詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

シナリオ風小説「潮騒」第4回

2010年11月12日 | 小説「潮騒」
第三節 手をつないで・・・・

結局、駿と沙羅の「同じテーマの恋愛ポエム」は手厳しい副部長から5回のNGをもらいやっと完成し、6月号の同人誌に掲載されることになった。

さっそく二人で、生協に買いにいった。

駿「沙羅ちゃん・・・なんかドキドキするね・・・」

沙羅「うん・・・自分は、ポエムを書くのが好きでずっと書き綴ってきたけれども、こんな風に人の眼に触れるなんて・・・日の目を見る日が来るなんて思ったこともなかったから」

駿「そうか・・・そうだよね。ポエムってどちらかというと自分の理想像を描いたり、苦しい自分の気持ちを文字にしたりするもので、どちらかというと個人的な日記に近いかもしれないよね・・・」

沙羅「そうなの・・・・だから、たとえば素敵な景色を見たとき、心のシャッターを切ってその、風景を目に焼き付けるのと同時に、なんとか言葉で表現したくなるんだよね」

駿「うん・・・・それってわかる、わかる」

一緒に同じテーマのポエムを作ってから、駿と沙羅は部室でよく話をするようになったが、だいたいいつもだれかがいるので、二人きりで話をするのは久しぶりだった。

駿「今から、海に行かない?午後の授業休講でしょう・・・」

沙羅「え・・・?」
(駿は私の選択している授業の休講情報まで知っているんだ なんかすごくうれしい・・・
でもなんでだろう)

沙羅「でもまた、小百合さんに怒られちゃいそう・・・」

駿「あいつは関係ないよ!!」(大声で)

ビクン

いきなりの大声に生協にいる学生の何人かが振り向いた。
駿「いやならいいよ・・・」
というと駿は大股で生協を出て行った。

沙羅はどうしていいか分からず最初は、呆然としていたが、やがて小走りに駿を追いかけて行った。

どうしたんだろう・・・・私ったら・・・・あんな意地悪なことをいう子じゃなかったのに・・・

沙羅「駿・・・・待って・・・・」

いつのまにか名前で呼んでしまった自分が、恥ずかしくなった。

駿「行くぞ・・・・」

というとさりげなく駿は沙羅の右手を駿の左手で握って駐車場のほうに歩いて行った。

ドキドキ、バクバク・・・・ただ手をつないでいるだけなのに、顔に全身の血が昇って行くような感じだった。

駿の顔も真剣ながらも少し赤くなっているような気がした。

(私・・・・・きっと秋吉君の事・・・すごく意識している・・・・このままいったら本気で好きになっちゃうよ・・・・)

駿は車に乗り込むと、鞄から、買ったばかりの沙羅のいつも飲んでいるメーカーの冷たいお茶のペットボトルを差し出してくれた。

沙羅「ありがとう。」

駿「じゃ・・・海に向かうね・・・」

沙羅「うん・・・・」




第四節 初夏の海・・・・・・


海はまだ、夏休み前だったので、閑散としていた。
この海も、夏休みにはいれば芋を洗う状態になってしまうのだろう・・・

沙羅「海風が気持ちいい・・・・久し振りだな・・・海なんて・・・」

駿「僕もだよ・・・昔は、よく夏休みになると両親が海につれてきてくれたけど・・」

親子連れが、波打ち際でゴールデンレトリバーを散歩させていた。

駿「さっきはごめん。大きな声をだして・・・・」

沙羅「私こそごめんなさい。なんであんなこと言ったのか・・・・」

少し遠出をしてきたので、ちょうど海は黄昏時だった。

駿「あまり回りくどい言い方は嫌いだからストレートにきくね・・・・沙羅ちゃんは今、彼氏とかいる?もしくは好きな人とか・・・・」

沙羅「ううん・・・・ずっと受験勉強に明け暮れていたから彼氏どころじゃなかったし」

駿「そっか・・・・」

そういう駿の顔は、少しうれしそうだった。

駿「もう少し、波打ち際に行こうか・・・」

と再び沙羅の手をひっぱって波打ち際まで、二人で走って行った。

すると駿は、夕日が沈みかけている海に向かって大声でさけんだ・・・

駿「僕は。松岡沙羅が好きだ!!大好きだ!!」

沙羅は・・・・心臓のどきどきが駿に聞こえてしまうのではないかとそればかりが心配だった。
駿は今度は、沙羅のほうを向いて、目をまっすぐに見つめた。

駿「僕は、沙羅ちゃんが好きだ。実は予備校の時からずっと気になっていた。
大切にするからもし、僕でよければ付き合ってほしい。返事は今じゃなくていいから」

沙羅「返事は・・・今、します。・・・私も、駿君が、好きです。」

駿「え・・・本当・・・・?じゃ・・・OKってこと」

沙羅「うん・・・・」

駿「じゃ・・・・これからよろしくお願いします。」

というと右手を差し出しながら、深々とお辞儀をしたまま沙羅のことを待っていた。

沙羅はその手を軽く握り握手をしながらうつむいたままで

沙羅「こちらこそ・・・よろしくお願いいたします。」と応えた。

沙羅のこころのなかにひたひたと幸せな気持ちがあふれてきた。

これが・・・恋なんだ・・・・恋愛なんだ・・・・

と思うとうれしくて沙羅もおもわず海に向かって叫んでいた。

沙羅「駿君大好き・・・これからもずっとよろしく!!」

駿「沙羅大好きだよ・・・大切にするよ!!」

そんな二人のやり取りを、犬を散歩させていた人たちがほほえましく見ていた。

お互い、何度か叫ぶと急に恥ずかしくなり、二人で顔を見合して笑いころげた・・

駿「なんかの青春映画みたいだよな・・」

沙羅「本当・・・でも大声を出すのって気持ちいい!!」
駿「うん・・・」

気がつくと、先ほど犬の散歩をしていた親子は、もういなくなり、夕日もすっかり落ちて
代わりに空には星と月が輝いていた。

駿は静かに沙羅の両肩に手をかけそっとひきよせた。

沙羅は、静かに目をつむった・・・・

月の光の中で二人の唇は、ゆっくりと重なりあった。

その光景を輝く星たちが、祝福しているように見守っていた。

「Moonlight in love」(オリジナルポエム)

Moonlight in love
あなたと私

Moonlight in love
二人だけ

聞こえるのは、さざ波の音だけ

Moonlight in love
はじめてのKISS

Moonlight in love
このまま二人で
月光の中へ (※この詩は、中学生の時に書いた詩です。おマセでしたね・・(笑)

つづく・・・






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