公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
http://www.bb.soma.or.jp/~psghjim1/

原発近隣の地域医療

2017年02月18日 | 日記
研修医の名取です。
最近、録画していた福島県広野町にある高野病院のドキュメンタリー番組を見ました。高野病院は原発から22kmのところにある原発に最も近い病院です。昨年末にたった一人の医師である院長が急死したため残された入院患者を診る医師がいないことが話題となっています。テレビで取り上げられたこともあり、私が相馬の研修医だと知ると話題を振られることもあります。

院長が亡くなる前からこの地域唯一の病院である高野病院の存続が危ぶまれていましたが、県からの支援はなく、院長が亡くなり再三の要請でやっと支援を決めたようです。しかし人的支援があるわけではなく、現在は全国からのボランティアの院長がなんとか交代で支えているようです。

現在のボランティアの院長は東京から来た私と同世代の36歳の先生とのことです。私も原発事故で医師不足となった相馬市の力になりたい気持ちでここに来ているため、勝手に親近感を持ってしまいました。震災のとき、原発事故が起こったことにより様々な社会問題が長期化することを確信しました。ですので数年後も支援が必要な状況であるかもしれないとは思っていました。

結局この相双地区は震災から6年もの年月が経とうとしていますが、医師不足が解決されていません。今はもともと地域を支えてきた当院の先生方のような医師と、私達のような自分達の意思で来る医師に支えられています。原発事故後の地域医療を医師個人の良心にのみ委ねるのは地域のインフラとしては不確実であると思います。このような大きな問題に対して6年もの間に抜本的で即効性のある地域医療の体制を構築できなかったのだろうかと思います。

とは言え私は私のできる事をやるだけです。原発に近い研修病院は、原発から23kmの南相馬市立総合病院と、40kmの当院である公立相馬総合病院の2つです。この2つの病院に自分の意思で全国から来た研修医達が研修をしています。私達は私達なりに得るものがあるだろうと研修病院を選びましたが、私達がいることで相双地区の医療が少しでも支えられたら嬉しい限りです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

病院とタリーズコーヒー

2017年02月12日 | 日記
土曜の日当直が開けた研修医の名取です。

ここの大学病院には日当直というのがあります。
相馬にはこの制度が無いため今まで知りませんでしたが、日当直は文字通り日直と当直を連続で行います。そして日当直の翌日には、次の先生との引継ぎがあり、そのため午前中が潰れます。ですので土曜の日当直は、土曜は昼夜働きそのまま日曜の昼も働き、週休なしの完成、という研修医に恐れられている勤務形態なのです。

そのような殺伐とした状況のなか、広い院内をふらふら歩いていますと院内にタリーズコーヒーのお店を見つけました。
さすが大学病院。
落ち着いて小洒落た店内、あたたかいコーヒーに日当直の憂鬱な気持ちもなんと癒されることか……。
勤務中なのでもちろんテイクアウトですが。

最近、病院にタリーズコーヒーが出店されているのをよく見かけます。私の母校の付属病院にもタリーズコーヒーが出店されていまして、これには理由があります。タリーズコーヒー日本法人創業者の松田公太氏が、身内の見舞いに毎日病院を訪れていた際に、院外に出れない患者さんや看病で疲れている家族、ひいては緊張感を強いられる職員にも病院内で本格的な美味しいコーヒーを提供してあげたいと感じたそうです。そのような経緯のもとタリーズコーヒーは「日々の緊張感のある医療現場での癒しの空間の提供」の理念を掲げて積極的に病院に出店しているのだそうです。
素晴らしい着眼点だと思いますし、お陰様で私も癒されております。

相馬の当院にはまだタリーズがありません。
公立相馬総合病院への出店も、ぜひ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医師国家試験前日

2017年02月10日 | 日記
大学病院の産科に異動した研修医名取です。
初日から途切れない仕事に、やっぱり産科は忙しいですねとコメントをしたら、
常にこんな感じなら俺は産科を辞める(笑)と指導医の先生がおっしゃっていました。
というわけで呼び込む体質は大学病院でも健在です。
今日流れがやっと止まりましたが正直疲れました。
そのような日々のなか相馬で培った手技が活きていることを感じます。
相馬の先生方に感謝です。

さて明日から3日間、医師国家試験が始まります。
総計25分野、500問、15時間にわたる試験になります。
合格基準は複雑……
必修問題80%以上
一般問題例年だいたい65%以上
臨床問題例年だいたい65%以上
禁忌問題の誤答3問以下
そして相対基準として受験生全体の約90%以内
全てを満たさないといけません。

学力がほぼ合格圏内に達した受験生を苦しめるのが、必修80%と禁忌3問。
最後はこの2つが不確定要素となります。
どんな試験でも8割をコンスタントに取ることは難しく、私は必修問題のときは頭のギヤが一段上がりました。
禁忌肢はどれが禁忌肢か分からないので対策の立てようがありませんが、それっぽい問題のときは時間をかけて一択一択細かく吟味しました。
といっても歴代禁忌肢で落ちた人はいないとの噂もありますが。
医師国家試験とはそのような試験になります。

受験生の方々は緊張がピークだと思います。
最後は3日間持ちこたえる体調が大事です。
復習も大切ですが、早めの良い睡眠を取って明日から万全の体調に整えてくださいね。
まずは試験会場に遅刻せずに行き、マークシートをなんとか塗り潰すだけでも合格はグッと近くなります。
それだけの力はつけてきたはずです。
我々も陰ながら応援しています!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする