凄まじいシロサケのオスの戦い! の最後に
「このあたりは、概ね10月中に産卵が終るエリアです。
11月末に産卵するのは何故か?」と書きました。
12月16日 「この何故か?」を知りたくて水温を計ってみた。
凄まじいシロサケのオスの戦い!があった場所とその付近の
比較的新しい産卵床:9℃ 2か所、8℃ 1か所、6℃ 1か所
これらは、橋の真下の極限られた場所に集中していました。
9月中旬から産卵していたところ~産卵したばかり(推定)の
産卵床と思われる場所(川底-5㎝程度)の水温を数か所で測定ってみた。
アルコール棒状温度計なので極浅いところしか測定できなかった。
河川水温は測定時間内で変わらず2℃であった。
9月中旬~10月中旬盛んに産卵していた所:2℃ 2か所
11月上旬まで産卵が続いていた所:2℃ 3か所
11月上旬になり、スポット的に産卵していた場所:産卵床4℃
11月下旬迄産卵していた場所(1):2℃ 1か所、比較的新しい産卵床 6℃ 1か所
11月下旬迄産卵していた場所(2): 5℃ 1か所、4℃ 3か所、3℃ 1か所
まだ産卵が続いていた所付近:11℃ 1か所、9℃ 3か所、8℃ 2か所、7℃ 1か所、4℃ 2か所、2℃ 1か所
サケの卵は概ね積算温度480℃でふ化しさらに積算温度480℃(計960℃)で
砂利の中から浮上すると言われます。
遊楽部川におけるサケの自然産卵環境調査(さけ・ます 資源管理センターニュース No. 4 )には
次のように書かれています。
河床からの湧昇流の有無については,サケが「河床から地下水が湧き出ている所」に
産卵するという報告(小林 1968)に従い,冬季に河床内の水温と河川水温を比較することにより検討しました.
なぜなら,北海道において河川水温は冬季間0℃近くまで低下しますが,地下水は年間を通じてほぼ一定の
水温(一般に6-10℃)を保っているからです.したがって,河床内の水温が河川水温よりも高い場所には地下水が湧出し,
河床内水温が河川水温と同じ場所には河川水が浸透していると考えられます.
調査の結果,産卵床内の水温は河川水温に比べ高く,産卵床のない河床の水温と河川水温との間には差がないこと
がわかりました(図 1).また,産卵床内の水温は平均4.2℃(範囲1.9-8.0℃)を示し,地下水温に比べ低い値を示しました.
水温が地下水よりも低く河川水よりも高い産卵床を流れている水は, 地下水に比べ水温の日変動や季節変動が
大きいという特徴を示すことからも(図2),河川の伏流水に由来すると考えられます.
これらの結果からサケの産卵場所選択において河床からの湧昇流の存在が重要な要因の一つであることが示唆されました.
野性のサケが再生産されるには、湧水、伏流水、が大切だという事だと思います。
「野性のサケを保全するという事は、産卵できて、無事に稚魚が浮上でき、
育つエサが豊富にある健全な川(かつて川が流れた旧河道を含め)と流域の森を守る必要があるという事」なのだろう。
アイヌ民族博物館だよりNo. 47・48(合併号)によると(5頁)
“ウヨロ川は、町内でサケが最も多く遡上する川であり、昔から白老アイヌの重要な漁場であった。”という。
12月15日に産まれた卵は、来年何月頃に泳ぐ姿を見る事ができるのだろう。
産卵床の温度が10℃のまま変わらないとすると、96日後(約3カ月後)の3月中旬という事になります。
今年(2011年)は、3月30日に、元気に泳ぎ回る稚魚の姿を見ています。
ユスリカなどの川の虫などのエサを食べて大きくなり海へ旅立つという。
12月16日 お腹のようすからほぼ「サケ人生?」を全うした幸福なメスサケ
メスが産卵のための穴を掘るリズミカルな音は聞こえなくなりましたが、産卵は続いているようです。
12月21日のこの付近
こんな立派なサケが遡上していました。二次性徴から、自然産卵に産まれたサケだろう。
うしろは野生のオスかもしれない。
今年は寒い12月です。