日本の左傾化を憂うブログ

各ニュースを読み解き、政治の動きを解説します。

岸田総理が「サハリン」事業継続を強調!対ロ経済制裁追加も、国民生活を守るための現実的な判断に評価が高まっている

2022-04-27 17:05:20 | 政治全般



■対ロシア経済制裁を次々と打ち出す中、『サハリン2』は継続すると表明した岸田総理

・これまでG7と足並みを揃えながら、ロシアに厳しい経済制裁を加えている日本


 

対ロシア投融資禁止、10%以上出資など 追加制裁決定

政府は12日、ウクライナに侵攻を続けるロシアへの追加制裁を閣議了解した。ロシア企業に対する10%以上の出資や返済まで1年を超える貸し付けを5月12日から禁じる。酒や木材、...

日本経済新聞

 

ロシアに対する追加制裁は、先進7カ国(G7)で足並みをそろえた対応だ。
外為法に基づき、ロシアの法人への新規投資や、設備投資などを想定した1年を超える貸し付けを国による許可制とし、事実上禁止する。

また、資産凍結の対象としてロシア最大手のズベルバンクなど2行を追加。ズベルバンクは日本企業の多くが現地の従業員への給与の支払いなどで利用している。
日本のメガバンクは米国の制裁措置を受けてドル建ての送金などを既に停止しているが、「円建ての送金も事実上できなくなるだろう」(関係者)とみている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022041201019&g=ukr






▼一方で、ロシア極東におけるエネルギー開発事業『サハリン』については「撤退しない」と明言




 

岸田首相、「サハリン1、2」撤退を重ねて否定 原油・ガス「安定供給に貢献」

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産経ニュース

 


岸田文雄首相は13日午前の参院本会議で、ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」と「2」について
「資源の売買を通じたビジネスとしてではなく、自国で権益を有しており、原油やLNG(液化天然ガス)の安定供給に貢献している」と述べ、撤退しない考えを重ねて示した。
首相は「エネルギーの安定供給を確保しつつ、ロシアのエネルギー依存の低減に取り組む」と強調した。

https://www.sankei.com/article/20220413-DD6WDVSHBFI6LA2RU7E3PIITWE/photo/PQSZQCQGBFI5LLUNMVPDWVOIMQ/

・米・バイデン大統領も岸田総理の方針に「理解している」と示している

米国とは緊密にやり取りを行っております。そして、昨日、バイデン大統領は会見においても、同盟国の多くが参加する立場にないことを理解した上で、この措置を進めている、
米国はエネルギーの純輸出国であり、他の国々ができないような場合でも、米国はこの措置ができるということ、これを表明しています。
我が国としては、そうした状況を踏まえつつ、安定供給と、そして安全保障を国益として、G7を始めとする国際社会と連携し、しっかり取り組んでいきたいと考えています。

https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0309kaiken.html


バイデン大統領「同盟国が米国と同じ措置を取らない可能性があるのも理解している」

その上で、米国だからこそできる制裁を講じていく方針を示した。


アメリカは、ヨーロッパ全体の産出量よりも遥かに多くの石油を国内で生産している。
実際、我々はエネルギーの純輸出国だ。
したがって、他の国ができないときにこのステップを踏むことができるのだ。

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2022/03/08/remarks-by-president-biden-announcing-u-s-ban-on-imports-of-russian-oil-liquefied-natural-gas-and-coal/

■日本国民の生活を支える『サハリン』事業、もし撤退すればどうなる?

・サハリン2は1980年代に三井物産の参入から始まり、2009年に操業を開始した30年越しの“日の丸LNG”プロジェクト


岸田文雄総理は16日の記者会見で、エネルギー価格の高騰に関連し、
日本の大手商社も参画する極東サハリンでの原油・液化天然ガス事業「サハリン2」について、「長期的・低価格で調達する権益を我が国が持っている。
エネルギーの安定供給上、我が国にとって重要なプロジェクトだ」と強調した。

https://mainichi.jp/articles/20220316/k00/00m/010/325000c

サハリン2プロジェクトは、当社・ロシア国営ガス会社Gazprom・Shell社・三井物産株式会社の4社が出資する石油・ガス複合開発事業です。
プロジェクト会社であるサハリンエナジーは、サハリン北部の油田より原油を生産しており、原油生産能力は日量15万バレルです。
また、サハリン北部のガス田より産出する天然ガスの液化も行っており、年間960万トンのLNG生産能力を有しています。
当プロジェクトは2008年に原油の通年生産・出荷、2009年にLNGの出荷を開始しています。


サハリン2プロジェクトは生産するLNGの約6割を日本向けに供給しており、日本にとって地理的に近いロシア極東に位置することから、エネルギー安全保障上の意義が大きいプロジェクトです。
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/bg/natural-gas-group/project/sakhalin-2/

・低コストやルートの近さからその意義は大きい

サハリン2は1980年代に三井物産の参入から始まり、2009年に操業を開始した30年越しの“日の丸LNG”プロジェクト。
北海道のすぐ北に位置し、わずか3日で日本に届くサハリン2のLNGは、中東からなら通常で3週間かかるのに比べれば、格段の近さや輸送コストの低さを誇る。
中東のホルムズ海峡のように危険な海域を通る必要もない。

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220317/se1/00m/020/001000d

▼今、日本がサハリン事業から撤退した場合、何が起こりうるのか?

・ただでさえ高騰しているエネルギー資源、その負担は国民にのしかかることに


日本がサハリン1、サハリン2から撤退する場合には、原油、LNGをロシア以外から新たに調達する必要が生じる。それが可能であるかという問題に加えて、代替調達の場合には、割高なスポット価格(随時契約価格)で買い付ける必要があることから、コストが高まるという問題も生じる。
日本のLNG調達は長期契約が多く、スポット市場で買い付ける量は全体の1割強に過ぎない。現在のようにLNG価格が急騰している局面では、スポット価格は長期契約価格を大きく上回るのである。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0405

『サハリン2』は、現在、日本で消費されるLNG(液化天然ガス)8%分をまかなっています。それを失えば国内電力需要の約3%分が吹っ飛び、年間1兆円規模の国民負担増になる可能性もある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d1366a10b0e8ab17fa61c490dc6822ac12a6dec2


・しかもたとえ撤退しても、契約上2031年までロシアにカネを支払いつづける事態に


東京ガスとサハリン2との契約は2031年まで残る。調達を取りやめた場合でも代金を支払う契約になっているといい、
「仮にそうなった場合は、国がどうするか考える必要がある」との見解を示した。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220408-OYT1T50036/

▼日本がサハリン撤退すれば、大喜びするのは中国

 

サハリン権益、日本は当面維持へ…「のどから手が出るほどほしい」中国の奪取防ぐ : 経済 : ニュース

ウクライナ侵攻で岐路に立つロシア極東サハリンの資源開発を巡り、日本政府は当面権益を維持する方針だ。撤退しても中国などに権益を奪われては、実質的にロシアへの制裁に...

読売新聞オンライン

 


・日本がサハリン事業から撤退しないのは、過去の苦い経験が教訓となっている。



日本とイランは歴史的に良好な関係を築いてきたため、
2000年代に核開発で米欧が制裁を強めるなかでも撤退せずに粘った。
アザデガン油田の権益を持ち続ければ制裁する。
最後は米政府にそう迫られて「泣く泣く手放した」という過去がある。


政府が一部出資するINPEX(旧・国際石油開発帝石)は2010年、中東で有数の石油埋蔵量を誇るイラン南西部「アザデガン油田」の開発から撤退した。
米国の対イラン制裁法に基づく制裁対象になると米金融機関の融資を受けられなくなる恐れがあり、苦渋の決断を迫られた。


すでに約125億円を投資していたが、保有していた10%の権益をイラン国営石油会社に無償で返還した。
この権益を譲り受けたのが、中国国有の中国石油天然ガス集団(CNPC)だった。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220326-OYT1T50344/2/

・そして今、対ロ経済制裁で日本が去った場合のサハリン権益を中国が欲している

日本は元々、世界一のLNG輸入国だったが、2021年に中国が日本を抜いてトップとなった。
脱炭素に向け、発電用燃料として二酸化炭素の排出量が比較的少ないガスを増やし、石炭からの転換を進めているためだ。

中国は調達先を広げようと、日本も参画するロシア北極海周辺でのLNGプロジェクトに出資した。
19年にはロシアからパイプラインを通じた天然ガスの輸入を始めた。

中国問題グローバル研究所の遠藤誉所長は「中国経済を支えるには、膨大なエネルギーが必要となる。日本の権益はのどから手が出るほどほしいはずだ」と指摘する。

(中略)

日本政府関係者は「サハリンは日本のエネルギー安全保障上、重要なプロジェクト。日本が手放した権益を中国が奪えば、日本だけがダメージを受ける」と述べた。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220326-OYT1T50344/2/

つまり正義感に煽られ、『サハリン』事業から撤退することは
結果的に日本の国益を損ね、ロシアと中国に利することに繋がる




▼既に、中国はイギリスのサハリン事業を一部買収するという話も出ている…日本も他人事ではない

 

サハリン2権益売却交渉、中ロ結束懸念 日本は対策急務(写真=AP)

日本の商社が出資する極東ロシアの石油開発事業「サハリン2」で、ロシアと中国が手を組む可能性が出てきた。欧米メディアは英シェルが、保有権益を中国の石油会社に売却する...

日本経済新聞

 


日本の商社が出資する極東ロシアの石油開発事業「サハリン2」で、ロシアと中国が手を組む可能性が出てきた。
欧米メディアは英シェルが、保有権益を中国の石油会社に売却する交渉を始めたと報じた。
極東で中ロが液化天然ガス(LNG)の要衝をとれば、将来の日本のエネルギー安全保障に影響が及びかねず、対抗策の準備が急務となる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2214P0S2A420C2000000/


■経団連・日商・東京ガスなど経済界は「サハリン事業」の維持を支持している


・経団連 十倉会長「政府の対応は理にかなっている」

経団連の十倉会長は4日の定例会見で「日本のLNG=液化天然ガスの輸入量の8%余りはロシアからだが、その大半はサハリン2から来ている。
その代わりは簡単に調達できない。政府の対応は理にかなっている」と述べ、現実的な判断だという考えを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220404/k10013567011000.html



・日商・三村会頭「ロシアにメリットを与えることになり日本のためにならない」

日本商工会議所の三村会頭は7日の定例会見で「ロシアの今回のことは、本当に許されない」と述べました。
そのうえで、日本の大手商社が関わる形でロシア極東で進められている石油と天然ガスの開発プロジェクト「サハリン1」と「サハリン2」への対応については「サハリンの天然ガスは日本として必要なものだ。
もし、この権益をいらないと言った場合、これだけ天然ガスが世界的に払底していれば、高い価格で中国が購入する可能性が極めて大きいと思う。
ロシアにメリットを与えることになり、決して日本のためにならない」と指摘し、撤退すべきではないという考えを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220404/k10013567011000.html



・東京ガス・内田社長「エネルギー安全保障上、撤退すべきではない」


東京ガスの内田高史社長は読売新聞のインタビューに応じ、ロシア極東のプロジェクト「サハリン2」からの液化天然ガス(LNG)について、「(輸入が)止まったら、(都市ガスの)供給支障を起こす」と述べ、安定供給のため、今後も調達を続ける考えを示した。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220404/k10013567011000.html

▼ネットでも岸田総理の現実的な判断を評価する声が多い









サハリン事業は、日本のエネルギー事業者が身命を賭して続けてきた国民生活を担う大切な事業だ。
それを安易な正義感で失わせることは日本にとって百害あって一利なしである。
難しい舵取りではあったが、岸田総理の冷静で現実的な判断は評価されるべきだろう。




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