正福寺(住職改め)長老のひとこと

正福寺住職が毎月テーマを決めて「ひとこと」申し上げます。
ホームページの更新情報も不定期に載せていきます。

5月のひとこと(令和6年・仏誕2590年・皇紀2684年)

2024年05月01日 | Weblog
「微笑みが、ほほえみをよぶ春の風」

寒かった冬も峠を越え、一陣の暖かい風に春を感じ、人の温もりを感じる。

私の大好きな一句なのですが…。
 「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、これは昔の話。先月は、四月というのに、日本各地で 真夏日を経験しました。
 やはり、この地球、本当におかしくなっているのです。対策は、緊急の課題となって来ていると思います。
 さて、この五月、当山は、年に一度のおせがき「施餓鬼会」を、お勤めします。毎年お話ししている事ですが、おせがきは、「盆」とともに、日本仏教に伝わる二大仏教行事です。
 どうぞ、ご縁のあるお寺のおせがきに、是非足を運んでいただきたいと思います。

 お施餓鬼から学んで欲しい事、私は昨年のこのひとことで、それは、「尽くし合う世界」「助け合う世界」の実現に向けて、自分に出来る事は何か…。
 この事を考えて欲しいと申し上げました。
 今年は、別の見方をしてみたいと思います。
 仏教では、「小欲知足」小さい欲で足るを知る、を説きます。  
 なんとなれば、人は、あれも欲しい、これも欲しい、私達の欲望は、際限なく広がってゆきます。この欲望は、私たち人間の生活を豊かにする原動力ともなります。
 反面、私たちを、あれも欲しい、これも欲しい、デモ実現できない。私たちを生きながらにして、餓鬼世界に引きずり込む原動力でもあります。 
 今月のお寺の掲示板には、
施餓鬼ーおせがきー皆んなの幸せを祈る世界ーと書きました。 
 そうです。おせがきから学んでほしい第二番目、それは、小欲から大欲へと、昇って欲しいということです。
 自分だけが足るを知る世界から、皆んなが足るを知る世界、皆んなの幸せのために、私たちが出来る事は、何なのか。
 これが、正に仏教の説く大欲なのです。
 ここにも、おせがきをお勤めする大切な意味があるのです。 

 もうひとこと。
現在、私の住んでいる老人ホームは、隅田川と縦横に流れる運河が、東京湾に流れ込む江東区の南端にあります。タワーマンションと高層のオフィスビルの立ち並ぶ正に現代的な街並みです。中央区築地から移ってきた東京都中央卸売市場豊洲市場も、この水辺にあります。
 この水辺に沿って公園と散歩道が整備されていて、私は、折にふれて、この水辺の散歩を楽しんでいますが、ある時、この散歩道に、「高潮、津波情報が発表された際には、高台に避難してください。」という看板が有ることに気がつきました。
「はて、はてな?」と思ったのです。
 この辺は、大体海抜2~5メートルぐらいの様です。
「いざ」と言うときに、この辺りに、高台は有ったのかな?という疑問なのです。
 避難可能な範囲内に、高台は、どうしても思い浮かばないのです。
 やはり、タワーマンションなり、オフィスビルを頼りにする以外、無さそうなのですが・・・・。    合掌

「欲望の林を出でて、欲望の林に執着し、欲望の林にまぬかれて、欲望の林にはしる。この人を見よ。まぬかれては、また、束縛に向かって走る。」

法句経  344番
コメント
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