ぱらどっくすⅢ

解雇闘争を勝利し、故郷での人生を再スタートした私の歩み

権力集団(大規模施設と福祉行政の癒着)とのたたかい

2012年12月28日 12時23分55秒 | 「もどす会」活動記録
 2012年も僅かとなりました。今年は、すべてのことが新しい体験でしたが、皆様の支えにより、結果的にはとても楽しく過ごせましたことを感謝しております。
新しい年は、社会的弱者と言われている方々に寄り添う側の者として、「明るい太田川学園をつくる」ため、必ず裁判に勝利しなければなりません。
続いての皆様のご支援を宜しくお願いします。
 今年を振り返り、簡単にまとめましたので、一読いただければ幸いです。

はじめに
昨年(2012年)2月末、太田川学園を不当にも解雇された新宅弘彦です。
太田川学園は旧広島市近辺の高田郡・山県郡・安佐郡の3郡が協力して創設した知的障害児・者の施設で、50年近くになります。現在は、広島市安佐南区に利用者310名、職員150名余りの県内でも指折りの大規模な施設になっており、平成23年度の決算では、14億円もの剰余金を貯め込んでいます。
25年前、現在の理事長橋本忠教が園長として就任して以来、ワンマン体制と経営優先が進んだため、学園の民主化を願って労働組合を結成し、全国福祉保育労働組合広島支部に加盟して現在に至っています。

(1)解雇に至るあらまし
一昨年(2011年)9月に広島市による定期監査の実施が行われました。その3日前、7・8・9月の勤務表に、実際には勤務していない2名の職員の名前を入れた勤務表に押印を求められたことから始まっています。
職務命令ということで、やむなくその場では押印をしてしまいましたが、その後10月にも同様に、実態のない職員を入れて勤務表を作り変えるよう求められたため、上司に対して異議を唱えたところ、10・11月と嫌がらせを受け、12月には洗濯棟への事実上の異動という不当な配転を受けました。
学園では、以前から職員の配置において、基準(体制加算届など)に満たない問題が頻発しており、自立支援法施行後の2006年以降においては、契約制度による重要事項説明書にある職員配置の記載を全く無視した契約違反を繰り返していました。
私は、現場の責任者として20数年間、利用者にとっての人的環境である職員配置を適正に行うよう常に要求をしてきました。結果、園長(現理事長橋本)と衝突することもしばしばでしたが、学園の実情を外部に出すことはなく内部努力を重ねてきました。
しかしこの度のように明らかな不正な行為に加担することは、自らの信念からも許されることではないと判断して、広島市障害自立支援課に勤務表の改ざんの事実を告白し公益通報をしたところ、市は法人と結託し、改ざんの事実を隠蔽した上で、単なる事務的なミスによる過誤であったとして処理をしております。
 そして不当な配転の後、昨年(2012年)2月に解雇に至りました。

(2)裁判の流れ
一昨年(2011年)の12月に不当な配転を受けたことに対して、私は2012年1月17日広島地方裁判所に地位確認を求めて提訴しました。
法人はそれに対し2月になって、2011年7月に、私が行った利用者に対する行為を「虐待」であるとして、広島市障害自立支援課に事故報告書を提出した上で、2月末「虐待」を理由に解雇通告をしてきました。
「虐待」とされた私の行為は、7ヶ月も以前のことであり、事前に会議で話し合っていたこと、園長に報告済であったこと、保護者からも苦情がないことなど。その時点では、まったく問題となっていなかった事案です。
私は2012年3月28日、広島地方裁判所に地位保全等仮処分の申立をし、7月12日『本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めることができないから、権利の濫用に当たり無効である』との仮処分が決定されております。
行為に関しても『人格権への配慮を欠く不適切な支援であった』としたものの、『不衛生な状態を改善する目的で行ったものであり、虐待する意図はない』と言及しています。
その後、2012年8月10日地位確認等を提訴し、現在配転無効と解雇無効の裁判を併合しての本裁判に入っております。すでに10月9日、11月16日の2回を終えて、ほぼ双方の主張は出揃ってきており、2013年1月18日が第3階の裁判期日となっています。

(3)裁判への支援
2011年5月12日「明るい太田川学園をつくり、新宅さんを職場にもどす会」を、57名の支持者の参加で結成して頂き、現在まで7回の役員会を行ってきました。個人500名、100団体の会員を目標に掲げ、12月末で339名、40団体の加入を頂いています。
仮処分では、ほぼ全面的勝利ではありましたが、裁判ですから判決が出るまでは楽観できません。仮処分と本裁判は別物と考えて支援の輪を広げなければなりません。
裁判支援で最も支援を実感できるのは傍聴者の数ですが、傍聴には様々な事情で困難を伴いますので無理は言えません。
そこで今取り組んでいることで、是非皆さんにお願いしたいことは、裁判所に提出する要請署名への協力です。裁判の期日ごとに1000筆の署名を届けることができれば大きな力になります。裁判は月1回のペースですので署名を集めるためには、かなり意識的な取り組みとしての位置付けがなければ不可能です。
また広島支部としては、被爆地ヒロシマから「脱原発」を発信しようと「さよなら原発シール」を全国に広めようと取り組んでいます。シールの販売は、裁判をたたかう資金作りの一環でもありますので、ご協力をお願いします。
さらに合わせて、「もどす会」への個人・団体加入をご検討いただければ幸いです。
(4)広島市の不可解な対応
社会福祉法人三矢会理事長橋本忠教は、広島市役所からの天下りであり、他にも5名の幹部が天下っています。このような背景にあって、以下の広島市の不可解な対応が見られます。
①勤務表の改ざんを隠蔽した上で、単なる過誤請求であったとする広島市は、「もどす会」(「明るい太田川学園をつくり、新宅さんを職場にもどす会」)の行った情報公開条例に基づく開示請求(計11件)に対して「法人の社会的地位をそこなう恐れがある」という理由で、関連書類や過誤の実態(金額・内容・対策など)を全く開示せず、「存否不開示」の一点張りです。
 そもそも過誤があったと認めていながら、その過誤の実態を明らかにしないなどということがあって良いのでしょうか。過誤が明るみに出たのは、通報(②の公益通報のこと)に具体的な指摘事項が挙げられていたからであって、何故その指摘事項に関する開示がなされないのでしょうか。疑惑は募るばかりです。
またこの間2度にわたる公開質問書を提出してきましたが、回答は前にも述べた通り不誠実なものでした。
②広島市は、私が2011年12月8日・12月16日の両日にわたり、障害自立支援課と監査指導室に行った公益通報を、単なる調査要請であり公益通報としては受け取っていないと言い張っていますが、何を持って公益通報ではないというのかを尋ねても回答はありませんでした。欠格事項があるのであれば明らかに出来る筈です。
『国の行政機関の通報処理カイドライン』では「通報の受付について通報者に対し、遅滞なく通知しなければならない」となっていますが、通報から10ヶ月も経った2012年10月11日に障害自立支援課長による報告がなされるまで、行政機関からの通知はありませんでした。
③太田川学園からの「虐待」の事故報告者に対しては、障発第1020001号の通知にある「本人及び家族からの聴き取り調査を速やかに開始すること」となっているにもかかわらず、「必要ないと判断した」と回答し、本人はもちろん家族への聞き取りを実施することなく【身体的虐待があった】と認定して法人に対しての勧告をしました。
法人は、現在この勧告をたてに、裁判での準備書面上で、新宅の行った行為は「虐待」であったと主張しています。

(5)そもそも障害者自立支援法は
障害者自立支援法による職員配置は、従来からあった重度加算等の職員配置を止めて、障害程度区分を基準にし、常勤換算方式を採用することで、職員の専門性を軽視し、非正規化を安易に容認するものとなっています。
この度の補助金の水増し請求にしても、施設側が体制届を提出すれば、行政側からのチェックを受けることなく、補助金を受け取れるという驚くべき制度になっています。行政側からの説明でも、監査で勤務表等のチェックはしているというものの「その勤務表が実態に合ったものかどうかまでは確認できないでしょ」と胸を張る始末です。
また、利用者にとっての職員配置数は、重要な人的環境であり、かつ契約をしている以上、権利でもある筈の重要事項説明書の内容の執行に関して、行政としては何も言えないとしています。これはまさに公的責任の放棄としか言いようがありません。障害者自立支援法が故にこのような言い逃れがまかり通るとすれば、決して容認することはできません。

おわりに
働く者の権利が侵害され、生活が脅かされる最悪の解雇権の濫用は、決して許してはなりません。安倍自民党や橋下・石原維新の会が「解雇フリー」「最賃廃止」「憲法改正」など声高らかに傍若無人の蛮行を行おうとしていますが、私たちは、憲法を守り、人の権利を守るという使命を胸に、誇り高くたたかいを続けなければなりません。
社会的弱者の側に寄り添って、たたかう福祉保育労働組合の仲間の輪を広げ「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」連帯しましょう。


1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-05-09 19:02:24
はじめまして。本当に関係ない者ですが、色々なことを乗り越えて、学園の裁判に勝利したのは学園の為になりましたか?
それとも自分の最終的には自分の為にだとかんじますか?是非お伺いしたいです。
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