正福寺(住職改め)長老のひとこと

正福寺住職が毎月テーマを決めて「ひとこと」申し上げます。
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8月のひとこと(令和元年・仏誕2585年・皇紀2679年)

2019年08月01日 | Weblog
なかなかあけなかった東京の梅雨空。
7月下旬まで、鬱陶(うっとう)しい、蒸し暑い毎日が続きました。

8月の声を聞いて、やっと梅雨空から解放、いよいよ夏本番です。

さて、今月、暑さで、ついつい気も緩みがち、暑さを吹き飛ばすようなお話を、と考えたのですが、なかなか思い浮かびません。

そこで、やはり、お堅い話になりますが、漢字の事について、触れようと思います。

なぜ、漢字など思いついたと思いますか。

それは、冒頭の鬱陶(うっとう)しいが、きっかけなのです。

うっとうしいを漢字で書こうと思い立ち、一生懸命思い出しながら書いてみたのですが、なんとしても書けません。
最終的に、辞書のお世話になりました。

それにしても、なんとも難しい漢字でした。10人中9人までは書けないのではないでしょうか。

書いて、ほっとするどころか、ますます「うっとうしく」なりそうではありませんか。

失礼。

漢字は、ご承知のごとく、中国から渡ってきました。今中国では変形された漢字が、ずいぶん使われています。
それなりの理由はあるのでしょうが、私たちには、なかなか分かりづらい、というのが正直なところです。

日本では、漢字は表意文字、ひらがな、カタカナ、ローマ字は表音文字。

私たちは、必要に応じて、実にうまく使いこなしていると思います。

当用漢字という決まりもありますが、当用漢字を含めて、漢字には実に奥深いものがあるのです。

親が子供に付ける名前、昔は漢字が当たり前でした。最近は、表音文字に漢字を当てはめて、命名することもよく見られます。

そんな場合でも、子供の生命の誕生に対する親の祈り、願いが漢字に込められていることが、よくわかります。

当山は月光山正福寺(がっこうさんしょうふくじ)といいます。
月光山は、本尊薬師如来にお仕えする日光菩薩、月光菩薩に由来しています。

皆さん月光山からイメージする事は何でしょうか。

仮に、「がっこうさん」と書かれていたら、あなたはどんなことを思い浮かべますか。

「月」、「月の光」を読んで、聞いて、皆さん、一人一人様々な思いを抱かれることと思います。

綺麗な夜空に浮かぶ満月でしょうか。

月の砂漠を行く旅のラクダでしょうか。


最近、漢字が軽視されていると私は思います。

漢字だけではなく、日本語自体が、粗末に扱われているような気がするのです。

例を挙げてみましょう。

「SDGs」最近よく見られる言葉です。

どうして「持続可能な開発目標」と書かないのでしょうか。

今後の地球環境保全のために私たちがやらなければならない事は何なのか。

「SDGs」よりも、漢字の方が、どれだけわかりやすいか。

世界の国々との交流のなかで、ある程度いたしかたない部分もあります。

漢字の持つ、奥行きの深さと日本語を大切にすることを、私たちはお互い様心がけていこうではありませんか。


暑中、お体ご自愛ください。


合掌
コメント
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