仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

『 聖徳太子はだれに殺されたのか 』 関 裕二

2009-05-13 00:22:00 | 讀書録(歴史)
『 聖徳太子はだれに殺されたのか 』 関 裕二

お薦め度 : ☆☆☆+α
2009年5月8日讀了



聖徳太子は謎に包まれてゐる。
死亡記事によつて死亡した日が異なるのは不審であるし、そもそも本名が明らかでない。
聖徳太子といふ名前は死んだ後につけられた名前であらうし、廏戸にしてもキリスト教(景教)の影響を受けたエピソードから着けられた名前であらう。

この本では、聖徳太子は架空の人物であるといふスタンスをとつてゐる。
實在した人物の業績のうち、良いところをすべて聖徳太子といふ架空の人物の業績にし、實在の人物を惡者にしたてあげたといふのである。
そして、その實在の人物とは・・・
さう、乙已の變で殺された蘇我入鹿である。

蘇我氏の專横と、教科書には書かれてゐるが、實は蘇我氏が大王(おほきみ)であつたのではないか。
つまり、推古天皇時代は實は蘇我馬子が大王だつたといふわけだ。
なるほど、それであれば隋書に記された倭國の樣子と辻褄があふ。
隋書では倭國王が女性であるとは書かれてゐないのだ。

ただし、聖徳太子と入鹿は時代がずれてゐる。
もし著者のいふやうに、聖徳太子が架空の人物であるなら、入鹿の時代に合せて創作すれば良いのではないか。
本書はその疑問には答へてくれない。



聖徳太子はだれに殺されたのか (関裕二古代史の謎コレクション)
関 裕二
ポプラ社

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