しまなみニュース順風

因島のミニコミ「しまなみNews 順風」は、しまなみ海道沿いの生活情報をリリースし、地域コミュニティー構築を目指します。

神峰山

2006-08-23 18:27:11 | 田舎暮らし
 仕事で竹原の沖に浮かぶ大崎上島へ行ってきた。
 竹原からはフェリーに乗船し、垂水で降りる。途中、いつも渋滞している三原市内を走ったので、因島を午前6時に出発しても竹原港到着したのは午前8時前になってしまった。仕事の予定としては問題ないが、広島県も鞆に架橋を付けるぐらいなら三原市にバイパスを付けて欲しいと思ってしまう。
 フェリーに乗船してからは、上甲板に居座って、しばしのクルージングを楽しんだ。前回の仕事の時には別に気にもならなかった「軍艦島」がはっきりと見えてくる。東邦亜鉛契島精錬所だ。ホームページには、
「契島製錬所は当社の亜鉛・鉛事業本部に属する鉛の主力工場で、わが国随一の生産能力を持つ鉛製錬所です。同製錬所は瀬戸内海に浮かぶ全島工場の製錬所です」と説明されていて、なるほど海に浮かぶ工場なのだと見とれてしまう。
 フェリーの所要時間は、およそ25分。予備知識があれば、退屈しないクルージングが楽しめる。
 垂水港に到着してからは、島の反対側の木江町へ行って仕事を済ませ、前から気になっていたこの島の最高峰、神峰山(しんぽうざん、通称かんのみね、標高452.6メートル)を目指す。木江町からは案内図もなく、土地の人を呼び止めては道を聞き、やっとの思いで山頂駐車場に到着した。
 神峰山の山頂駐車場からは、島の北側方面が一望できる。大小さまざまな島、古い町並みの残る竹原の町、あの渋滞していた三原市も束の間に見える。島の平野部に目を移すと、たくさんの畑があり、かつては田んぼもたくさんあって、豊かな土地だったことが見て取れる。
 島に住んでいるせいか、それほど感動することもなかったが、それでも、やっとの思いで到着した分、感慨深かった。そのためか、つい、本当の山頂を目指してみようと思ってしまった。山頂の駐車場からは、さらに470メートル歩くと、神峰山の最高峰にたどり着くことができる。
 最初は、カメラだけ手にして山道を登ろうとしていたが、すぐにそのおろかさに気がついた。山道の470メートルは、当然、平地の470メートルとは比べ物にならないぐらい歩くための体力が必要だ。残暑の厳しいこの時期だから、ダラダラと大汗もかくだろう。しかも、正午に近い時間帯では日差しも強烈に違いない。
 車に取って返して、帽子、タオル、半分ほどお茶の入ったペットボトルを持ち、意気揚々と山頂を目指す。
 ところが、予想した通り、山道の勾配が厳しい上、丸太を並べた階段に歩くテンポも合わなかったので、想像以上の体力を消耗してしまった。途中に何箇所か休憩用のベンチもあるが、まさか日当たり良好なベンチでくつろぐ気にもなれず、夏を惜しんで盛大なシンフォニーを奏でるセミの鳴き声に攻め立てられつつ、ただただ山頂を目指した。
 鬱蒼と茂った広葉樹の原生林の中、丸太の階段だけを頼りに、
「まだかいな、まだかいなー」と呟きながら、先を急ぐ。
 先を急ぐ理由は他にもある。
 ところどころに赤い涎掛けをした地蔵を祭っているので、そこはかとない薄気味悪さも漂っているからだ。そう言えば、大崎上島町の観光ガイドに、神峰山は四国石鎚とゆかりのある薬師堂があると思い出して、うだるような暑さなのに、背中にひんやりとした感触を覚えるのだった。
 ようやく山頂が見えてくると、妙な達成感を感じてしまった。ただ、思いついて、神峰山の山頂を目指そうというだけのちっぽけな目標なのだが…。
 しかし、山頂に到着して見晴台からの景色を眺めて、少しだけがっかりした。駐車場からの眺めと差して変わらなかったからだ。
 あ~あ、このダラダラと流れた汗、消耗してしまった体力の対価が妙な達成感だけだったとは。
 思わず天を仰いだのは、「もう少しだけ、もう少しだけ」という人間の欲望に浅はかさを感じたからなのかもしれない。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
しまなみ (犬猫快感会館)
2006-08-25 18:15:34
あの海の道が、

なぜ「しまなみ海道」と名づけられたのか、

少しだけ分かった気がします。



わたしもこの山頂に立ってみたいです。

そのときは、ご案内してくださいね。
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犬猫姫さま (順風)
2006-08-25 19:28:25
お奨めは、

何といっても

岩城島の積善山です。

山頂に登ると、

360度の大パノラマです。

標高は370メートルながら、

周りにさえぎるものがないため、

しまなみ街道のほぼ全ての島を

眺めることができます。

実は、

ここの展望台、

3階建てになっていて、

頂上には、なぜかお立ち台があります。

高所恐怖症の私などは、

このお立ち台に上がると、

足元がスースー、

体はグラグラとして、

絶景を楽しむというより、

絶叫したい気分になります。

ちなみに、

積善山は、

パラグライダーの名所にもなっています。

正月になると、

因島からでも

上空を飛んでいるパラグライダーを

見ることができます。

観光ガイドなら

お任せあれ。

どんなプログラムでもお作りしますよ。
返信する
弾けたーい! (犬猫快感会館)
2006-08-26 12:27:10
しまなみ街道クルージングプランナー順風さま。



ご好意、涙が出そうなほど嬉しいです。

ベラビスタにお泊まりして、

豪華なスパと贅沢な食事にありつき、

王侯気分を味わいたい。



テンパりすぎて弾けたとき、

予約なしで突然お伺いしてしまうかもしれません。



●●歳すぎても放浪癖が抜けない犬猫快感会館より。
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Re.弾けたーい! (順風)
2006-08-26 14:51:31
ようござんすとも。

ベラビスタもいいですけど、

無料の宿泊所もご用意いたしましょう。

しかも、カラオケ付です。

豪華なスパはありませんが、

不思議な銭湯もあります。

これから寒くなってくると

魚がおいしい季節になります。

都会のような

きらびやかな遊びはありませんが、

スローフード、スローフードを

存分に実感できる旅行が楽しめますよ。

生きててよかったー、と思ってもらえれば、

それが一番のご祝儀です。
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生きててよかったー (犬猫快感会館)
2006-08-26 15:28:09
ううう、ますます涙が出そうです。



無料の宿泊所の窓にもたれて、

瀬戸内に浮かぶ大小の島々を眺めてたら、

きっと、うたた寝したくなるでしょうね。

気持ちええんじゃろーなー。



・・・と書いてたら、ほんとに眠たくなってきました。

今やってるメンドクサイ仕事おっぽり出して、

昼寝したい誘惑と闘っています。



上の息子を連れて行っていいですか。

順風さんのご子息とバッテリーを組ませてみたい。



御礼に、

犬猫教師が、ご子息に無料で、

英語数学をレクチャーして差し上げます。

いらんか。



あああ。

弾ける日も近い??
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