仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

山行9:北八ヶ岳・天狗岳 (1976年12月)

2004-04-05 22:20:08 | 想ひ出の山
場所 :北八ヶ岳
時期 :1976年12月
ワンポイント :千葉高山岳部:昭和51年冬山山行
コース : 澁の湯 黒百合ヒュッテ 東天狗岳 西天狗岳 (2646mH) 黒百合ヒュッテ (テント泊)~ 澁の湯

<メンバー>
2年:寺本さん
1年:市原、日下、方波見、私


高校の山岳部は、部の活動として冬山へ行つてはいけないらしい。
とは云つても、我が千葉高山岳部では、毎年冬山山行を行つてゐる。
ただし、顧問の先生拔きなので、正式な(?)部活動ではないのですよ、と云ふのが我々の用意した理屈である。
でも、考へてみれば(考へるまでもなく)そのはうが危險だ。
冬山活動を解禁にしたうへで、具體的に安全要項を定めるなどしたはうが合理的だと思ふのだが・・・

それはさて措き、我々は期末試驗が終るやいなや、北八ツに向かつた。
なけなしの小遣ひをはたいてピッケル、アイゼンを購入、やつといっぱしの山ヤになつた氣分であつた。

澁ノ湯の前でパッキングの確認、縣民踊りの後、澁川右岸沿ひの道を歩き始める。
すぐに左岸へと渡り、樹林帶のなかを登つて行く。
雪はしまつてゐて歩き易いが、ところどころ凍つてゐて滑り易い。
尾根の上に出る頃には、汗をかいて暑いくらゐであつた。
尾根上の踏み跡が澤傳ひになつて、しばらくすると黒百合ヒュッテに到着。
早速テントを張つてゐると、小屋の人がテントの設營料を徴集しにやつてくる。
ただ雪の上にテントを張るだけなのに、どうして金を取られるのか釋然としないところもあるが、おとなしくお支拂ひする。

天氣は高曇りで、視界は惡くない。
中山峠でアイゼンを裝着し、東天狗への登りにかかる。
風が強いところであるせいか、雪の量も少なく、ところによってはアイゼンの爪を岩にとられてバランスを崩しさうになる。
東天狗の山頂からは、硫黄岳の爆裂火口が目の前に迫つてくる。

西天狗までピストンし、雪の多い斜面で滑落停止の練習。
東天狗からは中山峠を通らず、庭園のやうな岩原を突つ切つて、直接黒百合ヒュッテに歸る。

夜になつて雪が降り出すとともに風が強くなり、冷え込みも嚴しくなつた。
母がプレゼントしてくれた羽毛シュラフにくるまつて眠るのだが、
テントに吹付ける風の音や、強風のためにテントが浮き上がりさうになる感覺のため、なかなか寢つかれなかつた。

翌日、依然として風雪模樣である。
テントを固定してゐるピッケルに「エビのしっぽ」が出來てゐた。
話には聽いてゐたが、見るのは初めてであつた。

歸途は往路をそのまま辿つて澁の湯まで。

我々1年生の冬山初體驗はつつがなく終了した





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