・ローゼン橋; ブラックホールの中心には、われわれの宇宙にある別の場所や、別の宇宙の場所と,時空をつないでいる「首」がある、静止したブラックホールを通ると命はないが、回転するブラックホールなら、リング状の特異点をもつので、そのリングを通ってアインシュタイン・ローゼン橋を抜けられるかもしれない。ただし、これはまだ推測の域を出ていない。

 光の速度は、発光体が止まっていても動いていても、観測者が止まっていても動いていても一定です。下左図は光円錐を示しています。XY軸が距離、Z軸が時間で、原点が現在の位置、時間を示しています。光の速度で進んだ場合に光円錐上を未来へ進んでいきます。光速を超えることはできないので、光円錐の外側に行くことはできません。つまり、光円錐の内側は、私たちが知ることができる世界を現しています。

 1949年、数理論理学者クルト・ゲーテルは、アインシュタイン方程式のひとつに更に奇妙な解を発見しました。彼は全宇宙が回転していると仮定すると、宇宙の中の人は糖蜜のような性質を持つ時空に引きずられることになります。このゲーデルの宇宙を一周すると、初めの場所に戻ってきた時に時間を遡っているのです(下右図参照)。

 ゲーデルの宇宙では理論上、宇宙の中で時間的・空間的にどの二点間であろうと移動できます。どんなに遠い過去の出来事も見に行けるのです。一方、ゲーデルの宇宙には内向きにつぶそうとする重力が働いているため、回転の遠心力はこの重力と釣り合っていないとまずいことになります。つまり、この宇宙はある程度以上のスピードで回転している必要があるのです。宇宙が大きければ大きいほど、つぶそうとする重力も大きくなるので、つぶれないように早く回転しなければなりません。

 下の右図を見てください。この図で、宇宙の重力と宇宙の自転による遠心力が釣り合う回転の半径を臨界値Rとすると、臨界値Rを超えたところでは、時空のねじれによって、未来の光円錐が近くにある過去の光円錐と交差しています。リングを一周すると、自分の過去の光円錐へ戻ってくることができます。このような閉じた時間の環をCTL(Closed Time Link)と呼びます。
ctl_1.jpg
図左;光円錐            図右;CTL

 われわれの宇宙に当てはめて計算すると、700億年で1周する速度で自転していなければならなりません。そのときの臨界半径はおよそ160億光年で、CTLの長さは約1000億光年となります。非常に長い距離になるのですが、光速に近い速度の宇宙船で旅行すれば、ウラシマ効果によって内部の人間にとっては1年程度で旅行することができます。しかし、光速に近い速度まで加速するためには、膨大なエネルギーが必要なため、現実的には不可能でしょう。

 もし、宇宙が自転しているとすると、ビッグバンの残留放射線(宇宙背景輻射)に非等方性が生じているはずです。しかし、観測された結果によると、残留放射線の等方性が高いことから、宇宙はほとんど自転していないと考えられています。したがって、この方法ではタイムトラベルすることはできません。

 アインシュタインは、プリンストン高等研究所の同僚である友人が見つけた解に、大いに困惑しました。彼の反応にそれがよく表れています。アインシュタインの反応は、ふたつの理由で関心をそそられたようです。
 第一に、彼が、一般相対性理論を打ち立てたときにタイムトラベルの可能性に悩まされたことを認めています。時間と空間はぐにゃぐにゃに曲げられるゴムのように扱えるので、時空の生地を十分に曲げるとタイムトラベルができてしまうのではないかと案じたのです。
 そして第二に、アインシュタインは、「物理学的な理由」--つまり、宇宙が回転しておらず、膨張しているという事実--をもとにゲーデルの解を排除しました。

 アインシュタインが亡くなったころには、彼の方程式が、タイムトラベルやワームホールといった、奇妙な現象を可能にしてしまうことは広く知られていました。しかし、自然界では実現できないと思われていたため、その可能性をまともに考慮する人はいなかったのです。
 そのような解は現実世界とは関係がなく、ブラックホールを通って並行宇宙へ行こうとしても死んでしまうはずです。宇宙は回転しておらず、無限に長い筒は作れないのでタイムトラベルはあくまでも理論上の問題だ、とだれもが考えていたのでした。

 ところが1963年、この見方に変化が生じます。ニュージーランドの数学者ロイ・カーが、アインシュタインの方程式に、最も現実味のありそうな星の死に方を表す厳密解を見つけたのです。
 それが、回転するブラックホールでした。角運動量保存則により、星は重力でつぶれるにしたがい、自転する速度を上げます(フィギュアスケートの選手が回転する時、腕を縮めると速く回るようになったりする)。

 自転する星は、つぶれると中性子のリングになり、強烈な外向きの遠心力が内向きの重力を打ち消すのでそのまま安定します。そうしたブラックホールは、驚くべき性質をもっています。
 このカー・ブラックホールに落ち込んでも、あなたはつぶれて死にはしないでしょう。アインシュタイン・ローゼン橋を通ってどこかの並行宇宙に出られそうなのです。
 「この魔法のリングを抜けると、あら不思議、君は半径も質量も負のまったく別の宇宙に出ているんだ!」
この解を見つけたとき、カーは同僚に大声でそう言ったそうです。

 つまり、アリスが通り抜けた鏡の枠は、カーの見つけた回転するリングに相当します。しかし、このカー・リングを抜けるのは、片道切符の旅になるのです。
 カー・リングを取り巻く事象の地平線を通過するとき、重力でつぶれて死にはしないにしても、事象の地平線を越えてまた戻ることはできないのです(実を言うと、カー・ブラックホールには事象の地平線が二つある。一部の科学者は、その並行宇宙とわれわれの宇宙をつなぐ第二のカー・リングがあれば、帰りの旅ができると考えた)。



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1 コメント

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タイトルが「トレベル」 (LightCone)
2022-02-16 11:49:26
タイトルが、「タイムトレベル」になっています。
「トラベル」の間違いでしょうね。
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