正福寺(住職改め)長老のひとこと

正福寺住職が毎月テーマを決めて「ひとこと」申し上げます。
ホームページの更新情報も不定期に載せていきます。

4月のひとこと(令和6年・仏誕2590年・皇紀2684年)

2024年04月02日 | Weblog
気候不順の3月でしたが、いよいよ4月。 

今月は釈尊のお誕生をお祝いする「花まつり」を、8日にお迎えします。

 釈尊は、インド北部の小さな王国の王子として誕生されたのですが、母親マーヤ夫人が、お産のための里帰りの途中立ち寄られた公園で、誕生されたとつたえられています。
公園は、きれいなお花がいっぱい咲いていたことから、釈尊のお誕生を、「花まつり」として、お祝いするようになったといわれます。

 東京では、丁度、桜の花の満開の頃、「錦上花を添える」と言う言葉がありますが、釈尊のお誕生を、桜の花もお祝いしてくれたのは、ひと昔前の話、今、東京では、八日頃には、桜の花は、散ってしまうことが、多くなりました。
残念ですが……。 


 「天上天下唯我独尊」
釈尊は、お誕生とともに、この言葉を発せられたと伝えられます。 

・釈尊は、「いのち」は、何ものにも、代え難い大切なもの
・人間のいのちだけではない。生きとし、生けるもの一切のいのちが、それぞれの役割を持ち、大切ないのちを生きているのだ。
・いつ始まったか分からない過去から、果てしなく続く未來にわたって、一切のいのちは、お互いに密接に関係し合いながら、生きているのだ。

 大宇宙、そしてこの地球も、大切な役割を持った「いのち」そのものなのです。
 地球上の、人間を含めた一切の存在が、それぞれ、大切な役割を担う「いのち」であることを、釈尊は、この様な言葉で、説かれたのです。

 それにしても、私たち人間は、何と多くのいのちを粗末にしてきたことでしようか。
そして、今も、粗末にしている事でしようか……。
 人類の歴史は、「いのち」の殺生の歴史といっても、過言では、ありません。人間は、「万物の霊長」などではありません。

 地球を含めたこの大宇宙、そして地球上の一切の「いのち」の未來を確かなものにするために、今、私たちが取り組まなければならないことは、何なのか……。
 
合掌

「ゴータマの弟子たちは、常によくめざめて、昼も夜も不殺生に心楽しむ」
法句経  300番
(ゴータマは釈尊の名前です。)
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3月のひとこと(令和6年・仏誕2590年・皇紀2684年)

2024年03月01日 | Weblog
今月は、些かお年寄り向けのひとことになることを、お許しください。
 住職引退を契機に50年務めたお寺を出て、老人ホームに入居した事は、以前のひとことでお話し申し上げました。
 今月はこの老人ホームの先輩から聞いた言葉を、先ずご紹介申し上げます。
  「きよういく」
  「きようよう」 という
ふたつの言葉です。
 どんな漢字を思い浮かべますか?
 そうですね、普通は、「教育」「教養」です。
 でも、先輩は
きよういくは、「今日行くところがある。」
きようようは、「今日用がある。」
 ということだったのです。

 ここの老人ホームは、原則、自分の事は、自分でできる、いわゆる、自立型老人ホームです。
 一人で入る。夫婦で入る。仕事を継続したまま入る。完全に仕事から離れて入る。様々な入居者が、ここでは生活をしています。
 でも圧倒的に多いのは、勿論、仕事を離れ、第二の人生を送られる方々です。
 仕事を卒業して、家族からも離れ、第二の人生を送られる多くの方々が、それぞれ毎日の生活を工夫し、組み立てられている姿は、このホームでは、若造になる私には、新鮮で、学ぶことが多く、頭の下がる思いなのです。
 そんな私にとって、先輩からのこの言葉は、正に
「目から鱗が落ちる」思いだつたのです。
 かくいう私は、
週二回程度お寺に戻り、住職時代からの継続の仕事をするとともに、檀信徒の皆さんとの会話など、楽しみなひとときを過ごしています。
 残された時間は、晩年始めた墨絵で、今は、羅漢さんを描いています。なんとか完成させたいと頑張っているのですが……。
 そんな私を、一喝してくれたのが、この言葉なのです。
 お前の生き方には、何か足りないものがあるよ!
 そんな風に、私には、聞こえたのです。

 3月春のお彼岸を、迎えます。
今月のお寺の掲示板には、
  「彼岸ーおひがんー
    よりよく生きようとする世界」と書いてみました。

合掌

「怠け意気地なく百年生きるは、努め励みて一日生きるに如かず」
  
 法句経112番
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2月のひとこと(令和6年・仏誕2590年・皇紀2684年)

2024年02月01日 | Weblog
新年早々、能登半島を襲った大地震、今も、多くの方々が苦しい、厳しい生活を余儀なくされています。 

 亡くなられた大勢の方々、罹災された多くの方々に、心より、お悔やみとお見舞いを申し上げます。
 1月1日のあの日、東京の私の住まいも、東日本大震災以来の大きな揺れを感じておりました。私はすぐ、原発は大丈夫なのかな・・・。頭をよぎりました。
 幸いに原発は無事だったということで、本当によかった、安堵した事でした。
 東日本大震災は2011年、もう13年も経つのですが、まだ、その時の様々な様子が、目に浮かんできます。皆さんも同じ思いかと拝察しております。
 東日本大地震は、火山列島、地震列島と申し上げてもおかしく無い、日本における、原発の恐さを、いやというほど、私たちに思い知らせてくれました。 
 日本の原発だけは大丈夫という安全神話は、完全に覆されたのです。
 この度の能登半島地震、もしも県内の原発に異変が起きていたら・・・・。
想像したくもありません。
 東日本大地震以降、原発に関わる様々な対策が進められてきた事は、ご承知の通りであります。
自然災害対策、テロ対策、過酷事故対策、想定し得る範囲内の基準は、整備されてきました。
 しかし、これらの対策、新基準、当初は、東日本大震災の経験、反省から、原発には可能な限り頼らない方向を目指していたものが、いつのまにか少しずつ方向転換をしてしまったのです。
 その背景にあるものは、地球温暖化対策の一環としての、原発の役割の見直しだったのです。
 クリーンエネルギー源である原発は、一定の割合で必要だというのです。 
 でも、なのです。
ここでもう一度、未だ廃炉工事終了の目処さえもついていない、東京電力福島第一原発の事故を、思い出して欲しいのです。

・今後10万年以上も放射能を放出し続けるという廃棄物
・海上投棄に象徴される放射能を含む汚水
・原発から出される多くの放射能を含むゴミ

 これらは、捨てる場所さえ定まっていないのです。
 そして原発が稼働する限り、これらのゴミは、増え続けるのです。
何よりも、原発が非常時に陥った時の、住民の避難路については、素人の私が考えても、不可能に近いと考えた方が間違いない、ということを、この度の能登半島の村々の孤立は、示してくれているのではないでしようか。
 原発の行方を、私たち一人ひとりが、今後共、注意深く見守っていかなければなりません。


 今月3日は節分、「鬼は外福は内」思い切り福を呼びよせようではありませんか。
 15日は、釈尊のご命日、涅槃(ねはん)会を、迎えます。「生あるものは、必ず滅す」例外は無い。釈尊は、身をもってこの真理を私たちに、教えてくれたのです。

合掌


「この身は、瓶の如く脆しと知り、この心を城砦の如く、堅固になして、叡智を武器として魔と戦い、これを敗りて看守し、執着を離るべし」
 法句経40番  
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1月のひとこと(令和6年・仏誕2590年・皇紀2684年)

2024年01月01日 | Weblog
明けましておめでとうございます。

 仏誕2590年、令和6年、西暦2024年、紀元2684年。
 干支では、甲辰(こうしん)-きのえたつー 12支獣では、龍(竜)が登場します。

 辰年生まれの方は、今年は、年男年女、という事になります。一説によれば、辰年生まれの方は、陽気で、活力旺盛などといわれますが、いかが思われますか?
 龍は12支獣の中で、唯一架空の動物です。龍は、仏教を守護する大切な動物であり、又、水の神さまとして、農業、漁業の守護神でもあります。

 実は昨年の1月のひとことで
・ロシアのウクライナ侵略に始まる両国間の戦争は、まだ終わりません・・・。
・東京オリンピックを終えて、東京オリンピックに関わって、贈収賄事件が、発覚しました・・・。
・人間の業(ごう)の深さ、醜さを、いやというほど知らされました・・・。
  と書いたのでした。

 今年も又、同じ事を書かなければなりません。
・ロシア、ウクライナ両国間の戦争は、まだ続いているのです。
・今年は、パレスチナ自治区ガザ地区において、イスラム組織ハマスと、イスラエルの間に何ともやりきれない戦争の勃発です。

そして暮れになってわが国では、「キックバック」「裏金」という文字が、新聞紙上に度々登場してきたのでした。キックバックは立派なスポーツ用語、それがいつの間にやら・・・。「うらきんー裏金」「うらがねー裏鉄」は、金、鉄の製品を指す言葉。
 それがいつの間にやら、表に出せない、うしろめたいお金を、裏金「うらがね」というようになつたようです。

 私たちが大切な一票を投じて、この国の行く末をお願いして人たちに関わって登場してきた言葉です。
 これ以上の説明は不要でしよう。

でも暮れに、嬉しいニュースも飛びこんできました。ご存知大リーグ大谷翔平選手の契約金、エンジェルスからドジャースへ、10年で日本円で約1000億円との事。
 これは正に「クリーン」で「クリアー」な、お金です。

皆さん、「きれいなお金」「汚いお金」と言う言葉を思いだしませんか?
 お金に変わりは無いけれど、不正な手段で手に入れたお金は、「汚いお金」ということでしよう。お金は、多い方がいいのでしようか?汚いお金でも、人間って、何としても欲しい時があるのですね。
 人間の心って、魔物ですね。

一刻も早く戦地に平和がおとずれますように、念じつつ・・・。
 お互い様、今年もがんばりましよう!
 今月は釈尊のこんな言葉を、ご紹介申し上げます。

合掌

「たとえ 悪しき行為をなすとも、善にてこれを償わば、よく世間を照らす。雲を出でたる月の如し」
法句経173番 
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12月のひとこと(令和5年・仏誕2589年・皇紀2683年)

2023年12月01日 | Weblog
いよいよ大晦日(おおみそか)を迎える月となりました。

 みそかは、三十日に通じる言葉、一年最後のみそかを、大晦日といったのですね。

お寺でも一年最後の思いを込めて、大掃除、仏器なども、磨き上げます。

 門松、しめ縄、鏡餅など、正月を迎える準備に、余念なし。
それぞれのご家庭でも、大晦日は、何かとせわしいことと拝察しています。
 そして、ホッとひと息、年越し蕎麦、除夜の鐘に、往く年来る年への様々な想いを、馳せることになるのでしよう。

 「虎は死して皮をとどめ、人は死して名をのこす」と言う古い言葉があります。

今までこんな事は、考えた事はなかったのですが、ここのところ、時折り、こんな事を考えている自分に気がついています。
住職を引退して来年は四年目に入ります。
親父の生きた年よりも、ひと回りも多くの年を、生かさせていただいてきました。

 お陰様で、さまざまな事をさせて頂き、今日まで歩いて来ましたが、「人生の仕上ってなんだろう」
 こんな事が、しきりに、頭の中をよぎるのです。

12月8日は、釈尊が、お悟りを開かれた日。

 釈尊は、仏教という素晴らしい教えを、私たちに残してくれました。いま一度釈尊の教えに、様々なことを、学んでいきたいと思う昨今です。    

合掌

「今や汝の生涯は終わらんとす。汝は、閻魔-えんま-の許-もと-にいたらんとす。途上に宿もなく、旅の資糧-かて-もなし。」
 
 法句経237番
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