仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「いろは歌に暗号(かくしごと)―まんだら探偵空海」 鯨統一郎

2007-04-24 12:32:37 | 讀書録(ミステリ)
「いろは歌に暗号(かくしごと)―まんだら探偵空海」 鯨統一郎
お薦め度:☆☆☆☆ /
2007年4月5日讀了


「ONOGORO」 「YAMATO」 にはがつかりさせられたが、本書は面白かつた。
まづ、「いろは歌」の作者には、主なところで柿本人麻呂説と弘法大師・空海説とがある。
本書では、弘法大師・空海説を採用して、その謎に迫つてゐる。
と云つても、ストレートに「いろは歌」の作者を問題にしてゐるのではなく、作者は空海だといふ前提に立つて、物語を作り出してゐるのだ。

その物語とは、ひとことでいへば、「藤原藥子の亂」の謎。
白状すると、私は共通一次で世界史をとつたので、日本史にはからきし弱いのである。
小野妹子が女性ではなく男だといふ知識だけはあつたので、藤原藥子も男だとばかり思つてゐた。
本書によると、「藤原藥子の亂」とは、藤原藥子が平城上皇を操り、上皇の弟であるところの嵯峨天皇への謀反を企てたといふ事件らしい。

上皇がなぜ謀反を起したのか、それを探るといふのが、空海に科せられた使命であつた。
橘逸勢は空海の友人として登場し、空海と一緒に謎解きに乘出す。
いや、空海と逸勢が友人だつたかどうかは知りませんよ。
嵯峨天皇のいやらしいところは(失禮!)、同じ命令を最澄にも出してゐたといふところ。
空海vs最澄。
さういふ構圖だといふだけでも、わくわくしてしまつた。

「いろは歌」の謎。
「藤原藥子の亂」の謎。
これぞ歴史ミステリー!
しかもユーモア感覺に滿ち溢れた・・・



いろは歌に暗号(かくしごと)―まんだら探偵空海

祥伝社

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