【相棒 Season 10】 第１話：「贖罪」 2時間スペシャル

１５年前に「新人に毛の生えた程度」だつた尊くんが關はつた事件がふたたび動き出した。
刑期を終へて出處して來た男が、尊を絶對に許さないといふ遺書を殘して自殺したのは何故か。
そして、たまきさんが「花の里」を閉めてしまつたのは何故か。

冤罪は警察だけが作り出すものではない。
そんなあたりまへのことに氣づかされた。
檢察（檢事）も裁判所（判事）もその主人公なのだ。
警察の違法な取り調べばかりが取り沙汰されるが、冤罪が生まれる構圖の中には、檢事も判事も含まれてゐる。
さう思ふと、冤罪とは根の深いものであり、そこにはさらに恐ろしい闇が存在してゐるのではないか・・・

一事不再理。
敵はとんでもない手段に出た。
現實的なのかどうか素人の私にはわからないが、なるほどと思つた。
これでは眞犯人たちに手が屆かない・・・
「さすがの警部どのも今囘ばかりは諦めるしかないんぢやない？」by ひまか課長
「ぼくが諦めると思ひますか？」by 右京さん

といふわけで、やつてくれました、右京さんの惡いクセ。
細かいことが氣になるどころか、とんでもないドンデン返し。
事件を殺人事件から強盜傷害致死事件へとひつくり返す。
なるほど、これなら「一事」ではないわけか・・・
そして犯人に司法取引を持ちかけ、冤罪による損害賠償訴訟に眞犯人として證言すれば強盜傷害致死事件として立件するのは見送るといふ。
犯人にとつては眞犯人として證人台に立つても、それこそ一事不再理なので罪に問はれることはない。
しかし、冤罪事件を生み出した連中を裁くことで、贖罪になる。
右京さんはさう云つて犯人を説得するのだつた。

ラストシーン。
大河内さんと尊くんがワインを飮んでゐる。
尊くんは若かりし頃の過ち、僞證したことを涙を流しながら悔いてゐる。
それを大河内さんが、尊くんの言葉のひとつひとつを丁寧にひつくり返しながら、慰めてゐる。
じつにいいシーンだ。
いいシーンなんだけど、大河内さんだけに、勘繰りたくなつてしまふのは私だけだらうか？



＜ストーリー＞

15年前に女性を殺害したとして、刑を終えて出所したばかりの城戸充（池内万作）が投身自殺した。
彼の遺書には、自分は無実であるという訴えと、尊（及川光博）を「絶対に許さない」という言葉が。
大河内（神保悟志）から連絡を受けた尊は、自ら事件を検証し直す覚悟を決める。

　15年前の被害者・綱島瑛子（長澤奈央）は尊の知人だった。
瑛子から「しつこい男に付きまとわれている」と相談された尊は、その男・城戸に会って注意するが止めず、尊は警察手帳を見せ二度目の警告をする。
警察官と知って城戸は素直に頭を下げて反省していたが…。
ところが、その後綱島瑛子が殺害され、城戸は重要参考人として警察から追われることに…。
逃亡中の城戸は、尊に助けを求める。尊は喫茶店で城戸に会い出頭するよう説得。
しかし城戸はあくまでも犯行を否認し、捕まったら最後、有罪にされてしまうといい店を出ようとするが、その場で張り込んでいた刑事たちに囲まれ、城戸は尊に「騙したなっ」と叫びながら連行される。

　「城戸が殺人犯として服役し、償いを終えてもなお、冤罪を訴えて自殺したのはなぜなのか」その点が気になる右京。
当時は「適切な捜査で逮捕され、公明正大な裁判で有罪になった」と信じて疑わなかった尊の中でも、疑問が膨らんでいく…。

　右京と尊は、当時の関係者を一人一人当たっていく中で、捜査を担当した池上刑事（天宮良）、城戸の取り調べを行った益子検事（赤塚真人）、公判を担当した釜田検事（升毅）、城戸に有罪判決を下した大森裁判長（吉田鋼太郎）の4人が全員事件の翌年にそれぞれの仕事を辞め、転職していたことに気づく…。
その奇妙な“共通点”は何を意味するのか？
さらに当時の左陪審・磯村菜々美（戸田菜穂）から「有罪判決を下しちゃいけないような気がした」という情報を得て、真犯人をあぶり出していく。
　しかしそこには、予想だにしなかった事実が隠されていた…。


ゲスト:戸田菜穂　大沢樹生

脚本:輿水泰弘　監督:和泉聖治


（以上、 「相棒」公式ＨＰ より）