梶井基次郎の墓参り

梶井基次郎は私の好きな作家のひとりである。

「檸檬」や「闇の絵巻」などは高校の教科書にも載っている。
私は大学で、彼についての講座を取ったこともあった。
その時に彼の作品はすべて読んだ。

その梶井基次郎の墓があると、2週間ほど前に会社の人に教えてもらった。
いつか墓参りをしなければと思いつつ、ついつい忘れていた。

今日、昼休みに思い立って足を伸ばしてみた。
小さな寺である。
門前に、「梶井基次郎墓所」という小さな石碑がある。
入ってみると狭い墓地があった。
梶井の墓がどこにあるのか、案内すらない。
探しているうちに、小さな墓を見つけた。
梶井家の墓ではなく、梶井基次郎とフルネームが彫られていた。
おそらく、あると知らなければ気づくこともないだろう。

そっと手を合わせて会社に戻った。
この会社に入っていなければ、梶井の墓の所在すら知ることもなかっただろう。
何が幸いするかわからないものだ。

また彼の作品を読んでみようと思った。