マーサの昔話

デジカメでの景色や花、動物などの写真
海外体験談、今日の一品、糖分控えめ?なおやつ等‥‥‥

ストラトフォードへ SR30

2011年04月11日 | Scottish Romance
 
 「先生に伺ってみたいと思っていたのですが、私ってどんなタイプの人間に見えます?
 外国人に対して従順にみえますか? そうではなく保守的にみえますか?
 ・・・ううん、そうじゃない。 何事にも慎重しすぎるよりは果敢な方がいいのかと
 行動してみたり、勿論、運命に対しても、同じ様に思うのですが・・・」

 「ふふん、あなたの悩みは、奥が深そうね。 迂闊な事を言うとあなたの人生さえも
 180度引っくり返るかえるような事にもなりかねないわ。 でもあなたは、慎重な人よ
 そこがいいところであり、決してマイナスにはならないと思うわ。 」 

 「ねえ、先生、私はこの地で長く暮らせる事ができるでしょうか?」

 「唐突にくるわね。 さあね、でも今は何の支障もなく暮らしているから
 大丈夫なんじゃない。 でも長期になると、ましてや例の男前さんと結婚するなんて
 事ないよね。」

 「まさか、・・・ないです。」

 「じゃあ何故、突然、そんな話題をもってくるのよ。」

 「いや、傍から見ていて、私にそんな事が可能かどうかを聞いているだけですよ。」

 「短い付き合いの中で、あなたの性格を簡単に判断するのは無理だけど、どうも
 飽き症の様な気がする。 すぐ嫌になってしまうタイプじゃないかな。」

 「先生、残念ですが、はずれです。飽き症の様に見えて、結構忍耐強いのが私なんです。
 見た目は落ち着きが無くて、いつも迷っている様にも見えますが、意外と太い筋は
 一本通っていますよ。 ハハハ・・・なんて、自分で言っております。」

 「そうなんだ。それは失礼しました。と言いたい所ですが、あなたは、やはり迷っている
 子羊のように見えて仕方がないのよ。 心配だわ。」

 「私は子羊ですか? 狼に襲われない様に気をつけなさいって事ですね。」

 「成人しているので、そこまではっきりと言いたくはないですがね。
 精神的に傷ついてしまったら、修復に時間がかかりそうなタイプでしょう。」

 「それは、ナイーブな私の気持ちを察して下さっている。 有り難うございます。」


 「何か、隠している事があるわね。 まあ、詮索するほど野暮じゃありませんよ。
 ・・・そろそろ出ようか。 明日はストラトフォードで、いよいよこの旅の終点だし
 一部のメンバーとも離れていくわね。」

 「そうなんです。 賢ちゃんも大陸の方へ旅するとか言ってましたし、私の青い目の
 友人達も離れ離れになりそうです。 もう、皆ホテルへ帰っている頃ですよ。
 先生、行きましょう。」

 「ここは、社会人である私におごらせてね。 私が誘ったのだから。」

 「宜しいのですか? じゃあ、お言葉に甘えて、ごちそうになります。」

 先生と私は、パブから出て、ホテルへと戻って行った。

 
 ホテルでは、ちょうど皆が、日帰りツアーから帰ってきたところでした。

 目ざとく私を見つけた賢ちゃんは「あれ、一緒に行かなかったの?」

 「私、マイケル達と一緒に行くって言ったっけ・・・」

 「いや何となく、ここには戻らない気がしただけ。 なあ、雄一!」

 「いや、僕は行かないと思ってたよ。 だって、一緒に行く理由がないよ。」
 
 「そうよ、雄一の言うとおり、逆にマイケルが雄一だったら着いて行くよ。」

 「心にも無いことを言うんじゃないよ。 全く・・・」

 「冗談は止めて、明日、ストラトフォードに着いたらシェクスピア劇場で
  何見るの?」

 「・・・やっぱ冗談か・・・“To be, or not to be : that is the question.”」

 「ハムレットですか。 私は絶対に“ ロミオとジュリエット ”だわ。」

 「まあ、どうせ寝てしまうだろうけど、何か思い出になりそうな劇を見るぞ。」

 「そうね、バスの中でガイドさんに聞いてみましよう。」

 「僕達これから、夕食に行くけど、久しぶりに一緒に行こうか?」

 「未だ空腹感がないけど、一緒に行くわよ。石塚先生も誘っていいでしょう?」

 「なら、僕も一緒に。」と賢ちゃんが嬉しそうに言った。


 結局、他のメンバーも含めて総勢8人で外食へ行き、その夜は更けた。


 明朝、少し早めの出発で湖水地方を出て、ストラトフォードに向かった。

 ストラトフォードの近くの草原を走っていると雰囲気の良い街並みが見えてきた。

 緑の中に歴史上の古い民家が点在し、エイボン川河畔ののどかな景観が心を癒してくれた。

 シェークスピアの生家を訪ねたり、エイボン川で遊覧船に乗ったり、観劇を楽しんだりして

ゆったりした旅の日程も消化されていった。 最終日はシェークスピアが洗礼を受け、埋葬された

ホーリー・トリニティ教会に参拝しに行く。 墓地と言っても、教会の祭壇の前に

シェークスピアは眠っているのである。 入場料を払って、祭壇前に進みお参りをした。

 私達は教会内の売店で、絵はがきを買ってホテルへ戻り、ロビーでティーを飲んでいた。

 ただ、2泊目を過ぎたこの最終日にもエディからの電話はかからず仕舞いだった。

 なんだ、「必ず連絡を入れるから。」って言ってみただけ?・・・やはり、そうだよね・・・