真実を求めて Go Go

今まで、宇宙についての話題を中心に展開してきましたが、今後は科学全般及び精神世界や歴史についても書き込んでいきます。

逆二乗則から余剰次元の大きさを探す。0.1mm以下か?

2013年03月12日 | 宇宙

 現在検討されているもう一つの新たなアプローチは1998年に、アルカニ、ディモプロス、ドゥヴァリ - 頭文字をとってADDと呼ばれる - は、余剰次元は小さすぎて見えないというオスカー・クラインの主張に異議を唱え、余剰次元はプランクスケールよりはるかに大きく、少なくとも10の-12乗センチメートル、場合によっては0.1ミリメートルにまで大きくなっているかもしれないと主張した。
私たちの宇宙が三次元(および時間の一次元)のブレーンの上に張りついており、私たちはその三次元世界しか見ることができないという場合には、そのような可能性が出てくるというのだ。

 途方もない主張に聞こえるかもしれない。
余剰次元はきわめて小さいという考え方は、大多数のひも理論モデルを構築する上で前提となっている。
しかし、既知であるとされることが多いカラビ=ヤウ空間の大きさは、実は「まだわかっていない」のだと、
ポルチンスキーは言う、「数学者にとって空間の大きさは、もっとも興味の薄い事柄だ。大きさが二倍になっても、数学的には些細な違いだ。しかし物理学者にとっては、それを見るのにどのくらいのエネルギーが必要かを教えてくれるため、とうてい些細な事柄とは言えない」。

 ADDシナリオでは、余剰次元が拡大するだけではない。
重力と他の力が統一されるエネルギースケールが下がり、その過程でプランクスケールも下がる。
もしアルカニ=ハメッドらが正しければ、LHCにおける粒子衝突で生成するエネルギーが高次元に漏れ出し、エネルギー保存則が破られたように見えるかもしれない。
そして、ひも理論の基本単位であるひも自体も、見ることができるほどに大きくなるかもしれない ―― 以前は決してありえないとされていたことだ。
ADDチームの動機は、重力は他の力と比べて弱く見えるが、その差を説得力のある形で説明できていないことにあった。

 ADD理論は、その間題(余剰次元はきわめて小さい)に対してまったく新しい答えを示す。

 重力は他の力より弱くないが、他の力と違い別の次元に「漏れ出す」ため、本来の強さのうちごく一部しか感じることができず、見かけ上弱く感じられるというのだ。
その詳細なしくみから、観測する上でどのような戦略が可能かが見えてくる。
私たちが知っている四次元時空における重力は、逆二乗別に従う。
つまり、物体による重力の影響が、物体からの距離の二乗に従って小さくなっていくということだ。
しかし、もう一つ次元を追加すると、重力は距離の3乗に従って弱くなるようになる。
さらに、ひも理論で仮定されている10次元では、距離の8乗に従って弱くなる。

 つまり、余剰次元が増えるほど、私たちの四次元の立場から測定した重力は弱く見えるようになるのだ(静電力も、四次元時空では二つの点電荷間の距離の二乗に反比例し、10次元時空では距離の8乗に反比例する)。
天文学や宇宙論のように、長距離における重力を考える場合には、その相互作用は三つの大きな次元をもつ空間と時間の中で起こるため、逆二乗則が完壁に通用する。
奇妙な新たな方向(隠れた内部次元に対応する)に作用する重力に気づくのは、スケールが十分に小さくなってその次元の中を動き回れるようになったときだ。
私たちにはそれは物理的に不可能であるため、最良の、そしておそらく唯一の選択肢は、逆二乗則からのずれという形で余剰次元の手掛かりを探すことだ。
まさにその効果を物理学者が、短距離における重力測定によって探している。
彼ら研究者はそれぞれ異なる好みの実験装置を用いているが、目標は同じであり、小スケールにおける重力の強さを、以前は考えられなかったような精度で測定することを目指している。

それでも、実験的な手掛かりをほとんど与えてくれない苛立たしい宇宙に私たちが住んでいるという、バラ色とは言えないシナリオもつねにありうる。
もし宇宙論でも、加速器実験でも、実験室での実験でも何も見つからなかったら、基本的にお手上げだ。
そのような可能性は低いが、この状況は決してひも理論や宇宙論特有のものではなく、データ不足が響いている科学の他の分野でも似たりよったりだ。

 どちらかというと保守的な意見をもっているエドワード・ウィッテンは、長期的には楽観的であり、ひも理論はあまりに見事なので正しいに違いないと感じている、という。
ひも理論の正しさを検証するには、きっと幸運でないといけないのだろう。
万物理論の夢をたぐり寄せるひもはあまりに細く、まるで宇宙ひものようだと言っているように聞こえる。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿