詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

シナリオ風小説第「潮騒」最終回

2010年11月28日 | 小説「潮騒」
【ENDING】

潮騒

作詞:布袋寅泰 作曲:布袋寅泰 歌:今井美樹

思い出のあの海へ
いつかまた帰りたいと
夏の風に吹かれるたび
たまらなく心ざわめく

せつなさが潮騒の
音と共に蘇る
太陽の季節に出逢い
星降る夜に消えた恋

涙で滲むサンセット
恋の記憶切なく燃えあがる
目を閉じればあなたの声
眩い笑顔と白いシャツ

あの夏の日の空は
今もずっと胸に焼きついてる
波打ち際 消えたメロディ
愛のセレナーデ

夕暮れの浜辺には
二人だけしかいなくて
子供みたいにしゃがみこみ
火をつけた線香花火

その時の横顔を
私は忘れられない
少年のような微笑み
愛しくて泣きそうだった

果てしないあの海を
見つめながらそっと肩を寄せて
時を忘れ語り合った
夢は叶わなかったけど

かけがえのないメモリー
今もずっと胸をしめつけてる
波打ち際 交わしたキス
永久に消えないで

涙で滲むサンセット
恋の記憶切なく燃えあがる
目を閉じればあなたの声
眩い笑顔と白いシャツ

あの夏の日の空は
今もずっと胸に焼きついてる
波打ち際 消えたメロディ
愛のセレナーデ

~Fin~



あとがき

この作品は、大学の映画研究会に入っていたマイミクさんから
「今井美樹さんの潮騒をテーマに恋愛小説(シナリオ)を書いて欲しい」
と依頼されて初めて挑んだ長編小説です。
元来詩を書くのが好きだった私は、ポエム小説として自分の中で新しい分野に
挑戦してみましまた。
つたない文章を最後まで読んでくださった皆様に感謝いたします。

続編は全くテイストの変った「悪魔に魂を売った女 沙羅」を掲載いたしますので
またよければお付き合いください。

また、小説への感想コメもお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。

~尾崎詩絵里~

シナリオ風小説「潮騒」第12回

2010年11月27日 | 小説「潮騒」
最終節 ~そして再び海へ

沙羅は、駿との電話を切ったあと、二人の思い出の海に一人できていた。

初めて二人できたときのように、まだ、夏前だったので、人は誰もいなかった。

「Summer days」~オリジナルポエム~

月の明かりがさびしい夜に 一人涙流す
時計の針が今日の終わりゆっくり告げる夏の日
去年の夏は二人一緒だったのに でも今年の夏は・・・・

Memory of summer days 夏の日差しの中一人
去年と同じ海岸通り一人で歩く
I miss you


足元寄せる小さな 波に あの日を想い出す
あなたの優しさ あなたの言葉 あなたの笑顔
去年の夏は二人きりだった でも今年の夏は・・・・
Memory of summer days 夏の黄昏の中一人
去年と同じ夕陽を一人 涙で見つめて
I miss you・・・・・

この詩には、あのあと、駿が曲をつけてくれた。それを口ずさみながら、沙羅は、しゃがみこみ泣いた。泣きつづけた。体中の水分が全部なくなってしまうかのように。
波の音だけが響いていた。
このまま、一緒海の泡として消えてしまいたかった。

沙羅「王子様の愛を受けられなかった人魚姫は、約束どおり、海の泡と消えてしまった・・・
私も・・・・・できれば・・・・・でもそんなことをすれば駿に迷惑がかかる。小百合さんが傷つく・・・
だめ・・・できない」




「セピア色の想いで」 (オリジナルポエム)


潮騒に耳を傾け 遠くを見つめる貴方と
隣の貴方のぬくもりを感じて眠る私
すべては、今は面影として私の心に
映っている

青い海を 月の光が 白く染める

もう2度とは 会えない貴方 涙は 海より青くって

Don't say good bye 出会いは突然で

Please love me again さよならも突然で

あたたかい貴方の腕の中で 哀しみも溶けたらいいのにね



二人の想いで 時を隔てて セピア色に変わる

一つの道が 二つに別れ もう2度と交じわらず

Don't leave me alone 二人の愛は海より深く

Please kiss me again 二人の別れは波より速く

涙は哀色に黄昏れて  想い出は 彼方へ 流されて・・・

沙羅「なぜなぜ・・・・人は他人のことをこんなに愛することができるの。彼を失っただけなのに、私の心の中の柱がなくなってしまったみたい。私はこれから何を頼りに生きていけばいいの。
駿・・・・こんな結末を迎えるならばあなたになんて出会いたくなかった」



「失われた愛」オリジナルポエム

出逢ったあの頃にもどりたくて
受話器をとってボタンを押す・・・

それなのに貴方の声を聞くのがこわくて
つながる前に切ってしまう・・・

今あなたの傍にいる人は誰?
私とは、似ていない笑顔の素敵な人?

Ah 失われた愛を求めて 砕けた想い出拾い集めても

もうひとつのハートの形をした あなたの心が見つからない


あの頃は二人の歯車 永遠に回り続けるって信じていたのに

こんなにも早くさびついてしまうなんて・・・・



沙羅は一人で、海岸線を歩きながら、ゆっくりと駿との思い出を思い出していた。

砕け散った心、終わってしまった恋

最後に、岡田先輩に一通のメールと最後のポエムを贈った

沙羅(岡田先輩へ  いろいろとご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。一身上の都合により、本日をもって退部させていただきたいと思います。最後のポエムをお送りいたします。
もし、お気に召すようであれば次号の同人誌に掲載してください。)






「水色MEDICINE」(オリジナルポエム)

恋を忘れる薬をください・・・

今日は、ひとさじ・・・
明日は、ふたさじ・・・

いつになれば忘れられるの?

あの日のあなたのささやきも あの日のあなたの微笑みも

メールのようにDELETEできたらいいのにね・・・・


心の傷は誰にも見えない

あなたの代わりは誰もなれない・・・・


恋を忘れる薬をください・・・
今日は1錠  明日は2錠

別れがいつかくるならば
いっそ出会わなければよかったのに

想い出詰まった携帯電話

いっそ海にながしてしまおうか・・・

私の心の苦しみも

一緒に流してくれるように・・・・


恋を忘れる薬をください

今日はひとつぶ
あしたはふたつぶ

いくつのめば忘れられるの。。。。。

涙色した
水色 MEDICINE

シナリオ風小説「潮騒」第11回

2010年11月26日 | 小説「潮騒」
第三節 悲しみのメール

年はかわり、初詣の約束も反古されたまま、1、2、3月が過ぎたが、駿はサークルにも顔をださず、授業も沙羅を避けるようにし、沙羅と同じ授業については出席をしていないようだった。

やがて2年生に進級したが、駿は、2ヶ月の休校届を出しているらしいという噂を通じて愛理から聞いた。

携帯は、まったく通じず、一切連絡がとれなかった。

駿のマンションに何度か行こうと思ったが、その勇気もなく、沙羅は毎日落ちこんだまま、廃人のように抜け殻になったように・・・・生きつづけていた。

沙羅(駿・・・駿・・・・どうして連絡をしてくれないの。あの夏の告白は嘘だったの・・・・あの二人だけの夜は・・・・愛しているっていったあの言葉は?)

駿のことを考えると一晩中眠れず、目を充血させたままとりあえず、幽霊のような気分で学校にだけはきていた。

サークルには出る気もなくなり、休部届をだしていた。

そんなおり、2度目の夏を迎えようとしていた7月のはじめにやっと駿から沙羅宛に一通のメールが届いた。

(沙羅・・・・ごめん。君を愛していたのは、嘘じゃない。心から愛していた。でも小百合には、僕が必要なんだ・・・・幼いころ、まだ幼稚園のときだけど僕は小百合を一生守ると約束をしてしまった。
小百合の病気、うつ病の原因は100%僕なんだ・・・・・
僕は、これから小百合を守っていってあげなくてはならない。
沙羅をこれ以上苦しめたくない。携帯電話はクリスマスに壊れたので、買い換えた。
沙羅・・・・
心から愛していた・・・・・
でも、もう僕は君とは付き合えない・・・・・
こんな僕を許してほしい・・・・・・
今、僕は、小百合の病気を少しでもよくなるように静岡の病院で、療養をしている。
僕は、毎日小百合と一緒にいる。小百合も僕が一緒にいることにより、落ち着いてきている。
毎日毎日一緒にいるうちに小百合に対しての思いも友情から、徐々に愛情に変化しつつある。小百合を僕は、もう一人にはしておけない。沙羅は、素敵な女性だから、きっと僕以上の素敵な男性が現れると思う。だからもう、僕のことは忘れてほしい。
わがままな僕を許してほしい。
僕は、今、小百合が好きだ。
今まで本当にありがとう。そしてさよなら・・・・)

沙羅は目の前が真っ暗になった。
何度も何度も最悪のことを自分で覚悟はしていた。でも・・・それを現実として目の前につきつけられると
沙羅はそのままそこでしゃがみこんでしまった。

「悲しみは心に深く」オリジナルポエム

さよならのメールの言葉が
こんなにも心に響くなんて

あなたとつきあってきた日々が
すべて思い出が黒くぬりつぶされてく

愛して、愛されていた日々も
すべて海に流されるように

信じない信じたくない文字が
涙でかすんでゆく

時間を元に戻せるならば
一度だけ戻したい


ちょうど、学食でメールを受信して真っ青になっている沙羅を順子と愛理がみつけた。

愛理、順子「沙羅!!!どうしたの?なにがあったの」

沙羅は何も言わずに携帯をそのまま二人に渡した。


愛理「どういうこと!!!これってひどくない!!」

順子「ものすごい裏切り行為だよ!!」

愛理「すぐに駿君にメール・・・・ううん電話をしなよ!!沙羅がしないなら私がしてあげる」

沙羅「だ・・・大丈夫。私、できるから」

プルルル・・・・・プルルル・・・・

三回目のコール音でやっと電話が通じた

沙羅「もしもし駿?」

小百合「沙羅さん?小百合です」

沙羅「・・・・・・・」

小百合「本当にごめんなさい。きっとあなたも私と同じように駿を愛していたのだと思う。でもごめんなさい。私には、駿がいなくては、生きていけないの。一生のお願いだから、駿をあきらめてください」

沙羅「駿は?駿は、そこにいないんですか・」

駿「小百合、だめじゃないか俺の電話に勝手にでちゃ・・・・もしもし」

懐かしい駿の声を聞いた瞬間沙羅の両目からは涙があふれ出た。

沙羅「し・・・駿」

駿「沙羅・・・・」

永遠の沈黙が続くと思われた。

駿「ごめん。沙羅・・・本当ならば・・・一度あって話をしたかったんだけど。小百合は俺がみていないとまた、いつ手首を切るかわからなくって」
沙羅(そんなのずるい!!じゃ私が今ここで死ぬっていったらあなたは、駿は、飛んできてくれるの??・)
そんな言葉が口をついてでそうになったが、ぐっと抑えた・・・・

駿「沙羅・・・・勝手なお願いだけど、別れてほしい。僕は小百合とつきあっていく。小百合の病気がもう少しよくなったら、学校に復学するよ・・・そのときによければ友達として」

沙羅「と・・・友達・・・?」

愛理「ちょっと!!!!ふざけないでよ!!沙羅が、沙羅がどんなに傷ついて抜け殻のようになっているか今のあなたにわかるの?沙羅は本気であなたのことを好きだったし、あなたしかいなかったのは沙羅も一緒じゃない!!」

沙羅「愛理・・・・・もういいよ・・・もうやめて・・・・これ以上・・・惨めになるだけだから・・・」

愛理「ごめん。」

というと沙羅に携帯を返した。



シナリオ風小説「潮騒」第10回

2010年11月24日 | 小説「潮騒」
第七節 「駅前の噴水」

沙羅は、ちょっと頭を冷やして帰ろうと思い、駅前の噴水広場で座り込んでいた。

あいかわらず駿の携帯は圏外のままだった。

すると聞きなれた着信音と駿の声が聞こえてきた。


駿「今日は、ごめん。」

沙羅「うん。駿?いまどこ?水の音が聞こえるけど」

駿「少し考え事をしたくて、今駅前の噴水広場なんだ・・・」

沙羅「え・・・?私も・・・・」

沙羅は、噴水のちょうど反対方法に行ってみるとそこには駿が携帯をもったままぽかんとしていた。

二人は緊張の意図が切れたようにどちらかともなく笑い出した。

沙羅「すっごい偶然。さっきまで愛理とそこのハンバーガーショップにいて、今さっき出てきて頭を冷やしていたとこ」

駿は何もいわずに沙羅を抱きしめた。

駿「偶然じゃなく、必然だったんだ。二人が今日こうして再会するのは・・・
沙羅愛している。心から愛している。君を誰にも渡したくないし、君を手放したくない。」



「鼓動」(オリジナルポエム)

暖かなあなたの胸にいだかれ、聴こえる鼓動

あなたの生の力強さをそのまま映し出したように

そして私の鼓動は、あなたにいだかれ、うれしくもあり、はずかしくもあり、

どんどん早く、高鳴っていく。

こんなに人を好きになったのは初めてで・・・

初めて「幸せ」という文字を知る・・・・・・



第5章「潮騒」


第一節「クリスマスプレゼント」


小百合はそのまま、ずっと学校を休んでいた。

沙羅はなるべく気にしないようにして、初めて男の人にマフラーを編んでいた。

愛理「どうマフラーすすんでる?」

沙羅「うんおかげさまで・・・・」

愛理「沙羅の誕生日はどうするつもりなのかな?」

沙羅「初めて駿君の一人暮らしの部屋に招待されたから、そこで、私が手料理を作って二人でクリスマスを過ごすつもり」

愛理「そっか・・・・クリスマスは、恋人がいる人には最高だし、一人身には寂しさが身にしみる季節だよね」

順子「何言っているの・・・・愛理だって恋人できたじゃない。私だけ・・・クリスマスはクルシミマスだよ」

愛理「小百合さんのことは大丈夫?」

沙羅「駿も何もいわないから聞かないようにしている。私もかなり苦しいんだけど・・・・でももう駿とは別れられないし・・・初めて心から、死ぬほど愛せる人に出会ったから」

愛理「そっか・・・・・わかった」

順子「運命の出会いって感じよね。ますますうらやましい!!二人ともクリスマスの夜のアリバイ作り協力するんだからこんど、お昼くらいごちそうしなさいよ!!」

愛理、沙羅「ありがとうございます。ぜひ高級ランチをごちそうさせていただきます(笑)」


第二節 クリスマスイブ

冬は恋人たちにとって、楽しいことが盛りだくさんの季節だ。
クリスマスがあり、初詣があり、バレンタインデーがあり。
沙羅にとって、初めての恋人と過ごすクリスマスイブだ。
沙羅は、親には、愛理のところに泊まるとうそをついて、駿のためにつくる料理の材料を購入して、駿の部屋に向かった。

沙羅「オードブルでしょ、ローストチキンにつめるハーブも買ったし、あとは、好きなものも聞いたし、ケーキもマフラーも手作りだし・・・駿は喜んでくれるかな」

と独り言をいいながらウキウキと浮かれながら坂道をあがっていった、

ピンポーン

どきどきしながら駿の部屋のチャイムを鳴らすと・・・・・・・・

泣き顔で下着姿の小百合が出てきた。

沙羅は、頭が真っ白になってその場で、ケーキ、料理の材料、プレゼントを落としてしまい、呆然と立ち尽くした。

小百合「帰って!!今日は、駿は私と・・私と・・・・」

駿「沙羅・・・・ごめん。ちょっと取り込んでいて・・・・・」

沙羅「ど・・・・・どういうこと」

ガシャン!!!!

小百合が、駿の携帯電話を窓に投げつけた。

小百合は、ガラスの破片をもつと手首に当てて、こういった。

小百合「駿・・・・今すぐここで私を抱いて・・・・じゃなければ、沙羅さんをこのガラスの破片でさして、私も死ぬわ・・・・・・・・」

駿「ごめん・・・・沙羅・・・・今日は帰ってくれ・・・・小百合は病気なんだ・・・お願いだ」

というと、駿は呆然とした沙羅の前で、ドアをバタンとしめた・・・・・・

沙羅(どういうこと???わかんないよ駿・・・・・)

沙羅はすべてを投げ出して、走り出した。どこへゆくともなく。

街は、恋人同士であふれかえっていた。

本当なら・・・・・本当なら・・・・・今ごろ私も駿と・・・・・

涙が涙が後から後からあふれてきた・・・・・・


「Lonely Christmas」~オリジナルポエム~

すべての淋しさを照らした太陽が西にしずむ頃
私の心が彷徨いはじめる
氷つくようなアスファルトの上を
家へ急ぐ人たちが歩いている

帰りたい 帰れない 今の私には帰る場所が無い
貴方をさがしてさまよう街角

灯りのともる窓では
楽しいクリスマスソングが流れている。
街のはずれのもみの木に
やがて灯りがともるだろう

Lonely Lonely christmas
私は独り 人ごみの中で
Lonely Lonely christmas
貴方の姿を探し続ける


帰りたい 帰れない
貴方の姿を探し続ける
街のはずれのもみの木に
やがて灯りがともるだろう

Lonely Lonely christmas
私は独り 星空をみあげ
Lonely Lonely christmas
星空に貴方の姿を探し続ける



シナリオ風小説「潮騒」第9回

2010年11月22日 | 小説「潮騒」
第五節「小百合の病気」

磯島「はじめまして、松岡さん。私は、高校の時からの小百合の親友です。」

沙羅「こちらこそはじめまして」

磯島「まわりくどい言い方は嫌いだから、はっきりいうね。
私はずっと駿君と小百合はつきあっていると思っていたし、たぶん小百合もそう思っていたと思う。小百合は、駿君があなたと付き合いだしたのを知って、すごくショックだったの。それで・・・自殺未遂を・・・・」

愛理、沙羅「じ・・・自殺未遂???」

磯島「一度は、ガスで・・・たまたまお母さんが早く帰ってきたから・・・で救急車で運ばれて・・・て・・・・今日は・・・・」

というと磯島の両目から涙がぽろぽろとこぼれた。

磯島「今日は、手首を切ったわ・・・かなり出血したようだから、今救急車で病院に・・・・・
彼女うつ病なの・・・・だから学校にもこられなくなってしまって」

沙羅「うつ病・・・・」
病名はよく効くことがあるかどんな病気なのかさらにはよく理解できなかった。

でも、自殺未遂を二回もするのだからかなり重症なのだろう。

磯島「小百合には駿君が必要なの・・・・だから・・・・」

愛理「ちょっと待って!!だから沙羅に身を引けって言うの???おかしいわよ!そんなの」

沙羅「それに、駿の気持ちだってあるし・・・・」





第六節 「病室にて」


小百合の母「駿君ごめんね。呼び出した上に、輸血までしてもらって・・・・
あの子・・・小さなときからずっと駿君のお嫁さんになるんだって言っていて・・
私も、和子さん(駿の母親)もずっとあなたたち二人はつきあっていると思っていたものだから・・・・・そうしたら、急に、小百合の様子がおかしくなり、心療内科に連れて行ったら、うつ病の重症だと言われて・・・・」

和子「駿・・・・私も、小百合ちゃんとずっとお付き合いしていると思っていたし、その松岡って子のことは、ずっと母さんにも黙っていたわよね・・・」

駿「ごめん。母さん、小百合のお母さん。僕は、今、同じサークルの松岡沙羅ちゃんて子とつきあっているんだ。予備校時代からずっと気になっていて、やっと告白できたんだ」

小百合の母「ねえ・・・・駿君・・・・母親の私がこんなことをお願いするのも変なんだけど」

看護婦さん「患者さんの意識が戻りました。駿君という人と二人で話をしたいといっていますが」

駿「はい・・・・行きます」

駿・・・・小百合の病室に入っていく

小百合「駿・・・・ごめんね。うちのお母さんが、あなたのお母さんに連絡しちゃったみたいで・・・あと・・・献血ありがとう。なんかうれしいな私の中に駿の血が流れているなんて」

駿「小百合、これ以上、心配をかけないでほしい。小百合のことは、幼馴染だし、とても大切な存在だよ。」

小百合「駿は私のこと好き?」

駿「好きだよ・・・・でも・・・・愛しているのは沙羅なんだ・・・それをわかってほしい」

小百合「わかりたくない!!駿は、駿は、ずっと私のもの!!あの子なんかに渡さない!!

私は絶対に駿のことあきらめないから!!!!!!!!」

小百合の大声にびっくりして看護婦と二人の母親が病室にはいってきた。

看護婦「だめですよ!患者を興奮させないでください!!」

小百合「駿出て行って!!でも私絶対にあきらめないから・・・・」


一方磯島さんと沙羅は、まだ話をしていた。

沙羅「磯島さん、お話はわかりました。でも私はもう駿とは別れられないんです。彼を心から愛しているんです」

愛理「もしかして、もうあなたたち・・・」

沙羅「うん・・・」

磯島「松岡さん、人の不幸の上に成り立っている幸せなんて本当の幸せじゃない。いつかあなたにも同じ報いがくるわ・・・・もっと話がわかる人だと思ったのに残念だわ・・・」

沙羅「いつか磯島さんにも死ぬほど愛する人ができたとき、きっと私の気持ちがわかってもらえると思います。ごめんなさい。」

磯島「これ以上話をしていても時間の無駄のようだから、もう私は帰ります。愛理ちゃんごめんなさいね。お手数とらせて・・・・」

愛理「いいえ・・・・じゃ気をつけて・・・・・」

沙羅「ごめんね。愛理今度ゆっくり話をするから今日は疲れたから私も帰るわ・・・・」


沙羅は、お店をでると何度も駿の携帯に電話をしたが、ずっと圏外のままだった。





シナリオ風小説「潮騒」第8回

2010年11月19日 | 小説「潮騒」
第三節 「絆」

その後夏が過ぎ秋が過ぎ、クリスマスが近づいてきた。

駿と沙羅の仲は順調に進んでいたが、小百合は、やがてサークルに顔を出さなくなった。

岡田「山口さんの小説、途中までになっているのが、大変気になるけど、それ以上に彼女のことが心配だね」

エリカ「じゃあ早速書いてきた原稿発表してくれる?」

駿、沙羅「はい」

同人誌での二人のポエムは、誰がみても明らかに、恋人同士のポエムだった。


抱いて・・・・・(オリジナルポエム)By 森羅


抱いて
今すぐ私を
抱きしめて

そうしたら
このせつなさや
苦しさは
薄らぐかしら

あなたの
腕の中でだけ
素直な自分になれるから・・・・・

君を今すぐ抱き締めたいよ僕も君のすべてを包み込みたい・・・

君を傷つける
すべてのものから

僕が
僕の手で
守りたい

二人の吐息と吐息が重なりあって
二人の心がひとつになる

愛という名の元にだけ
今起こりうる
奇跡の調べ・・・・

夏美「はぁ~やけちゃうな・・・・・」

春美「そやね・・・・」

エリカ「まあ、森羅としてもいい感じでできているから良しとしましょう」




第四節 「冬の訪れ」

夏がすぎ、秋が過ぎ、そして冬が来た・

駿「沙羅ちゃん、沙羅ちゃんの誕生日ってクリスマスイブなんだよね」

沙羅「そうなの・・・・だから小さい時からいつも一緒にされちゃってなんか損した気分だった」

駿「大丈夫、今年は最高のクリスマスイブ&誕生日にするから、楽しみにしておいてね」

クリスマスや誕生日を恋人に祝ってもらうのは、生まれて初めてだった。

クリスマス(オリジナルポエム) By 駿

世界中の恋人たちが
この世の幸せを独り占めできる聖なる夜
君と僕が、互いだけを見つめ
互いだけを愛し

愛を確かめ合う
幸せな夜

静かにひびく
鐘の音が
二人の心に染み込んでくる

Silent night
Holly night

このまま二人で
手と手を重ねあいながら

幸せなクリスマスの朝を
迎えられる

特別な夜・・・・・・


「Silent love」 By 沙羅

静かな夜に鈴の音が
私とあなたの心に響く
今宵は素敵なクリスマス
この世で一番大好きな貴方と過ごしたい

Silent love
何も言葉にださなくとも

Silent love
気持ちは通じていると信じている

Silent love
静かな夜に会話はいらない

Silent love
あなたと私とツリーの灯火(ともしびが)があれば・

二人は、試験や忙しいときは、お互いにお互いの思いをポエムにつづり、メールで送りあい、それを同人誌に発表をしていった。

そんなある日、同じ講義をうけていた愛理が沙羅に話し掛けた。
今日は、珍しく駿が休んでいるので、一般教養の経済を愛理と一緒にうけているのであった。

愛理「そういえば、1年A組の佐々木小百合さん。ずっと学校休んでいるんだってね?」

沙羅「え?」

愛理「知らなかったの?同じサークルだったよね・・・」

沙羅「う・・・・うん」


愛理「そっか・・・あまり佐々木さんと仲良くなかったもんね・・・」

沙羅は小百合が休んでいるのも気になったがその件について、まったく駿がふれないのも気になった。幼馴染なんだから・・・・情報くらい入ってくるだろう・・・」


次の日の夜、いつものように二人のお気に入りのイタリアンレストランにいくと、駿の携帯電話に電話が入った。

駿「母さん?なんだよ・・・・こんな時間に・・・え・・・?小百合が???
でどうなの?わかった・・・・すぐ行くよ・・・」

沙羅:「どうしたの?小百合がまた、・・・・睡眠薬を乱用して、意識不明らしい。ごめん病院にいってくるよ・・・・」

沙羅「どういうこと?私にもわかるように説明して・・・」

駿「ごめん。急いでいるから・・・・・」

というと、駿は1万円をテーブルの上に置くと店を飛び出していった。
一人レストランに取り残された沙羅のメールに愛理から着信があった。

愛理のメール「駿君、たぶん今病院だよね・・・少し話しできないかな?今駅前のハンバーガーショップに磯島さんといっしょにいるところ」


とりあえず、状況がまったく見えない沙羅は愛理に言われたとおり、駅前のハンバーガーショップにいった。愛理が手をふっていた。愛理のとなりには、1年A組で小百合と仲のいい磯島さんが座っていた。

愛理「余計なことしてごめん。おせっかいなのはわかっているんだけど。このごろなんか沙羅が、暗い顔していること多いから」

沙羅「うん・・・だってまったく駿は話をしてくれないから、私もあえて聞いていなくて」

磯島「じゃ・・・松岡さんは小百合の状況をまったく知らないんですね。」

沙羅「はい」

磯島さんはちょっと思案顔になったが、やがてゆっくりと話し始めた。それはさらにとって衝撃的な内容だった。


シナリオ風小説「潮騒」第7回

2010年11月17日 | 小説「潮騒」
第二節 三人のそれぞれの想い

沙羅と駿は、サークル以外では、学校でもかなり公認になってきた。

沙羅の作ったお弁当を昼休み一緒に食べたり、一般教養の授業では一緒にうけたりしていた。

沙羅はますます学校にいくのが楽しくなり、いつまでもいつまでも駿と一緒にいることだけを望んでした。

ある日駿と沙羅は合同で作ったポエムをサークルで発表することにした。

俊「今回は、沙羅ちゃんと合同でポエムを作成してみたので、聞いてもらえますか?

みんな「どうぞ」

「海」

荒波の大海を
まっすぐに進みがごとく

私のほうへ

そんなあなたを私は
海のようなやさしさで包む

君の暖かさにいだかれながら
僕はまるで稚児のように
夢心地で君を思う

やがて
二人の愛は大輪の花をさかせ

風はやみ
波は穏やかにうちよせる

あなたと
君と

であった奇跡に感謝しつつ
抱きしめあいたい


沙羅:「実はやがてのあとなんですが二パターン作ってみたんです。

1.二人の愛が重なり合うとき
大輪の虹色の花が咲き誇る

2.二人の気持ちが
光の中へとつきすすむ」

「あなたたちって・・・・まさか」

晴美「そうやろ、絶対つきあってるって・・・」

夏美「私もそう思っていたわ・・・」

「部の規則で・・・」

駿「僕は、沙羅ちゃんが好きです。僕たちは付き合っています。
それで退部をしなくてはいけないならいたしかないと思います。
でも、これ以上みなさんに隠していたくなかったので」

晴美「ほんま?沙羅ちゃん」

沙羅「はい。」

バタン!!!!いきなり椅子を倒し、小百合が部室のドアを飛び出した

岡田「すまない。僕は、二人から聞いていたんだけど・・・でも二人とも感性も豊かだし、
きっといいものをつくってくれると思って、二人の交際をみんなに、黙っていたんだ」

エリカ「もっと早く言ってほしかったわ・・・まぁ気が付いてはいたけどね。
二人の連名で発表するわけには行かないから、二人の名前を少しもじって新たなニックネームで発表してくれる?そうね・・・駿と沙羅で・・・・森羅・・そう森羅万象の森羅でお願い」

駿・沙羅「はい。ありがとうございます!!!」

岡田「それはそうとして山口さんが心配だ。駿君悪いけど追いかけてくれないか・・・
たぶん、彼女は君のことが好きだから君の話しかきかないだろう。松岡さんここはぐっと我慢をしてほしい」

駿「はい。沙羅・・・心配しないで・・・僕の気持ちは変わらないから」

沙羅「はい」

駿は、キャンパスの中で小百合を探し回った。

小百合は体育館のところで、しゃがみこんでいた。

駿「小百合!」

小百合「駿のうそつき!!ずっと私を守ってくれるっていったじゃない!」

駿「あれは幼稚園の時の話で・・・・」

二人が幼稚園のとき、小百合はよく男の子たちに泣かされていた。女の癖に生意気だと言う理由で。ある日、泣いている小百合に駿が言った。

幼いころの駿「小百合ちゃん大丈夫?僕が小百合ちゃんのことを一生守ってあげるから」

幼いころの小百合「うん。駿君絶対に約束だよ・・・指きりげんまんうそついたらハリセンボンの~ます。ゆびきった」

幼いころの駿「え~針を1000本も飲んだら死んじゃうよ」

幼いころの小百合「大丈夫だよ。ずっと駿君が私のそばにいてくれてまもってくれれば
飲む必要ないんだよ・・・・」

幼いころの駿「そうだね。小百合ちゃん」

駿「あれば幼稚園生のときのたわごとだろう!!それを盾にされたって」

小百合「私はずっとずっと、駿との約束を信じていた。だから今までほかの人を好きになったこともないし!!なんであの子なの!!なんで私じゃだめなの?」

駿「小百合・・・恋とは恋愛とはそういうものじゃないんだよ・・・俺だって驚いているよ。知らず知らずのうちに沙羅ちゃんに気持ちが惹かれていって。きがついたら常に沙羅ちゃんを目で追っていたんだ。」

小百合「そんなの聞きたくない!!!」

駿「ごめん。もうこの気持ちはどうにもならないんだ・・・」

小百合「あの子とキスしたの?・・・したんだ。だったら今すぐ私にもここでして!!!」


駿「小百合・・・それは無理だよ・・・愛情のないキスはできない。恋愛と友情はまったく別のものなんだよ・・・・ごめん・・・」

小百合「駿なんて大嫌い!!うそつき!!しんじゃぇ!!!!!!」


小百合は大粒名涙を流しながら、校門を出て行った。

沙羅は心配でその様子を木の陰に隠れてみていた。

沙羅(小百合ちゃんごめん。でも、もう私は駿無しでは生きていけないの。他人を傷つけてまでして得る恋・・・・すごく駿も私もつらいけど・・・・それ以上に駿を失うほうが怖い)






シナリオ風小説「潮騒」第6回

2010年11月16日 | 小説「潮騒」
第三節 星の宝箱

沙羅「駿どこに行くの」

駿「・・・・・・・」

車は、雨の中、海へ向かってひたすら走って行った。

雨のにおいに混じって、潮の香りがほんのりしてきた。

そのまま駿は、海辺近くのカジュアルホテルに車をすべり込ませていった。

駿「大丈夫・・・・変なことはしないから。沙羅が、詩が書けなかった時用に
海の見える部屋を予約しておいただけだから・・・」

というとそのままエレベーターにのりこんだ・・・

沙羅「ありがとう・・・・」

部屋を開けると駿がバスタオルを投げてきた。

駿「とりあえず、風邪をひくからシャワーをあびてこれに着替えるといい。その間に僕はコーヒーをいれておくから。沙羅が落ち着いたら、僕は、帰るから安心して・・・」

沙羅は、言われたとおり、雨にぬれた洋服を脱ぎ熱いシャワーを浴び、バスローブをはおった。

駿「コーヒーここにおいておくから飲むといいよ。体温まるから・・・」

沙羅「駿は?濡れたまま帰るの・・・せめてシャワー浴びて、コーヒーのんで・・・洋服が乾くまで・・・・」

駿「わかった・・・・」

沙羅は心臓が飛び出しそうだった。大好きな駿と同じ部屋に二人きり。きっと真面目な駿のことだから、きっと何もしないのだろう・・・
シャワーを浴びてきた駿は、窓際にたっていた沙羅を後ろからそっと抱き締めた。

駿「さっきは嫉妬で気が狂うかと思ったよ。・・・沙羅・・・好きだ・・・・愛している」

沙羅はそのまま、回された手に手をかさねながら言った。

沙羅「駿・・・私も・・・駿が好き。愛しているって感情は、まだよくわからないけど・・・」

駿「いいよ。好きでいてくれれば、それで充分だよ。」

沙羅は、駿のほうをふりかえった。

駿がきつく沙羅を抱きしめた。

自然に二人の唇は重なり合った。


【星の宝箱】~愛し合う恋人達へ~ (オリジナルポエム)

夜空にまたたく星々達を
ひとつ残らず拾い集めて
宝石箱にしまってしまおう

逢えない夜のさみしさを
輝く星が
癒してくれる

逢いたい気持ちが胸に溢れ
心が涙で溶けてゆく

愛という名の言葉の他に
どんな言葉があるのだろう

このせつなさや
苦しみや
愛おしさを伝えるすべに

愛している
愛している
愛している

幾千の言葉をつぶやいてみても決して心は満たされず
あなたの笑顔を探している


手と手を合わせて
心と心が重なり合うとき

二人の気持ちはひとつになって
夜空をかけぬけ
星になる

あなたに出逢えてよかったと
一人そっとつぶやいてみる

恋する気持ちが
言(こと)の葉となり
あなたの元へ

光の元へ

永久(とわ)の輝きを
保ちながら





そしてその夜
潮騒の音を聞きながら二人はこの世で一番愛する人と結ばれた・・・・・・



第4章 幸せな時

第一節 恋

沙羅は幸せだった。はじめての恋。恋がこんなにすばらしいものなど知らなかった。

朝起きてから夜寝る時までずっと駿のことを考えていた。

そして親友の愛理から教えてもらった、パジャマを裏返しに着て寝ると好きな人の夢が見られるというおまじないまでやっていた。

愛理「な~んか・・・・やけちゃうよね・・というかその沙羅のとろけそうな顔一日中にみているとこっちは試験勉強なんてしたくなくなるわ・・・」

沙羅「そんなこといわないで、一緒にやろうよ・・・経済苦手なんだもん」

愛理「はいはい。でもさらがあの千駄ヶ谷予備校でいっしょだった、秋吉君とつきあうなんて絶対意外だったよ」

沙羅「なんで?」

愛理「秋吉くんあのとおり、性格良し、顔良しでしょ・・・結構狙っている子多かったんだけど、いつもほらあの・・・なんだっけ幼馴染の小百合とかいう子がくっついていたからてっきりつきあっているかと思ったよ。順子も聞いたでしょ?」

順子「あ~あの山口小百合って子??かわいいけどかなり性格悪いらしいから、沙羅も気をつけな・・・」

沙羅は、さすがにあのあともちょこちょこと小百合に意地悪をされていることは二人には言えなかった。

あの夜・・・あの夜以来沙羅は、駿だけを見つめ、小百合のことは気にならなくなってきていた。




シナリオ風小説「潮騒」第5回

2010年11月15日 | 小説「潮騒」
第3章 ジェラシー

第一節 嫉妬

駿と沙羅は二人でつきあいはじめたが、岡田先輩以外の部員には内緒にしていた。

サークルの中で恋人同士ができるとほかの部員との仲がきまずくなるからという理由からだった、

ただ、みんなと一緒でも沙羅は常に眼の端で駿の姿を追い続け、駿もみんなの前では、わざと「松岡さん」と呼びながらもその呼び方には愛情があふれていた

そんな二人の目に見えない反応の変化に最初に気がついたのは、エリカと小百合だった。

そんなあるミーティングの日、順番に自分の持ってきた小説やポエムの最終チェックをしていた時だった。

エリカ「松岡さん・・・松岡さんに頼んでおいた片思いのポエム『眠れぬ夜に』の最終原稿がなくなっているんだけど・・・」

沙羅「え・・?きちんと提出しましたが・・・・」

後藤「え・・・僕も昨日、松岡さんから詩をもらったからちょうど挿絵もいれたし・・・部長からもOKでていたんだけど・・・」

冬美「それってこれのこと?」

冬美はさりげなく見たごみばこに入っている、原稿を取り出した。

沙羅が描いた詩と後藤さんが描いた挿絵の完了原稿の上にNGという文字がたくさん印刷してあった。

エリカ「どういうこと?これじゃ原稿にならないわよ・・・」

沙羅「私は・・・・きちんと」

サークルでは、出来上がった原稿をそれぞれの名前のついている引出しにいれて、保管をすることになっている。一応鍵はついてはいるがカギをかける人は通常いない。

同人誌は、できるだけ人間味をだすためにPCではなく手書きで小説や、ポエムを書き、それに後藤がイラストをいれたり、上杉が写真をはったりして手作りの原稿をつくるのであった。

エリカ「まさか自分でこんなNG文字をいれたとは思えないけど、大切な原稿の管理がなってないわ!!」

沙羅(いったいだれがこんなひどいことを・・・・)

駿「誰だよ!!こんなことしたの!!ひどすぎるんじゃないか!!」

後藤「そうだよ・・・・せっかく、松岡さんのポエムに合うように3時間もかけてイラストを描いたのに。」

エリカ「松岡さん、このポエムの原稿はある?」

沙羅「すみません。何度か手直しをして、部長にOKをもらったので、最終原稿は手元にないです。」というと、涙がポロポロとこぼれてきた。

エリカ「泣いている暇はないはずよ!!すぐに書き直して・・・思い出しながら・・・
挿絵は、後藤さんにもう一度書いてもらうわけにはいかないかから、レイアウトを考えて作成してね・・・」

というとエリカは踵をかえし、他の部員のほうを向いた。

エリカ「自分の原稿の管理はきちんとして!今日からきちんと各自鍵をかけること・・」

夏美「誰がやったかどうか調べないんですか?」

エリカ「犯人探しをしてもしかたないでしょ」

岡田「たぶん犯人はこの中にいる可能性もあるんだ・・・もちろん外部犯の可能性もないわけではないけど・・・部員を疑うのは部長としても抵抗があるから・・・」

エリカ「じゃあ・・・・最終原稿チェック、松岡さんを除いて始めるわよ・・・
じゃあ・・秋吉君から・・・」

駿「はい。」

「愛している」 (オリジナルポエム)

君に出逢って
恋を再び知り

逢瀬を重ねるうちに
愛を再び知り

同時に
逢えぬ日々の
寂しさを知る

でも
愛するが故
耐える気持ち育ててく

同じ
空をながめ

同じ
星に願いをかける

愛してる

その言葉の深さを知る




春美「いい感じやん。なんか本当に彼女の耳元でささやいているみたいで妬けちゃいそうやな・・・」

夏美「春美!そういうつっこみしないの・・・」

冬美「でも短いわりに彼女への思いがあふれていて、私好きだな・・・きっと駿君も彼女のこと考えてつくったんだろうなって感じ・・・」

エリカ「うん。だいぶよくなったわね・・・・それにこの上杉君の浜辺の写真もいいし」

岡田「駿君はOKだな・・・」

小百合「次は私の、小説をお願いします。」

小百合が小説を読み終わると水をうったように静かになった。

岡田「すごい・・・・本格的な推理小説だな・・・一個人としても・・・すごく続きが気になるよ・・・」

エリカ「素晴らしいわ・・・・一年生でここまで書けるなんて・・・私も負けてらんないわね・・・」

小百合「ありがとうございます・・・・すごくうれしいです。先輩方にそんなに褒めていただけるなんて」軽く小百合がシナを作ってほほ笑んだ。そして一瞬だが、沙羅のほうを見て、ほくそ笑んだ。

沙羅は必至に書いた詩を思い出そうとしたが、みんなの発表のほうに気が入ってしまって、
なかなか進まなかった。

その後も順番に、発表が終わった。事前に岡田がチェックしてOKを出しているものばかりなので、多少の手直しだけでそのまま、印刷にだせることになった。

岡田「じゃ・・・手直しは今日中に。手直しのない人は自分の引き出しに入れて鍵をかけて・・・・松岡さんどう?」

沙羅は、真っ白な原稿を目の前にして、涙があふれそうなのを我慢していた。

岡田「じゃ・・・これで解散。松岡さんはここの部室つかっていいよ。一人のほうが気楽だろうし。できあがったら、僕にポエムを携帯にメールして原稿を僕の家のPCにPDFにして送っといてくれるかな」

沙羅「はい・・・・」

エリカ「じゃ・・・解散よ・・・」
部長、副部長においだされるようにみんな部室からでたが、駿だけは沙羅のことが心配で何度も部室を振り向いていた。

小百合「駿・・・たまには一緒に帰ろうよ・・・私も車に乗せてほしいな・・・」

駿「悪い・・・小百合、ちょっと部室に忘れ物が・・・・」

小百合「松岡さんのこと?」

駿「いや・・・・」

小百合「一人で集中させてあげるのもやさしさなんじゃないの・・・」

駿「だけど・・・あいつ・・・わかったよ。小百合の家まで車で送ってやるよ・・」

駿はしぶしぶと車のキーをもって、小百合を家まで送り届けた。

その後、コーヒーを飲んでいくように強引に誘う小百合をふりきり、駿はコンビニに向かった。



第二節「我が愛する人々へ」

沙羅はまだ、真っ白な用紙をぼんやりと眺めていた。
沙羅は昔からあまり目立つ存在ではなかったので、学生時代にいじめる側にもいじめられる側にも所属をしたことがなかった。

なので、この仕打ちは、ある意味はじめての「いじめ、意地悪」だったのだ。

ふーっとため息をついた

沙羅「内部犯の犯行か、外部犯の犯行か?どちらにしても私が恨まれてるんだよね・・・」

またぽろぽろと涙がでてきた。

そんなとき「コンコン」と部室の扉をたたく音がした。

沙羅(駿?駿が来てくれたんだ・・・!)

喜び勇んで部室の扉を開けるとそこには、コンビニの袋をさげた後藤が立っていた。

後藤「中に入ってもいい?」

沙羅「はい」

後藤「部長に、許可とったから、まったく別のポエムを書いてもいいって
まだ、書けてないんでしょ?」

とてもとても不安で孤独だった沙羅には、今他人にやさしい言葉をかけてもらうとそれが、
きっかけになって涙線をとどめていた心の鍵が開き、とめどなく涙が流れてきた。

後藤「ご・・・ごめん・・・余計なことしちゃった?泣かないでよ・・・松岡さん」

沙羅「違うんです。私・・・・私・・・・」

後藤は何もいわずにハンカチを沙羅に差し出した。

沙羅「ありがとうございます・・・・」

後藤「こういうことってよくあるんだよ・・・僕も昔、美術部だったんだけど、部室に絵を飾っておいて・・・誰の絵をコンクールに出展するかの選考会の前の日に、キャンバスがめちゃくちゃに切り裂かれていたりして・・・・出る杭うたれる・・・でね」

沙羅「・・・・」

後藤「でも、これは僕と部長の見解なので、絶対に誰にも言ってほしくないんだけど。
たぶん松岡さんと秋吉君が仲いいんで、それに嫉妬してやったことだと思うよ・・・」

沙羅「だ・・・・誰が?」

後藤「それは、君が一番よくわかっているんじゃないのかな?」

沙羅「・・・・・」

後藤「そう・・・たぶん・・・小百合ちゃんだね。彼女も松岡君のこと好きみたいだから」

沙羅「私は、このサークルをやめたほうがいいのでしょうか?」

後藤「逃げちゃだめだよ。逃げたら負けだ・・・君は、とてもピュアでいい詩を書く。
それに松岡君のこともそんなに簡単にあきらめられるの?」

沙羅「・・・・・みんなご存じなんですか?私たちのこと」

後藤「一目瞭然だよ・・・みんな気づいているけどいわないだけ」

沙羅「すみません。」

後藤「謝る暇があったら、ポエムを完成しないと」

というと後藤は、3枚の挿絵をさらに見せた。

後藤「これは部長了承済み。まったく違う分野のポエムをこの挿絵にあったものを書いてごらん。書き終わるまで待っていてあげるから。元気だして・・・・
自分に負けちゃダメだよ・・・小百合ちゃんにも・・・好きならきちんと松岡君をつかまえておかなきゃね・・・」

沙羅「はい。」というと沙羅はその3枚の挿絵をじっとみつめてやがてペンをとりなおした。

【我が愛する人々へ】 (オリジナルポエム)

空を仰ぎ 満天の星を見つめなさい
そして星の中に自分を見つめなさい

人は皆 星より生まれた神の申し子

憎しみも妬みも
遠い昔はありもしなかった
星を星の海を見つめ
元来~もと~の姿に戻りなさい素直で純粋な心
すきとほった心の窓を開きなさい

海を見つめ
海と共に戯れなさい
そして海の中に自分の姿を探しなさい
人は皆、海より生まれた悪魔の申し子
仲間を傷つけ、おびやかし、のさばっていく。
海を、海の友に触れて
今の自分を洗いなさい
染み付いた汚れた心を洗い流し
ガラスの心を作りなさい

大地に立ち、母なる大地を踏みしめなさい
そして大地の下に生命~いのち~の源を見つけなさい
人はみな母なる大地より生まれた一つの生命体
互いの命を尊重し、互いの心をみつめなさい
喜びも悲しみも素直にうつしだせる
ガラスの心を持ちなさい


宇宙~そら~を見つめ
海と戯れ
大地を踏みしめ

そして生命~いのち~の唄を口ずさみなさい。



後藤「いい感じだ」

駿はさっきから、部室の前ではいるのを躊躇していた。

コンコンとノックをし、部室のドアをあけると

沙羅と後藤がそこにいた。

駿はショックだった・・・・

コンビニの袋をほおりだし、部室を飛び出した。

「狂おしいほどのジェラシー」(オリジナルポエム)

落ち込んでいた君をなぐさめようと
ノックをしてドアをあけると
聞き慣れた声と笑い声

君が誰かと語らっている
君が誰かと笑い合っている
狂おしいほどのジェラシーが

ひとつの作品を二人で覗き込み
熱心に話をしている二人

夢であって欲しいと願いつつ
頬をつねってみたけれど
心の痛みで現実と知る

声をかける勇気もなく
部屋を飛び出しし
雨の中を走りだす

猜疑心と不安な気持ちが

いつしか嫉妬の炎と化して
僕の心を焼き尽くす

雨に打たれながら心にひびが入っていく

息が苦しく
このまま雨の中で溶けていきたい


沙羅「駿!!!」

後藤「追いかけて行きな・・・この傘をもって・・・今いかなきゃだめだよ。
彼は、誤解したんだ・・・大丈夫、この作品は僕が、責任をもって仕上げるから」

沙羅「ありがとうございます!!」

というとコンビニのふくろと一緒に駿が、ほおりだした傘を二本持って雨の中飛び出して行った。

沙羅「駿!!駿!!どこ!駿!!!!」

沙羅はキャンパスの中を探し回った、傘をささなかったため沙羅の体は雨でぬれていった。

沙羅「駿・・・・」

駿はよく二人が一緒にお昼御飯をたべる芝生の丘の上で雨にぬれながら両足を抱えて座り込んでいた。

駿「沙羅・・・・」

沙羅「駿・・・後藤先輩は、挿絵をもってきてくくれただけで・・・・」

最後まで言わないうちに、駿は沙羅を抱きしめ、キスをした。

お互い雨に打たれて冷えた体のまま、心だけが燃え盛っているようだった。

駿はそのまま口を利かないまま、沙羅の手をずっとひっぱって駐車場に向かった





↑絵はいただきものです。転載しないで下さい。

























シナリオ風小説「潮騒」第4回

2010年11月12日 | 小説「潮騒」
第三節 手をつないで・・・・

結局、駿と沙羅の「同じテーマの恋愛ポエム」は手厳しい副部長から5回のNGをもらいやっと完成し、6月号の同人誌に掲載されることになった。

さっそく二人で、生協に買いにいった。

駿「沙羅ちゃん・・・なんかドキドキするね・・・」

沙羅「うん・・・自分は、ポエムを書くのが好きでずっと書き綴ってきたけれども、こんな風に人の眼に触れるなんて・・・日の目を見る日が来るなんて思ったこともなかったから」

駿「そうか・・・そうだよね。ポエムってどちらかというと自分の理想像を描いたり、苦しい自分の気持ちを文字にしたりするもので、どちらかというと個人的な日記に近いかもしれないよね・・・」

沙羅「そうなの・・・・だから、たとえば素敵な景色を見たとき、心のシャッターを切ってその、風景を目に焼き付けるのと同時に、なんとか言葉で表現したくなるんだよね」

駿「うん・・・・それってわかる、わかる」

一緒に同じテーマのポエムを作ってから、駿と沙羅は部室でよく話をするようになったが、だいたいいつもだれかがいるので、二人きりで話をするのは久しぶりだった。

駿「今から、海に行かない?午後の授業休講でしょう・・・」

沙羅「え・・・?」
(駿は私の選択している授業の休講情報まで知っているんだ なんかすごくうれしい・・・
でもなんでだろう)

沙羅「でもまた、小百合さんに怒られちゃいそう・・・」

駿「あいつは関係ないよ!!」(大声で)

ビクン

いきなりの大声に生協にいる学生の何人かが振り向いた。
駿「いやならいいよ・・・」
というと駿は大股で生協を出て行った。

沙羅はどうしていいか分からず最初は、呆然としていたが、やがて小走りに駿を追いかけて行った。

どうしたんだろう・・・・私ったら・・・・あんな意地悪なことをいう子じゃなかったのに・・・

沙羅「駿・・・・待って・・・・」

いつのまにか名前で呼んでしまった自分が、恥ずかしくなった。

駿「行くぞ・・・・」

というとさりげなく駿は沙羅の右手を駿の左手で握って駐車場のほうに歩いて行った。

ドキドキ、バクバク・・・・ただ手をつないでいるだけなのに、顔に全身の血が昇って行くような感じだった。

駿の顔も真剣ながらも少し赤くなっているような気がした。

(私・・・・・きっと秋吉君の事・・・すごく意識している・・・・このままいったら本気で好きになっちゃうよ・・・・)

駿は車に乗り込むと、鞄から、買ったばかりの沙羅のいつも飲んでいるメーカーの冷たいお茶のペットボトルを差し出してくれた。

沙羅「ありがとう。」

駿「じゃ・・・海に向かうね・・・」

沙羅「うん・・・・」




第四節 初夏の海・・・・・・


海はまだ、夏休み前だったので、閑散としていた。
この海も、夏休みにはいれば芋を洗う状態になってしまうのだろう・・・

沙羅「海風が気持ちいい・・・・久し振りだな・・・海なんて・・・」

駿「僕もだよ・・・昔は、よく夏休みになると両親が海につれてきてくれたけど・・」

親子連れが、波打ち際でゴールデンレトリバーを散歩させていた。

駿「さっきはごめん。大きな声をだして・・・・」

沙羅「私こそごめんなさい。なんであんなこと言ったのか・・・・」

少し遠出をしてきたので、ちょうど海は黄昏時だった。

駿「あまり回りくどい言い方は嫌いだからストレートにきくね・・・・沙羅ちゃんは今、彼氏とかいる?もしくは好きな人とか・・・・」

沙羅「ううん・・・・ずっと受験勉強に明け暮れていたから彼氏どころじゃなかったし」

駿「そっか・・・・」

そういう駿の顔は、少しうれしそうだった。

駿「もう少し、波打ち際に行こうか・・・」

と再び沙羅の手をひっぱって波打ち際まで、二人で走って行った。

すると駿は、夕日が沈みかけている海に向かって大声でさけんだ・・・

駿「僕は。松岡沙羅が好きだ!!大好きだ!!」

沙羅は・・・・心臓のどきどきが駿に聞こえてしまうのではないかとそればかりが心配だった。
駿は今度は、沙羅のほうを向いて、目をまっすぐに見つめた。

駿「僕は、沙羅ちゃんが好きだ。実は予備校の時からずっと気になっていた。
大切にするからもし、僕でよければ付き合ってほしい。返事は今じゃなくていいから」

沙羅「返事は・・・今、します。・・・私も、駿君が、好きです。」

駿「え・・・本当・・・・?じゃ・・・OKってこと」

沙羅「うん・・・・」

駿「じゃ・・・・これからよろしくお願いします。」

というと右手を差し出しながら、深々とお辞儀をしたまま沙羅のことを待っていた。

沙羅はその手を軽く握り握手をしながらうつむいたままで

沙羅「こちらこそ・・・よろしくお願いいたします。」と応えた。

沙羅のこころのなかにひたひたと幸せな気持ちがあふれてきた。

これが・・・恋なんだ・・・・恋愛なんだ・・・・

と思うとうれしくて沙羅もおもわず海に向かって叫んでいた。

沙羅「駿君大好き・・・これからもずっとよろしく!!」

駿「沙羅大好きだよ・・・大切にするよ!!」

そんな二人のやり取りを、犬を散歩させていた人たちがほほえましく見ていた。

お互い、何度か叫ぶと急に恥ずかしくなり、二人で顔を見合して笑いころげた・・

駿「なんかの青春映画みたいだよな・・」

沙羅「本当・・・でも大声を出すのって気持ちいい!!」
駿「うん・・・」

気がつくと、先ほど犬の散歩をしていた親子は、もういなくなり、夕日もすっかり落ちて
代わりに空には星と月が輝いていた。

駿は静かに沙羅の両肩に手をかけそっとひきよせた。

沙羅は、静かに目をつむった・・・・

月の光の中で二人の唇は、ゆっくりと重なりあった。

その光景を輝く星たちが、祝福しているように見守っていた。

「Moonlight in love」(オリジナルポエム)

Moonlight in love
あなたと私

Moonlight in love
二人だけ

聞こえるのは、さざ波の音だけ

Moonlight in love
はじめてのKISS

Moonlight in love
このまま二人で
月光の中へ (※この詩は、中学生の時に書いた詩です。おマセでしたね・・(笑)

つづく・・・






シナリオ風小説「潮騒」第3回

2010年11月11日 | 小説「潮騒」
第2節 ポエム「両想い編」

駿「じゃあ・・・僕から発表します。まだ沙羅ちゃんにも見せてないんだけど」

いきなり松岡さんから沙羅ちゃんになっていることに少しうれしい気持がした。

駿がゆっくりと自分の作った詩を読み出した。

「やすらぎの時」

僕の手のひらに
すっぽり包まれる
君のやわらかな小さな手

僕を見つめるときの
少し上目遣いのはにかんだ笑顔
そのすべてを愛してる


きつく抱きしめると
折れてしまいそうな
華奢な体

そっと唇を重ねてみる

君をこの手で守りたい
君を誰にも渡したくない
君を心から愛しているから
君の瞳にうつるのは
僕の笑顔だけにしておくれ

君に出逢って初めてわかった
人を愛するという気持ちが
真実の愛というものが

朝おはようのメールから、夜おやすみのメールまで
いつも君を感じている
君のすべてを奪うより
君にすべてを与えたい

やさしさも
おもいやりも

そして僕の心のすべてを…

君と一緒にいる時間
それが僕の至福の時

僕ら二人のやすらぎの時間を天使達が祝福してくれる
君に逢う時を生きがいに
僕は毎日暮らしている

君に逢いたい今すぐに
君が欲しい
すべてが欲しい

そして
君を守りたい
君を傷つけるすべてのものから

君の強さも弱さも
むじゃきさも、もろさも
すべてを包み込んでしまいたい

君さえいれば
僕は強くなれる

守るべきものを手に入れた時
すべての愛が無限の力になるから

愛してる
愛してる
愛してる

心からあふれでる想いは
もう誰にも、とめられない

さみしがりやで
甘えん坊で
少しわがままな
僕の大切なお姫様

僕が君のナイトになろう

この冷たい世間の風から
汚れきった無関心で無機質な社会から

君を守るバリアになろう

本当の愛を教えてくれた

愛しき君のために…」

沙羅は駿から沙羅に向けられた詩ではないのに、
自分が告白をされているように胸がドキドキしてきた・・・・

岡田先輩「じゃあ・・・次は、松岡さん」

沙羅「はい。」

「ハッピータイム」
~オリジナルポエム~

降り出した大粒の雨に
傘を開いて
私の肩を抱き寄せる貴方

肩越しに感じるぬくもり
貴方の優しさ

私が濡れないようにする度に
貴方の肩は濡れていく

そんなさりげない優しさに
私の胸は熱くなる

貴方といれば
雨の日も
雪の日も
たとえ嵐の夜でさえ
すべてが輝く毎日に

綺麗な夕日も
紫がかった朝靄も
目に映るすべてを
あなたと共有したい

そっと
後ろからしがみついた大きな背中

私のheartが幸せ色に
貴方色に染められていく

「愛している」の囁きは
飽和した心の中から
溢れ出した愛のしずく

貴方を好きになっただけなのにどうしてこんなに苦しいの?

ただ貴方に見つめられるだけで
どうしてこんなにドキドキするの?

人は人を愛することにより
優しさや思いやりや慈悲の心を知る

そして
逢えない日のせつなさや
自分よりも大切な人がいることに気づく

もっと私を見つめてほしい
もっと私にキスしてほしい

貴方に抱きしめられた時

二人の鼓動はシンクロし
愛の若葉は大きく育ち
虹色の花を咲かせるだろう

星の数ほどの人波の中で
たった一人あなたに出逢えた
この奇跡

互いに手を取り
歩いて行こう

二人でいれば怖くない


人を愛することは
自分を愛すること

貴方に愛され
私は、さなぎから蝶になる

愛さえあれば心は満たされ
貴方の愛が自信をくれた

尊重しつつ、尊敬しあい、一緒に成長していこう。

二人で寄り添い
助け合い
幾多の試練を乗り越えよう

貴方と一緒にいるときが
私にとっては
Happiest Time

一分一秒離れたくない

今までたくさん恋をしてきたけれど
それは貴方に出逢うまでの
長い長いプロローグ

貴方の愛に満ちた
熱い魂~ソウル~が
私の心を溶かしていった

貴方がもっと輝くように
ピクシーダスト(妖精の粉)
を探しに行こう

太陽のようなエナジーで
月のようなやさしい光で
いつも貴方を照らしているから

貴方に守られるだけでなく
私も貴方を守るから

人という字の語源のように
互いにたよって
寄りかかれる
そんなピュアな愛を育みたい

愛の言葉を語るより
そっと手と手を重ねていたい

言葉なんかにしなくても
瞳と瞳で感じる想い

伝わる愛情
ほとばしる感情

いつしか心が重なりあい

ゆったり流れる
この世で一番幸せな時間」


春美「ええやん!!長編ポエムやけど、二人とも長いからバランスとれてるんちゃう?」

夏美「え・・・・まさかあなたたちもう付き合っているとか」

沙羅「いえ・・・そういうんじゃないです。」

沙羅が、すぐに否定したことによって駿の顔色が少し陰ったように思った。

岡田先輩がその気持ちを察したように

岡田先輩「松岡さん・・・そんなにいきなり否定しちゃ駿がかわいそうだよ・・・・

昨日だってドライブしたんでしょ?どうだった?」

小百合「ひどい!!駿・・・・車はまだ、運転に自信がないから家族しか乗せないって
言ってたじゃない・・・」

エリカ「痴話げんかなら外でやってくれる。確かにいい詩だけど、長すぎるわね・・・
長すぎることによって・・・焦点が少しぼけているというか・・・
言いたいことをつめすぎた幕の内弁当みたいでこれじゃ読者の気持ちを動かすことは難しいわ・・・・二人でトーンと長さをあわせてあさって再提出して。
じゃ・・つぎは私の小説の発表をするわね・・・」

さすがに、副部長。手厳しいが、的確に駿と沙羅の欠点を指摘していた。


エリカ「まあ・・・LOVE IS BLIND 自分の気持ちを出しすぎる気持も、
理解できないでもないけどね・・・
じゃあ・・始めるわね・・・」

沙羅は自分の気持ちをエリカに見透かされたようでドキっとした。



シナリオ風小説「潮騒」第2回

2010年11月09日 | 小説「潮騒」
第三節 恋の予感

駿「じゃあ・・・こんどはさ・・・同じテーマで、女性版と男性版をつくってみようよ。
片思いと、両想いどっちがいい?」

沙羅「両想いで・・・」

駿「OK・・・・じゃあさってまでにね」

沙羅「うん・・・・・」

岡田先輩になんとなくのらされて、いつのまにかサークルにはいることになってしまった。

駿「松岡さん・・・・学校には何で来ているの?」

沙羅「え・・・電車ですけど・・・」

駿「同世代なんだからため口でいこうよ・・・・」

なかなか強引な駿のペースにすっかりはまっていく沙羅であった。

駿「今からドライブ行かない?」

沙羅「え・・・・・?」

松岡先輩「行ってきなよ・・・・こいつ安全運転だし・・・
結構景色の綺麗なところ知っているから、ポエム書くのにいい参考になると思うよ。」

駿「じゃきまった。ドライブいこうぜ」というと駿はポケットから、車のキーをだした。

沙羅は、おとなしく駿の後をついていった。

(なんかとても不思議な人・・・でもなんか、強引なのにいやな強引さじゃなくて・・・)

沙羅はすでに、駿に惹かれつつある自分の気持ちには気づいていなかった。

車にのると駿が、沙羅に聞いた。

駿「車酔いは大丈夫かな?」

沙羅「大丈夫です」(いつもこの手で女性をドライブに誘っているのかしら?)

沙羅の気持ちを察するように、駿はことばをつづけた

駿「この間、妹を乗せたら、なんかすごく酔っちゃったみたいだから・・・恥ずかしい話家族以外の女性をこの車に乗せるの初めてなんだ・・・・」

というとちょっと照れた顔をしながらはにかんだ

ドキン!!!!駿にまで聞こえてしまうのではないかと思うほど胸が大きな音をたてた・・・・・

・・・・・・・これが・・・・恋・・・・?・・・・・・・



第2章 LOVE IS BLIND

第一節 両想いのポエム

3日後、約束どおり沙羅と駿はそれぞれの詩を持ち寄ってサークルの部室にやってきた。
そこで岡田先輩から他のメンバーを紹介してもらった。

岡田先輩「こちらが副部長の、佐々木エリカさん 僕と同じく大学4年生文学部 おもに小説が中心だよ。こちらが、イラスト担当の、後藤良哉君 経済学部の3年生だ。
そしてこちらが、写真担当の、上杉信也君 法律学部の3年生
そしてこちらの女性3人組が、小説やポエムを書いている」

春美「うち春野春美よ。よろしく・・・今年は新入部員がはいってくるかどうか心配やったからめっちゃうれしいわ・・私たち3人組は、全員文学部のフランス文学専攻」

夏美「私が夏野夏美・・・・どちらかというと過激なポエムが多いんだけどね(笑)」

冬美「私が冬野冬美・・・・これでも推理小説を書いているのよ・・・」

春美「これで秋野秋美がいれば春夏秋冬だったのにね(笑)」

駿・沙羅「よろしくお願いします。」

岡田先輩「そしてこちらが・・・君たちと同じ1年生の・・・」

小百合「岡田先輩~私の紹介は駿からしてもらうからいいです♪」

というと軽く駿のほうをみてウィンクをした。

駿「だいたい・・・お前はミュージック研究会でバンドやるはずじゃなかったのかよ・・・」

小百合「だって駿がいないとつまんないんだもん。高校時代、軽音楽部でギターやっていたから絶対にミュージック研究会だと思っていたのに」

駿「おれは最終的に、自分たちでオリジナルソングを作りたいから、詩とかの勉強をしたかったんだよ。」

岡田先輩「っていうか紹介してもらってもいいのかな?」
駿(しぶしぶと)「こいつは、山口小百合。松岡さん、俺たちと同じ大学1年生だ。」

小百合「それから小学生のときからずっと腐れ縁の駿の幼馴染です」

というとふざけて駿の左腕に腕をまきつけた・

駿「やめろよ!!」

小百合「あ~こわ・・・」

ズキンズキン 沙羅はなぜだかわからないが、そのばから立ち去りたいような、泣き出しそうなそれでいて胸が熱くなるような気がした・・・・・

春美「大丈夫?沙羅ちゃん・・・顔色悪いよ・・・少しやすんだほうがいいんちゃう?」

沙羅「あ・・・大丈夫です」

岡田先輩「じゃさっそく、みんながもちよった詩、小説、それから新人の駿と松岡さんが作った同じテーマの詩について発表をしてもらおう」

***つづく***
















シナリオ風小説「潮騒」第1回

2010年11月08日 | 小説「潮騒」
オリジナル小説「潮騒」第一回

「潮騒」

第1章 プロローグ

第一節「出会い」

誰もいない秋の海・・・沙羅はひとりで浜辺を歩いていた。
いつの間にか口をついてでたフレーズは・・・・思い出の曲だった

「memory of summer days 夏の日差しの中一人・・・・」

そう思いおこせばこの曲が私と駿との出会いだった・・・・・・

2年前

駿「月の明かりがさびしい夜に・・・・」
沙羅「なんですかいきなり・・・人のノートを覗いて・・・!」
駿「ごめんごめん・・・・いい詩だなって思ってさ・・・・隣座ってもいい?」

ちょうど大学の2時限目の一般教養の授業「経済」の時の大教室で、いきなり声をかけられた。

それが駿との出会いだった・・・・・


「Summer days」~オリジナルポエム~

月の明かりがさびしい夜に 一人涙流す
時計の針が今日の終わりゆっくり告げる夏の日
去年の夏は二人一緒だったのに でも今年の夏は・・・・

Memory of summer days 夏の日差しの中一人
去年と同じ海岸通り一人で歩く
I miss you


足元寄せる小さな 波に あの日を想い出す
あなたの優しさ あなたの言葉 あなたの笑顔
去年の夏は二人きりだった でも今年の夏は・・・・
Memory of summer days 夏の黄昏の中一人
去年と同じ夕陽を一人 涙で見つめて
I miss you・・・・・


駿「素敵な詩だね・・・」

沙羅「え・・・?」

駿「ごめん。いきなり・・・・・君、千駄ヶ谷予備校に通っていたよね・・・
現役のクラスの」

沙羅「はい」

駿「自己紹介遅れてごめん。僕の名前は、秋吉 駿(あきよし しゅん)駿でいいよ。
実は君のこと千駄ヶ谷予備校の夏期講習で何回か見かけたことがあるんだよ・・・
休み時間になるとみんなそれぞれ、勉強したり、話をしたりしていたけど・・・
君はじっと窓の外を眺めては何かをかきとめていたから何をしているのかなって
いつも気になっていたんだ・・・・でもポエマーだったんだね」

沙羅「私は、松岡 沙羅(まつおか さら)です。ポエマーだなんて・・・
詩を書くのが好きなだけです」













第二節 「同人誌」

駿「いや・・・絶対にいいよ。これを公開しないのはもったいないよ。
実は、俺サークルで同人誌をつくっているんだ、小説とか、ポエムとかマンガとか、
イラストとかの・・・・でなかなかポエムを書ける人がいなくて・・・・
この詩すごく気に入ったからできれば、同人誌をつくっている先輩に見せたいん
だけどだめかな?」

といいながら照れて頭をかく駿という少年はとてもさわやかに見えた。

沙羅「いいですよ・・・・私の書いた詩なんかでよければ」

駿「ありがとう・・・ところで松岡さんはもうサークル決まったの?」

沙羅「まだなんです・・・・」

駿「じゃよければ、僕と同じサークルにはいらない?『夢追い人』って名前
のサークルでさっきいったように文学とか、イラストとかを書いて同人誌として、
出版しているんだ・・・放課後一緒に部室に遊びに行ってみようよ」

強引なのに強引さを感じさせない駿の言葉に思わず私はうなずいていた。

放課後、学食の前で待ち合わせをした私たちは、駿に誘われるがまま、
「夢追い人」と看板のかかっている部室に入って行った。

岡田先輩「駿・・・待っていたぞ・・彼女か?素敵な詩を書くっていうのは」

駿「そうなんですよ・・・・いいですからちょっと読んでみてください」

岡田先輩は、真剣に沙羅の書いた詩をよんでいた。

岡田先輩「う~ん。いいね。こういうピュアな詩を書く人は、他にいないから、
ぜひ、部員になってほしいな。アングラ系はいるけどね。自己紹介遅れたけど
サークル「夢追い人」の部長の岡田です。僕は主に、部員のつくった小説や、
ポエムに会うイラストを描いたり、写真をとったりして、全体の構成を監督しているんだ」

駿「一応・・・俺たちの作った同人誌は生協で販売もしているんだよ」

沙羅「すごいですね・・・」

岡田先輩「それだけでなく漫画研究会から、原作を依頼されたり、イラストに
載せる3行詩や5行詩を頼まれることもあるんだよ」

沙羅「三行詩、五行詩ってなんでしょうか?」

駿「たとえば、こんな感じで

「三行詩」
三行詩
言霊の中に
気持ちを込めて

「心」
私の心は
そばにいる
それだけ信じていてほしい

「星空」
逢えない夜
ふと星空見上げてみる
あなたも夜空見上ていますか

「秋雨」
秋雨も
あなたがいれば暖かい
二人寄り添う傘の中

「心配」
お疲れ様
仕事しすぎで倒れないでね
あなたはいつもめちゃをするから

「風邪」
風邪流行り
我が身よりも
あなたが心配

「恋心」
恋心
寒さと同時に
冷めてゆく

「五行詩」
何食べたい?
何のみたいと?
問いながら
行き着く先は
あなたの行き着けの店

どう?」

沙羅「素敵ですね。なんか昔の和歌みたいですね。」

岡田先輩「できたらそういうのもやっていきたいと思っているんだ、たとえば、
駿が作った3行詩に松岡さんがつくった3行詩をつけてそれにまた違う部員が
つけていくとか・・・」

沙羅「素敵です。ぜひ入部させてください。」

岡田先輩「ありがとう。じゃこれからよろしくね」

駿「やった!!」