『「古代史」 封印された謎を解く』 関 裕二
お薦め度 : ☆☆☆☆
2009年1月16日讀了
著者の關裕二氏は古代史の謎に關する多くの著書を出してゐる。
本書はそれらのすべてのエッセンスを纏めたもので、著者の古代通史を知ることが出來る。
本書の初めに、日本人の宗教觀について「多神教」であることの意味を解説してゐるが、確かにその宗教觀が「天皇制」のベースに流れてゐると考へさせられた。
この感覺が、これからの日本の政治、ひいては國際政治を考へていくうへで必要だとする著者の考へには贊成だ。
さて、「天皇」は古代からずつと「祟る神」の象徴であり、それゆゑ「合議制」の象徴であつたと著者は考へる。
だからこそ、1700年もの長きに渡つて、「天皇制」は維持されて來たのだと。
「權力」ではなく「權威」の象徴として。
さうした「天皇制」のありやうを利用したのが、中臣鎌足に始まる藤原一門だといふ。
そして、その始祖たる中臣鎌足は百濟から亡命して來た王子で、彼が中大兄皇子をそそのかして、蘇我氏へのクーデターを企てたのが、「乙巳(いつし)の變」だといふ。
つまり、「大化改新」といふのは、もともと蘇我氏が準備してゐた改革だつたものを、クーデターにより横取りしたものなのだといふ。
なるほど、この觀點にたつと、これまで謎とされて來たことは説明がつく。
またそれ以降の、「白村江の戰ひ」や「壬申の亂」、さらには天武死後の混亂、日本書紀成立の事情までが、すつきりとする。
本書はあくまでもダイジェストで、詳細の論證については、關氏の著作を讀まないとわからない部分もある。
しかし、個別の謎解きで細部に集中してゐると見逃してしまひ易い「歴史の流れ」を、本書はわかりやすく解説してくれる。
さうした意味で、本書は「關史觀」の通史を知るための良き入門書となるだらう。
また、關氏の著作を既に讀んでゐる者にとつても、歴史の流れを整理し復習するために本書は一讀の價値があると思ふ。
お薦め度 : ☆☆☆☆
2009年1月16日讀了
著者の關裕二氏は古代史の謎に關する多くの著書を出してゐる。
本書はそれらのすべてのエッセンスを纏めたもので、著者の古代通史を知ることが出來る。
本書の初めに、日本人の宗教觀について「多神教」であることの意味を解説してゐるが、確かにその宗教觀が「天皇制」のベースに流れてゐると考へさせられた。
この感覺が、これからの日本の政治、ひいては國際政治を考へていくうへで必要だとする著者の考へには贊成だ。
さて、「天皇」は古代からずつと「祟る神」の象徴であり、それゆゑ「合議制」の象徴であつたと著者は考へる。
だからこそ、1700年もの長きに渡つて、「天皇制」は維持されて來たのだと。
「權力」ではなく「權威」の象徴として。
さうした「天皇制」のありやうを利用したのが、中臣鎌足に始まる藤原一門だといふ。
そして、その始祖たる中臣鎌足は百濟から亡命して來た王子で、彼が中大兄皇子をそそのかして、蘇我氏へのクーデターを企てたのが、「乙巳(いつし)の變」だといふ。
つまり、「大化改新」といふのは、もともと蘇我氏が準備してゐた改革だつたものを、クーデターにより横取りしたものなのだといふ。
なるほど、この觀點にたつと、これまで謎とされて來たことは説明がつく。
またそれ以降の、「白村江の戰ひ」や「壬申の亂」、さらには天武死後の混亂、日本書紀成立の事情までが、すつきりとする。
本書はあくまでもダイジェストで、詳細の論證については、關氏の著作を讀まないとわからない部分もある。
しかし、個別の謎解きで細部に集中してゐると見逃してしまひ易い「歴史の流れ」を、本書はわかりやすく解説してくれる。
さうした意味で、本書は「關史觀」の通史を知るための良き入門書となるだらう。
また、關氏の著作を既に讀んでゐる者にとつても、歴史の流れを整理し復習するために本書は一讀の價値があると思ふ。
「古代史」封印された謎を解く―あまりに意外な「あの人物・あの事件」の真相とは?関 裕二PHP研究所このアイテムの詳細を見る |
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