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白老の自然情報

☆北海道にある白老町の自然情報を写真でお届けします。&私の”知る楽しみ”にお付合い下さい。☆

遡上が続くウヨロ川のサケ(3) 産まれた卵は無事に育つのだろうか?

2012-01-05 15:47:33 | サケの観察

遡上が続くウヨロ川のサケ(2)野生のサケを守るには…の続きです。

 

ウヨロ川で産卵した卵は無事にふ化・浮上して育ち海へ旅立つことができるのだろうか?

 

9月中旬~10月中旬盛んに産卵していた所:2℃ 2か所は 

ウヨロ川中部における2009 年サケ調査報告書の№1エリアの一部であり、 

11月上旬まで産卵が続いていた所:2℃ 3か所は2エリアの一部で、

共に10月には最も多くの産卵床が確認された場所です。 

2011年も9月の下旬から活発に産卵が行われた。

  

12/29この部分を少し細かく産卵床と見られる部分の水温を計測してみました。 

 

1エリアの一部 オーシャンファームの横 

 河川水温度 1℃

産卵床と思われる場所の温度

1℃(±0℃):6か所

1.5(+0.5)5か所

2℃(+1℃):3か所

4℃(+3℃):1か所(このエリアの最下流の右岸際 11月に産卵が見られた) 

 

2エリアの一部 イレスナイ川合流点のすぐ上流

 河川水温度 0℃ (吹雪のため大量の雪が流れてきて急速に水温が低下)

 産卵床温度

0.5℃(+0.5℃):1か所

1℃(+1℃):3か所

1.5℃(+1.5℃):6か所

2℃(+2℃):1か所

4℃(+4℃):1か所(右岸際) 

河川水の温度より高くても1.5℃までの部分が殆どであった。  

 

遊楽部川におけるサケの自然産卵環境調査(さけ・ます 資源管理センターニュース No. 4 )によると、

伏流水が湧昇していると考えられるが、  

多自然研究 第122(財団法人 リバーフロント整備センター)には、

サケは本来、湧水で産卵するのだが、それに限らず浸透水と言って砂利を通って

垂直的な流れの所なら十分産卵する。ただし、孵化して降海するまでは、

算水温900度前後が必要であるが、浸透水では、冬期間の水温が低く、

10月中に産卵したとしても、融雪出水期の後に孵化・降下していく状況となる。

融雪出水期は一気に水が流れることから、産卵床が破壊され稚魚が死んでしまう可能性が高い。

と書かれている。 

さらに

脊椎骨数を利用した自然再生産サケの産卵環境推定水産試験試験研究は今 No.692には、

河川水が湧水よりも低下する寒い時期に遡上してくるサケは、従来言われていた通り、

水温がほぼ一定の湧水で産卵しているのではないでしょうか。

自然再生産するサケの研究は未知の部分も多いため、今後も研究を進めていく必要がありそうです。

と書かれています。

ウヨロ川のこのエリアに産まれた卵は無事に、孵化・浮上しエサを食べ大きくなり降海できるのだろうか? 

 

又、1216日に、11℃ 1か所、9℃ 3か所、8℃ 2か所、7℃ 1か所、4℃ 2か所、2℃ 1か所あった、

3エリアは、10月にも188の産卵床が確認されている。

湧水で平均8℃の水温がキープされたとすると、4カ月後の1月末に

10℃がキープされたとすると、3カ月後の12月末には稚魚が浮上すると考えられる。

0℃近くまで下がった川で無事に過ごす事ができるのだろうか?

 

 この日(12/29)遡上するサケは見られたが、動きが鈍く産卵行動をするメスを見る事はなかった。 

ウヨロ川のサケの産卵は終りを迎えたと思われる。

 

ちなみに、

孵化場から流れるイレスナイ川河川水温度は、2℃(ウヨロ川本流水温+1℃)であった。

 

2012/01/06追記

孵化場の側を通ったので出てくる水の温度を計った。

ふ化場水温 4℃ ウヨロ川水温 2℃  でした。

ふ化場の水はウヨロ川の中流域の上部導水管で引いた水と、ポンプでくみ上げた地下水が入っている。

 

 

が輝くウヨロ川

 

 


遡上が続くウヨロ川のサケ(2)自然産卵するは…

2011-12-27 16:14:47 | サケの観察

凄まじいシロサケのオスの戦い! の最後に 

「このあたりは、概ね10月中に産卵が終るエリアです。

11月末に産卵するのは何故か?」と書きました。

 

1216日 「この何故か?」を知りたくて水温を計ってみた。 

凄まじいシロサケのオスの戦い!があった場所とその付近の

比較的新しい産卵床:9℃ 2か所、8℃ 1か所、6℃ 1か所

これらは、橋の真下の極限られた場所に集中していました。

 

 

9月中旬から産卵していたところ~産卵したばかり(推定)の

産卵床と思われる場所(川底-5㎝程度)の水温を数か所で測定ってみた。

アルコール棒状温度計なので極浅いところしか測定できなかった。

 

 河川水温は測定時間内で変わらず2℃であった。

 9月中旬~10月中旬盛んに産卵していた所:2℃ 2か所

11月上旬まで産卵が続いていた所:2℃ 3か所

11月上旬になり、スポット的に産卵していた場所:産卵床4℃ 

 11月下旬迄産卵していた場所(1):2℃ 1か所、比較的新しい産卵床 6℃ 1か所

 11月下旬迄産卵していた場所(2): 5℃ 1か所、4℃ 3か所、3℃ 1か所 

 まだ産卵が続いていた所付近:11℃ 1か所、9℃ 3か所、8℃ 2か所、7℃ 1か所、4℃ 2か所、2℃ 1か所

 

サケの卵は概ね積算温度480℃でふ化しさらに積算温度480℃(計960℃)で

砂利の中から浮上すると言われます。

 

 楽部川におけるサケの自然産卵環境調査(さけ・ます 資源管理センターニュース No. 4 )には

次のように書かれています。

河床からの湧昇流の有無については,サケが河床から地下水が湧き出ている所」に

産卵するという報告(小林 1968)に従い,冬季に河床内の水温と河川水温を比較することにより検討しました.

なぜなら,北海道において河川水温は冬季間0℃近くまで低下しますが,地下水は年間を通じてほぼ一定の

水温(一般に6-10℃)を保っているからです.したがって,河床内の水温が河川水温よりも高い場所には地下水が湧出し,

河床内水温が河川水温と同じ場所には河川水が浸透していると考えられます.

調査の結果,産卵床内の水温は河川水温に比べ高く産卵床のない河床の水温と河川水温との間には差がないこと

がわかりました(図 1).また,産卵床内の水温は平均4.2℃(範囲1.9-8.0℃)を示し,地下水温に比べ低い値を示しました.

水温が地下水よりも低く河川水よりも高い産卵床を流れている水は, 地下水に比べ水温の日変動や季節変動が

大きいという特徴を示すことからも(図2),河川の伏流水に由来すると考えられます.

これらの結果からサケの産卵場所選択において河床からの湧昇流の存在が重要な要因の一つであることが示唆されました.

 

野性のサケが再生産されるには、湧水伏流水、が大切だという事だと思います。

 

「野性のサケを保全するという事は、産卵できて、無事に稚魚が浮上でき、

育つエサが豊富にある健全な川(かつて川が流れた旧河道を含め)と流域の森を守る必要があるという事」なのだろう。

アイヌ民族博物館だよりNo. 47・48(合併号)によると(5頁)

“ウヨロ川は、町内でサケが最も多く遡上する川であり、昔から白老アイヌの重要な漁場であった。”という。

 

 

1215日に産まれた卵は、来年何月頃に泳ぐ姿を見る事ができるのだろう。

産卵床の温度が10℃のまま変わらないとすると、96日後(約3カ月後)の3月中旬という事になります。

今年(2011)は、330日に、元気に泳ぎ回る稚魚の姿を見ています。

ユスリカなどの川の虫などのエサを食べて大きくなり海へ旅立つという。

 

1216日  お腹のようすからほぼ「サケ人生?」を全うした幸福なメスサケ

 メスが産卵のための穴を掘るリズミカルな音は聞こえなくなりましたが、産卵は続いているようです。

 12月21日のこの付近

 

 

こんな立派なサケが遡上していました。二次性徴から、自然産卵に産まれたサケだろう。

うしろは野生のオスかもしれない。

 

 

今年は寒い12月です。

 

 

 

 

 


遡上が続くウヨロ川のサケ(1)

2011-12-21 21:16:50 | サケの観察

 

今年も秋サケは不漁でした。後半やや持ち直し、新聞には、

「いぶり中央漁協のサケの漁獲量が、昨年-7%減」と書かれていました。 

 

しかしながら、孵化放流事業用の親鮭の捕獲施設は例年(12月初旬)より早い1128日に撤去されました。

来年の放流数は確保できたのでしょう。 

 

129121521日と何度かウヨロ川を観察しています。 

遡上数は徐々に減っているようだが、遡上は続いています。 

しかし、産卵の場所はごく限られた範囲のようです。

12月9日

 

時折産卵のために、メスが穴を掘るリズミカルな音がきこえました。 

  カワガラスは良く見かけるが、久しぶりにミソサザイに出会いました。

ホッチャレを食べに来ているのかもしれない。

カワガラス

 

 

II サケ属魚類とは (社団法人水産資源保護協会)によると

これまでサケを摂餌することが確認されている主な鳥類は、ミソサザイ、ハク

トウワシ、カワガラス、カケス、カラス類の他にカモメ類があげられる。

 

河畔のエゾノヌヤナギが芽鱗の一部を脱捨てていました。特別早いわけではなく毎年の事です。

 


凄まじいシロサケのオスの戦い!

2011-12-17 17:41:38 | サケの観察

自分の子孫を残そうという凄まじい♂サケの戦いです。

先頭の3匹に注目。

腹を見せ産卵のため川底の砂利を掘るのは♀。大きくやや緑っぽい色をしたのが♂。

傷だらけの体をしたのも♂で、腹の色は♀に化けているが(擬態)です。

まともな喧嘩では勝ち目はなく、産卵の瞬間あわよくば自分の精子を...

と狙っているらしいのだが、本命の♂には見破られているらしい。

本命の♂は、執拗に傷だらけの♂に噛みつき攻撃しています。

此処までしなくとも…という感じもします。 ♀は我関せず…

 

tagawacc さんの動画 

喧嘩に負けた♂も割込んで放精するのがわかります。

 

 人類が戦争をせずに生延びていくには、

 「汚染物質(CO2も放射性物質も当然含まれる)の排出量を自然が吸収してくれる範囲に留めること。

再生可能資源の採取は再生量を超えないこと。

枯渇性資源の採取は“再生可能な代替資源”の再生量を超えないこと。」が必要だといいます。 

 

 人間社会では、草食系男子とか少子化とかが問題?になっているが、これらの現象は、

「人間という動物が無意識に(本能的に)、戦争を回避しつつ地球上に生延びようとしているのかもしれない」と、

サケのオスの戦いを見ながら考えました。 

 

 2011/11/29 新ウヨロ橋の上から撮影したものです。

 このあたりは、概ね10月中に産卵が終るエリアです。11月末に産卵するのは何故か?

 

 

 

 

 

 


北海道の海に異変? サンマ南下せず イカ豊漁 コンブ大不漁 秋サケ今年も不漁

2011-11-19 21:43:53 | サケの観察

北海道の海に異変? サンマ南下せず イカ豊漁 コンブ大不漁 秋サケ今年も不漁

 

漁業】北海道沖 異例のさま豊漁 群れが三陸沖に南下せず

 

40年ぶりのイカ豊漁で賑わう網走沖

 

コンブ、謎の大不漁…津波・高水温が原因か

 

道内秋サケ、今年も不漁 道東の低調ぶり深刻 /北海道(毎日新聞 1115()

 

主な道県におけるサケの単純回帰率(%)  

北海道の回帰率

2003H15      6.1%

2004H16      5.9%

2005H17      5.5%

2006H18      5.3%

2007H19      5.3%

2008H20      3.8%

2009H21)  4.7%

2010H22)  3.8%

毎年回帰率が低下している。

 

秋サケ漁に明暗(朝日20111116日)

 

温暖化 北海道に異変(地球の叫び 読売  2009329日)

 

海に何が起きているのだろか?

 


萩の里自然公園&ウヨロ川のサケ

2011-11-06 17:49:50 | サケの観察

 久しぶりに萩の里自然公園を歩いた。

 

まだ紅葉も残っていますが、散策路はもう晩秋のたたずまいです。

 

 

今年はミズナラやヤマブドウの木の実の付きが悪かったようだが、林の縁を歩くとアキグミの実が目についた。

小鳥はまだ食べていないようだが、美味しそうなので3つほど先に頂いた。

 

  

 

アズキナシは大量の実を付けた。冬の野鳥の食料らしい。

 

 

 

 

マタタビも豊作でした。

贅沢な食べ方をする野鳥もいるようだ。

 

 

 

 

今年びっくりするほど沢山の花を咲かせたハクウンボクは、しっかりと種を結んでいました。

 

 

 

ムラサキシキブも例年なみです。(これは昨日の写真です)

 

 

ヤマブドウは全くダメだが、同じ仲間のノブドウは豊作だった。

森の宝石も、この頃には色あせてしまうようだ。

肝臓病や糖尿病に効能があるようだが口に入れてみると何の味もしません。

 

 

 

 

 

マユミは、ほとんどが仮種皮だけになっいていた。

 

 

 

 

萩の里自然公園はウヨロ川フットパスの入口でもあります。

 

旭山自然科学クラブという札幌の子供たちがセンターハウスに立寄ったところでした。

ウヨロ川でサケの観察もするようです。

 

 

室蘭ウォーキング協会の皆さんも大勢でウヨロ川フットパスを歩いているようです。

 

 

昨日のウヨロ川の様子

 

観光客わうオーシャンファームのすぐ横あたりは産卵の最盛期は過ぎました。

 

孵化場から流れるイレスナイ川の合流点の上流では最盛期に近い産卵が続いています。 

動画 

 

カモメが砂利を掘って、サケが深く砂利で覆う事が出来なかった卵を足で掘り出し食べているようです 

動画

 NHKの“さわやか自然百景”のようには撮れません。 

 

砂利掘る♀・体を震わせ産卵を催促する♂ 動画

 

静かに動かずしばらく辛抱すると間近で見られます。

 

 


今日のウヨロ川

2011-10-19 20:46:03 | サケの観察

今日は素晴らしい秋晴れの一日でした。

今日のウヨロ川を写真だけで紹介します。

10/07の雨で遡上したサケが産卵を始めました。今年第2回目の産卵のピークをむかえたようです。

淵にはまだかなりの数がいますので、しばらくはこの状態が続くと思われます。

 

 

 

 

これからは、少しずつ産卵場所が上流へ移動します。

 

ウヨロ川河畔でも、今年は木の実が非常に少ないです。

やっと見つけた木の実

ガマズミ

ワタゲカマツカ

 

チョウセンゴミシ

 のんびりと草を食む黒毛和牛

首都圏からの サケウォッチングツアー

 

 

 

 

 


ウヨロ川サケ遡上観察会のお知らせ(終了しました)

2011-10-12 11:12:26 | サケの観察

 

           ウヨロ川サケ遡上観察会

 

サケの遡上、産卵行動の様子を観察し、野生サケの意義などを専門家から学びます。

 

【親子観察会】 

 対象 小、中学生及びその親 

 日時 11月13日(日)9時30分~11時30分 

 集合場所 萩の里自然公園駐車場(川までバスで移動) 

 講師 自然ウォッチングセンター島田明英氏、小原聡氏

 持ち物 雨具(カッパ)、長靴、筆記用具

 参加料 親子1組500円

 定員 12組(申込み先着順)

 申し込み 氏名・年齢・住所・電話番号をFAX,メール、電話にて申し込み下さい。

 締め切り 11月10日(木)まで

 主催 NPO法人ウヨロ環境トラスト

 詳細 齊藤 365753

 FAX32―6747

 メール trust@shiraoi.org

 

【一般観察会】

 対象 一般(高校生以上)

 日時 11月13日(日)13時~15時

 参加料 300円

 定員 30人(申込み先着順)

 集合場所、講師、持ち物、申し込み、締め切り、主催、詳細は、「親子観察会」に同じ。

 

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ウヨロ川には、人工孵化・放流事業によるサケと、ウヨロ川で自然産卵により生まれた

野生のサケが遡上しており、その姿を間近で見ることができます。

上流では11月~12月上旬まで産卵しています。

 

私たちが食べるほとんどの鮭は人工孵化・放流事業によるサケです。

自然の鮭は、川で生まれて、海へ下り、北太平洋で育ち、川へ戻って産卵します。

主に4~5年前にこの川で生まれたサケが、数千キロの旅をして戻ってきました。

生まれた川を目指し帰ってきますが、幾つかの関門を乗越えなければなりません。

ほとんどのサケは川につく前に定置網などで捕獲されて、私たちの食卓に上ります。

運良く定置網で捕まらなかったものも、川に上り始めたところで、

今度は“ウライ”とよばれる人工授精の為の捕獲施設が待っています。

 

大雨の時運よくそこを乗越えた数少ないサケだけが、この川に遡上しています。

川に遡上を始めると何も食べません。ひたすら6キロほど川を上ってきました。

鮭が一生に一度、命をかけて子孫を残す懸命なサケの姿を見ることができます。

サケの稚魚を放流すれば帰ってきますが、どんな川でも産卵でき、子孫を残す事ができるわけではありません。

鮭が産卵して子どもが生まれるのは、握りこぶし位の大きさの砂利と湧き水があり、深さが20~30位の所です。

そして、春に生まれた子供たちが、その川で育ち、海へ旅立つことができる環境が必要です。

ウヨロ川では、 来年の春には、川で生まれた野生のサケの子供たちをたくさん見ることができます。

石狩川中流におけるサケ(Oncorhynchus keta )の自然産卵の考察(68ページ)によると、

特に「伏流水や湧水」の存在が重要なようです。

 

最近、野生のサケを守ることの重要性が指摘されています

北海道の人工孵化放流されたものは、近年は、約5%が無事に近海へ帰っていました。

沢山帰るのは、稚魚が最初の夏から秋を過ごす、オホーツクの海の温度が、生育に適した8~12℃だからだといいます。

このまま、地球温暖化が進むと、適した水温の面積が、どんどん減り、また、北海道から遠くなり、

サケへの影響は計り知れないといいます。温暖化を食い止めることは勿論、

川で自然産卵により生まれた野生のサケは、孵化場育ちのサケより環境変動への適応力の高いと考えられており、

自然産卵で稚魚が生まれて育つ、河川生態系を復活する事が重要だと言われています。

地球温暖化と水産食料資源の将来展望―サケ類を中心に

 

気候変動とサケ資源について

       どちらも北海道大学 帰山先生によるものです。

 

 

岩手県では、サケの回帰率がピーク時(96年)の5.5%から、1~2%に低下。

北海道でも、2003年の6.1%をピークに減少しており、昨年は3.8%でした。

今年も不漁が伝えられています。

確かな原因は分かっていないようです。温暖化による影響の兆候かもしれません。

サケの回帰率(放流した稚魚に対して帰ってくる数の割合)

全国の単純回帰率の推移

 

道立さけます・内水面水産試験場が、原因の調査や対策のため、白老町の孵化(ふ・か)場で

蛍光色素(ALC標識)を施した稚魚を毎年250万~300万匹用意して調べているという。

漁獲安定へ 水産試験場研究

 サケの資源は、人工ふ化・放流事業に頼っていましたが、野性のサケの実態調査 も始まっているようです。

自然産卵するサケの回帰 (さけます・内水面水産試験場)

サケの遡上を観察しながら、野性のサケ保全についても考えてみませんか?

 


ウヨロ川サケ情報 10月8日

2011-10-08 19:23:17 | サケの観察

 

9月6日の大雨以降、新たに遡上していない様子で、川のサケは減少するばかりでした。 

 

10月6日夜~7日未明の雨でウライを通過でき、遡上したようです。

9月6日の大雨ほど大量ではないようですが、かなりの数が遡上しました。

産卵可能な範囲にすでに到着したようですが、「淵」に集まっています。

 

 

 

産卵行動やホッチャレや砂利をかけ損ねた「卵狙い」が見られるのはこれからでしょう。

しかしながら、があこんな状況を、少なくとも今シーズンは見る事ができません。非常に残念です。

 

 

カワアイサも卵狙いかもしれません。お待ちかねのようです。 

 

 

 

カモメ・遠くの黒い点はカラス(09/28) 今年は今の所カラスが少ない。

 

 

 

卵狙い?(09/23)

 

 

ホッチャレ(09/23)

 

 

小魚も食べている(ウグイ・ヤマベ?)(09/23)

 

 

トビは数羽が飛び立つのを見ただけです。まだ他に食べ物があるらしい。(09/23)

 

 

 

 

 


今年も秋サケは不漁のようです。原因はそして今後は? 2011/9

2011-09-17 17:15:40 | サケの観察

今年も秋サケは不漁のようです。原因はそして今後は? 

 

秋サケの季節です。鮭を美味しく食べたいと思っていますが、今年も不漁のようです。 

 

鮭 レシピ←検索結果 

台風の影響で9月上旬は不漁 胆振海区の秋サケ漁(苫民)

 

 

秋サケ漁 あす解禁 来遊予測は少なめ…

  

サケの放流数と来遊数及回帰率の推移(独立行政法人 水産総合研究センター 北海道区水産研究所) 

 

 北海道では毎年10億匹、本州では8億匹の稚魚を放流しているようです。 

単純回帰率(%)を見ると、20年前頃から概ね45%であったが、2008年(H20)から、低下傾向にあるようです。 

岩手県にも注目すると、1990年代はバラツキはあるものの35%であったが、2000年代に入ると、2%台に減っています。

 

秋サケ不漁岩手研究←検索結果

 

○幼魚の餌料環境が生残に影響を与えていると推察された。

○高い回帰率を示した年級が放流された5月の海況は、親潮の南下が強く、かつ岩手県沿岸に接岸する傾向を示しているが、低い回帰率の年級が放流された5月の海況は、親潮の南下が弱い、または接岸傾向が認められなかった。

などが原因ではないかとされているようです。

 

北海道の秋サケは今後どうなるのでしょうか?

 

漁獲安定へ 水産試験場研究 秋サケ「さらば不漁」(朝日)

 

サケ稚魚放流を考える(たきかわ環境フォーラム)有賀望さん(札幌市豊平川さけ科学館)

 

 

 

秋サケ漁のワケ(STV)

  


ウヨロ川のサケ 産卵行動

2011-09-16 21:01:03 | サケの観察

9月10日(土曜日)にまとまった数のサケが遡上しました。三つほどの集団で泳いでいました。

 16日(金)6日ぶりに観察しました。 相変わらず3つほどの集団はありましたが、それぞれ数が少なくなっていました。

 1匹から数匹にバラケて、例年産卵がみられる範囲に分散していました。 産卵行動も6か所ほどで見られました。

 一生懸命子孫を残そうとする姿はいつ見ても見飽きる事はありません。

 

昨年の10月15日の大雨と今年の大雨で、少しずつ水が流れる位置が変わり、

間近で産卵行動を観察できる場所が少なくなったように感じます。

ウヨロ川は水が少なく水位は4.43mでした。

目についた植物

ミヤマニガウリ 

 イヌタデ(別名:赤まんま)

 


今年もウヨロ川にサケが戻ってきました

2011-09-11 18:19:16 | サケの観察

 

 

8月15日に、1匹のホッチャレを確認してから何度か足を運びました。

 

8月21日 森野で集中豪雨

8月23日 大雨でも遡上しなかったもよう。 本流 0 イレスナイ川合流点 0 孵化場 0

 

8月27日 ウヨロ川本流 2匹確認 イレスナイ川合流点 0 孵化場 0

 

9月の大雨での増水 大変な増水でした。

2011/09/06 08:40 

 

 

 

9月7日 遡上を期待したが 本流 0 イレスナイ川合流点 0 孵化場 0

 

9月10日(土曜日)本流 まとまった遡上を確認 イレスナイ川合流点1 孵化場6

 

 

 

  

 

ウライを乗越えようやくたどり着いて一休みといった感じです。

 

メスが穴を掘るなどの産卵行動は見られず。

 

 

フットパスで目についた植物

エゾトリカブト

 

アケボノソウ

 

ミゾソバ

 

アキノウナギツカミ

 

オオバセンキュウ

 

 

牛に食べられなかったエゾリンドウ

 

ゲンノショウコ

 

カラハナソウ日本産ホップの野生種

 

ミズナラのどんぐりも大分大きくなりました。

 

 


白老町ウヨロ川 元気に泳ぐ野生サケの稚魚 溶存鉄 イレスナイ川の今

2011-04-03 15:57:07 | サケの観察
今年も鮭の稚魚がみられる季節になりました 2011-03-01 以後、久しぶりにウヨロ川を歩いてきました。

孵化場が放流するイレスナイ川の上流では、野生のサケの稚魚が元気に泳いでいました。観察できる場所も中流域全体に広がっていました。
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ウヨロ川の野生サケ稚魚(1)   すばしっこくて見えないかもしれません。
ウヨロ川の野生サケ稚魚(2)
ウヨロ川の野生サケ稚魚(2)


稚魚がよく観察できるのはこんな場所です。
写真手前岸寄



写真奥 小さな湧水がある



野生のサケ稚魚が育つには、流れの緩やかな浅い場所が必要なのではないだろうか?
(流れの速い本流にもいるのかもしれませんが観察することは難しいです。)

ウヨロ川中流域にはこんな場所がまだ幾つか残っています。





私たちが、「かなけ」と呼ぶものだと思います。
調べると、「鉄分(カナケ):井水に溶解している溶存鉄のうち、水酸化第一・第二鉄・重炭酸第一鉄、硫酸第一鉄を除去します。原水は無色で、放置すると褐色の沈澱物を生じ、洗濯物を黄色くします。」と何かの広告に書いてありました。

今、「溶存鉄」が注目されているようです。

アムール・オホーツクプロジェクト
溶存鉄は、森林と湿原の存在に大きく依存していると書かれています。
オホーツクの豊かな海は、「巨大魚付林」アムール流域の森林と湿原に支えられているとういことなのでしょう。

海洋の生物生産を支える鉄 (久万健志(北海道大学大学院水産科学研究科)

海の森」再生に向けた新たなアプローチ (海の緑化研究会シンポジウム)

河畔林を巡る海と陸の間の物質循環

人間は自然の恵みを頂いて生きるしかないのです。人間も自然の一部であると考える方が良いでしょう。
河畔林や河川敷・周辺の森と共に、谷地を大切にすべきだと思います。

次に、昨年末から心配している事。
先ずこの動画を見てください。
ウヨロ川サケの遡上VOL.2  を先ず見てください。
この場所は、レスナイ川からウヨロ川本流へ合流する場所です。
イレスナイ川の上流には孵化場があります。ジャンプして遡上しようと試みているサケは、数年前に孵化場から放流され、このイレスナイ川を下ったサケです。生まれた故郷で産卵して子孫を残そうとしているのです。しかし、このイレスナイ川は放流する事を目的に作られた人工の川です。幸いな事に、合流点が「滝」のようになっており、大雨で増水したときに僅かに遡上するだけです。
上の動画の孵化場で生まれたサケも、卵が熟して産しなければならない状態になると、この付近のウヨロ川本流で産卵するのだろうと考えられます。
ところが、困った事が起きてしまいました。イレスナイ川の現状の写真です。

写真奥の岸が大きくえぐられ、「滝」が無くなってしまったのです。針金でつながったコンクリートのプレートの下や向こう側に水が潜り込んでいます。今後、「ざる」状になり全ての水が下を流れる事になると、放流された稚魚が「ざる」で掬い取られ死んでしまう事も無いとは言い切れません。もうすぐ孵化場から稚魚の放流が始まると思います。

今年の秋、孵化場育ちの多くのサケがこのイレスナイ川を遡上するのではないかと予想しています。この川には産卵に適した場所は殆どありません。遡上しても「子孫を残すことなく無駄死に」してしまうでのす。命をつなぐことができなかった多くのサケの死骸は見るに忍びないことであり、訪れた方々になんとお話すれば良いのか今から悩んでいます。
私が最も紹介したい市村政樹さんのお話、 サケの死がい 生き物たちの命の綱に(標津サーモン科学館学芸員、市村政樹さんのレポートより サーモンミュージアム
は可能なのではありますが…

 参考:ウヨロ川とイレスナイ川付近の地図

昨年秋に遡上したサケはこれしか残っていません。


森と川と海の生き物のつながり (北海道立林業試験場 長坂 晶子)

物質循環から見た森と川のつながり(北海道立林業試験場 長坂 晶子)




牧場の近くのハルニレが急いで花芽を膨らませているようです。




今年も鮭の稚魚がみられる季節になりました

2011-03-01 20:26:39 | サケの観察
ウヨロ川でも鮭の稚魚がみられる季節になりました。

豊平川では1月に↓確認されているようですが、ウヨロ川では2月27日に確認しました。
http://www.sapporo-park.or.jp/blog_sake/index.php/2011/01/19/3536/

鮭の稚魚を見るのは意外に難しいです。近づくと素早く逃げ去ります。
ですから、もっと早くに浮上していたのかもしれません。

今日は朝から雪で冬に逆戻りの感じですが、昨日は気温が低めで晴天だったのでウヨロ川へ出かけることにしました。

オーシャンファームからは、オロフレ山とホロホロ山が綺麗に見えました。



早速川へ。稚魚は川岸の流れが緩やかで浅い場所で見ることができます。



慎重に近づき、何とか写真に収めることができました。



「卵黄のう」は見えないので、浮上してすぐではないようです。
http://www.food.maruha-nichiro.co.jp/salmon/jiten/jiten01.html

小さな稚魚が、産卵床からどのようにして浮上するのでしょうか?最近考える謎です。
あちこちで、秋に親の鮭が産卵した産室のようなものが見えますがが、これも謎です。



小さな波紋が広がっています。稚魚が何かを食べているようです。



河原へ移動して水面を良く観察すると、小さな虫が水面に落ち流れていました。
これが、ユスリカなのだろうと思います。



10℃近くの湧水がある小さな支流では、ウヨロ川本流よりやや大きな稚魚が活発に泳いでいました。



流れの緩やかな「淵」の落ち葉溜りには、骨と少しの皮だけになったホッチャレの姿が少し残っていました。



陸上には骨の切れ端しかみえません。
昨年は、遡上時期に何度か大雨が降り多くのホッチャレが河原から流されました。
毎年河原のホッチャレを食料とする生き物は大変な冬だったのではないかと思われます。

2月15日 河原に死んでいたキタキツネは骨だけになっていました。
群がっていたカラスと、ひょっとしてオジロワシが食べたのかもしれません。



冬の食料をホッチャレに依存していたキツネが餓死したのかもしれません。

食べ物を求めて川原をうろつくキタキツネ食べ物を求めて川原をうろつくキタキツネ


日当たりの良いところでは、蕗の薹が顔を出していました。



オニグルミはまだ真冬のままのようです。



エゾニワトコの芽は大きく膨らんでいきています。



エゾノキヌヤナギは、鱗片を脱ぎ始めています。



ケヤマハンノキの雄花は赤味を帯び始め、開花が近付いているようです。



ウヨロ川はサケを中心とした命のつながりを間近に観察できる川です。

ウヨロ川の自然産卵のサケ稚魚と孵化場育ちの稚魚

2010-04-13 23:51:02 | サケの観察
孵化場で育てられ放流されたサケの稚魚です↓
http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/catalog_090520201567_1.htm
私の足元を平気で泳いでいます。
孵化場育ちの稚魚は人間に慣れているように見えます。人が手で振り撒く餌を食べて育ったからだと思います。

これは↓自然産卵で生まれた稚魚です。
http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/catalog_100413299469_1.htm
集団で画面左上から右下の間で動いています。画面右下には私の影があります。じっと動かないようにしていましたが一度も影に近づくことはありませんでした。

3月20日に孵化場からの川が流入する少し下流で、今年初めて稚魚を見ましたが、泳いでいるすぐ近くの水に足を入れても逃げませんでした。これも孵化場で育った稚魚だったのです。
これがその時の写真です。スナップ写真用のカメラなのでピンボケですが、すぐ足元に稚魚がいます。



ウヨロ川中流部における2009年サケ調査報告書↓やここ数年のサケの観察で学んだことは、
http://blog.goo.ne.jp/shiroikumo_2004/e/51050bbbcf6854c72fde2e632bc59920
「ウヨロ川の自然産卵するサケを保全するには、河畔や周囲の環境、湧水、
流入する支流など、生態系としての川を保全しなければならない」
だろうということです。
http://www.food.maruha-nichiro.co.jp/salmon/environment/index.html

今気になることが起きています。
調査報告書で、12月に最も多くの産卵床が確認された区域に稚魚を見ることができないのです。
観察を継続する必要があると感じています。