正福寺(住職改め)長老のひとこと

正福寺住職が毎月テーマを決めて「ひとこと」申し上げます。
ホームページの更新情報も不定期に載せていきます。

10月のひとこと

2005年10月05日 | Weblog
今から1200年前、当時の唐の都長安(現西安)において、宗祖弘法大師空海上人は、恵果和尚より真言宗の全ての伝授を受け、帰国。日本で真言宗を開かれました。

    
               空海大師立像(福州開元寺にて)



前の年西暦804年(延暦23年)7月6日、長崎県田ノ浦を遣唐使船の一員となり出航した大師、台風の中、8月10日、現在の中国福建省霞浦(かうら)赤岸鎮(せきがんちん)に漂着したのです。

入国を許可された大師の一行は、福州開元寺(かいげん)にしばらく滞在された後、その年の暮れ、12月24日、長安に入ったと伝えられています。

大師32歳の時でありました。 

私は、一度はこの地を訪れたいと、つねづね考えていましたが、このたび、やっと思いが叶い、赤岸鎮と、開元寺のお参りを果たすことができました。

    
    
            空海坊街門(赤岸鎮にて)


赤岸鎮の遠浅の海は、昔と変わらぬ佇まいで、私たちを迎えてくれました。1200年前に、この地に漂着した大師の胸中を去来したものは何だったのでしょう。

ここから長安まで直線距離で2400km、実際には、この倍近くの行路を踏破されたのではないでしょうか。

正に求法(ぐほう)の旅に頭を下がる思いでした。

熱き思いで帰路についた私たちを待ち受けていたのは台風です。予定していた飛行場は閉鎖、台風の中を陸路1000km近く、完成して間もない(?)高速道路を、15時間ひたすら走りつづけ、やっと、東京に向う飛行場に到着することができたのです。

思わぬところで、大師求法の旅のご苦労を、その万分の一にも及びませんが、追体験(?)させて頂いたのでしょうか。

    
          空海大師紀念堂(赤岸鎮にて)

    

そんなわけで、今月のひとこと、大変遅れましたことを、お詫び申し上げます。

日毎に秋も深まっております。日々、ご自愛、お過ごし下さいますように。

合掌


    春の華、秋の菊

     笑(ほほえ)んで我に向い

    暁(あかつき)の月、朝(あした)の風

     情塵(じょうじん)を洗う
 
                (性霊集 巻一)
コメント
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