詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

小説「天国のコンサート~尾崎豊に捧ぐ~」第五回

2010年11月05日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
「天国のコンサート」最終回

第四章 3ヵ月後

脳にも以上はなく、私と姉は、それから、3ヵ月後に無事退院をした。姉は、とりあえず、自宅療養の期間2ヶ月間は日本にいることになった。
二人は早速二人で体験した不思議な事について、興奮しながら話をした。

「やっぱ龍ってすごいんだね。お姉ちゃんありがとう。コンサートに連れて行ってくれて」
「やっぱりあれは、現実だったんだね。」
と話をしていると通りがかりのCDショップに「幻の曲神崎龍の未発表の曲見つかる。本日発売」とかいてあった。

私と姉はお互いに顔を見合わせて、
そのショップに入って早速そのCDを買い、急いで家に帰った。
「天国のコンサート~双子の姉妹へ~」

君達は、同じ日に生を受け、同じように育ってきた。

同じ服をきて、同じ髪型をして
お互いに成り代わったいたずらをして
すくすく親の愛にはぐくまれ育ってきた

時には喧嘩をしたり、
時には、同じ人を好きになったこともあるけれど
お互いは自分の分身だって信じて生きてきたね

そんな君達が来てくれた
天国のコンサート

満員の会場で君達二人は光っていたよ
まだ、生き続けたいって生への強い執着心の輝きをもっていて・・・・

君達の人生は長いんだから

これからもたくさん幸せなことが待っているから

自分を信じて
自分を輝きつづけられるように

たくさんの生きていく心の財産を増やしていって

君がきみらしく生きるために
君自身を信じつづけて
世界中で最後まで頼りになるのは
自分自身だけだから

そのために
今日の日を迎えたんだから
そして明日を迎えるから
明日は毎日の今日の積み重ねだから

今日は、僕のコンサートに来てくれてありがとう

今日という日を忘れないで

いつかとてもつらくなったとき
いつかとても苦しくなったとき

覚えていて

いつも僕は君の心の中に

生き続けているから・・・・・

12弦ギター一本での弾き語りの曲だった、
姉も私も涙が止らなかった。

あれは夢じゃなかったんだ・・・・

実際に私たちは、生死をさまよっているときに一瞬天国に生き、私たちが明日から、強く生きていけるように神様が龍のコンサートに招待してくれたんだ。

私たちは、龍の分も行きつづけ、
龍の音楽を次世代につなぐために、またこの世に舞い戻ってきたんだ。

双子の姉も一緒に

龍ありがとう。そして神様ありがとうございます。

これからも、なにか辛いことがあったとき、悲しいことがあったとき、苦しいことがあったとき、龍のコンサートを思い出します。

そして生の、命の大切さをかみしめていきつづけていきます。

一度死の淵を体験した者は強いから。

大丈夫。ずっとずっと心の中に龍が、そして、天国のコンサートが生き続けているから。

あの天国のコンサートでの龍のメッセージが・・・・・



*************************

読んでくださった皆様ありがとうございます。

この主人公は尾崎豊さんをモチーフにしています。

尾崎は今も私の心の中で生き続けています。

今も・・・そして永遠に・・・・

小説「天国のコンサート~尾崎豊に捧ぐ~」第四回

2010年11月05日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
「天国のコンサート」第四回

第三章 現実

「痛い・・・体中が痛い」
体中が痛かった。ボーっとした頭のまま、うっすらと目をあけた。
龍のコンサートの夢をみていたのかしら・・?

「美奈!!美奈!!よかった・・・よかった・・」
そこには、真っ青な顔をした母親が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

「ど・・・どうしたの・・お・・おかあさん」
口が痛むためまだ、上手にロレツが回らなかった。

「あなた、自転車のままトラックにはねられたのよ。一度心臓が停止してその後は昏睡状態に・・・今夜が山場だって先生に言われて・・・」
母親は、泣きながらも早口にまた、再び美奈が昏睡状態にはいらないように、状況を説明した。

私・・・・はねられたんだ・・・一度・・・死んだの????

「お・・・お父さんは?」
「となりの集中治療室・・・」
「え・・・お父さんも??」
「じゃなくて奈美が今日、イギリスから帰国して、自宅に帰る途中で、乗っていたタクシーとトラックが衝突して、同じように昏睡状態になって・・・」

というとまた母の両目から大粒の涙がポロポロとこぼれた。

「まったく、双子だからってそろいもそろって、自分達の誕生日に事故にあうなんて・・・
奈美も一度心肺停止に陥って、昏睡状態のままなの・・・」
「母さん。」
そういうか否か、父親が私の集中治療室に入ってきた。

「何??」ドキっとした顔で、心配そうに母親が父親の顔をみた。

「美奈・・・意識が戻ったか・・・よかった。
奈美も今ちょうど意識が戻った・・・」

「よかったよかった」と父親と母親は二人で抱き合って涙を流しつづけた。

「それで、奈美が、龍は?龍は?って訊くんだよ。私に・・・・龍って奈美が好きだったなんとかっていう歌手だろう」

「神崎龍。おねえちゃんが愛してやまなかった、アーティストよ。最高の」
「あら珍しい。美奈はまったく興味がなかったのに・・・・」
「でな・・奈美がその龍って子のコンサート会場にいたはずだって・・・」

一瞬耳鳴りがするほどのショックを受けた。
もしかして私と姉は一度、ちょうど生死の境にいたときに、一緒に天国に行き、龍のコンサートに行ったのでは・・・まさか・・・そんな・・・非現実的な・・・でもまったく同じ夢を見るなんて・・・・・

「で、奈美は美奈と一緒にコンサートにいって、その龍が、自分達のために誕生日ソングを歌ってくれたって。」
「うん。「心のままに」っていう素敵な曲よ。そして龍は私たちにこういったわ・・・
『もうそろそろ帰る時間だ。今日は俺のコンサートに来てくれてありがとう。
自分自身を大切に、そして生きている時間を、毎日毎日を大切に生きて欲しい。
そして、俺が生み出した曲を是非、今後の世代に歌いつないでいってほしい。
今日は本当にありがとう・・・・』

って・・・」

いつのまにか、美奈の両目から涙がこぼれてきてとまらなかった。

「お父さん・・・・これって」
「母さん・・・・奈美もまったく同じことを・・・」
「きっと私たちのことを龍がこの世に送り返してくれたんだわ・・・・」
「母さんとりあえず、わたしは奈美のところにいってこの信じがたい話を告げてくるよ・・・」
「奇跡だわ・・・奇跡だわ・・」といって母は、両手を組んでまた、泣き出した。


小説「天国のコンサート~尾崎豊に捧ぐ~」第三回

2010年11月05日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
「天国のコンサート」第三回


バラードの曲が始まるとばらばらとファン達は、座り始めた。私も、皆の真似をして、
座った。アイドルコンサートにありがちの手拍子もなく、静かに龍は12弦ギター
でひき始めた。



「カリアーナ」(オリジナルポエム)

あなたが疲れているとき
あなたが安らぎを求めているとき
私のそばに来て欲しい

稚児のように
私の心の臓の音を聞き
赤子のように安らいで安心して
眠りについて欲しい

冷たい世間の風の中で
必死に戦っているあなたの
せめて
安らぎのひとときになりたい

私の小さな腕の中では
よろいかぶとを脱ぎ捨てて

本来のあなたでいて欲しい
私はあなたを想いながら
あなたをそっと抱きしめるから

私にできるすべてを・・・
私のすべての愛を
あなたにささげ尽くしたいから


知らないうちに涙がこぼれてきた。
周りからもすすり泣きが聞こえてきた。

これが、神崎龍。なんてすごいんだろう
さっきのR&Rとは違うとてもとても
澄んだ美しい声で歌っている。

そんな龍を愛して止まなかった姉の気持ちがわかった。
姉に感謝をしていた。
と同時に何度も龍が生きていたときにコンサートに誘ってもらっていたのに、
一度も行かなかったことがすごく悔やまれた。

龍がこんなにすごい人だなんて・・・だから今でもずっと人気があるんだな・・・

カリアーナが終わると、急に私と姉にスポットライトがあたった。
「今日のゲストを紹介します。岡崎奈美さんと美奈さんです。
そしてハッピーバースデートゥーユー」
何がなんだかわからなかった。
いきなりバンドが、ハッピーバースデーの曲を奏ではじめて、龍が歌い始めた。
歌い終わると、「ハッピーバースデー、奈美、美奈そして今日、生をうけたすべての人たちに、心からおめでとうの言葉を贈ります、」
私は、自分の誕生日をすっかりわすれていた自分にいまさらながら気が付いた。
「じゃ二人の誕生日そして、今から天国から旅立って、新たに生まれていく
俺のクラクションに対する気持ちをこめて歌います。
「心のままに」


「心のままに」オリジナルポエム

街角にちりつもった読み捨てられたニューズペーパー
いつも紙面いっぱいに載っている凄惨な記事たち

心も切れるほどの冷たさの
世間の風にさらされている
どんなときも君らしく
暖かい心を忘れないで
人を思いやる気持ち
一番大切だから

Happy Birthday To You
君の心の赴くままに 
Happy Birthday To You
今日という一日を生きて欲しい
周りの雑音や言葉に
その心を惑わさないで
生まれたままの素直な心のままで・・・・



「ハッピーバースデー奈美、美奈
もうそろそろ帰る時間だ。今日は俺のコンサートに来てくれてありがとう。
自分自身を大切に、そして生きている時間を、毎日毎日を大切に生きて欲しい。
そして、俺が生み出した曲を是非、今後の世代に歌いつないでいってほしい。
今日は本当にありがとう・・・・」
「龍!!ありがとう!!龍最高!!」
いつのまにか私と姉は声を揃えて、ステージの上の龍に向かって叫んでいた。
龍は、軽く片手を挙げてウィンクをしてステージの袖のほうに消えていった・・・・・・






小説「天国のコンサート~尾崎豊に捧ぐ~」第二回

2010年11月05日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
「天国のコンサート」第二回


Spring R&R(オリジナルポエム)

机を並べて勉強していたやつらが、卒業していく。
卒業式という堅苦しいイベントに涙をうかべて
偽りの再会の約束をする

花束抱えて幸せそうな顔をしながら
自分達の今後について話をしている

大学にいくやつら
仕事につくやつら

みんな夢を忘れて現実にしがみついていく

そんな奴らを尻目に
俺は今日もR&Rを歌っている

夢を無くしてないかい?
熱いハートを持ちつづけているかい?
自分を見失っていないかい?
君は君だけのシナリオを描いているかい?

Spring R&R
Spring R&R

いつも人生の節目といわれるこの春に
俺は今もR&Rを歌っている

カモン!!


龍は、時々ファンに向けてマイクを突き出す。
と思えば、スピーカーやアンプをセッティングしてある
パイプで組み立てられているコンサートセットの上によじ登っていく。
ファンとアーティストが一体になっていくのを私は、自分の肌で、耳で、
目でそして心で感じていた。
「すごい!!この人」
初めて姉がなんでこんなにもこの龍のとりこになっているかがわかってきた。
おもわず鳥肌のたってきた両手を私は自分自身をの手で抱きしめた。
また、R&Rを歌うときに舞台を所狭しと走り回りときどき、見せる、はにかん
だ笑顔に姉だけでなく私も完全にハートを打ち抜かれてしまった。
アイドルのコンサートには、時々行っていた。
クチパクだ、なんだといわれてもそのアイドルグループが見られればよかった。
親友の真美と一緒に、秀命と書いた、おおきなうちわをもって、キャンドルライトをもって、キャーキャー騒いでいた。曲を聴きに来ているのか、騒ぎにきているかわからなかったが、
それでも大好きなアイドルの顔が見られればよかった。
でも龍のコンサートは違う。曲の途中では、みんな、それぞれ、体でリズムはとっているが
間奏の間しか、名前を叫ぶものはいなかった。

やがて龍は、一曲目を歌い終えると、静かに語り始めた。
「今日は、みんなありがとう。Live Heavenの最終日に来てくれて・・・・
ちょうどそう、僕の5周忌にあたります。」
キャーキャー龍!!神崎!!
みんなが盛り上がりをみせた。
「5周忌??今5周忌って言わなかった?」
「ちょっと黙っていて!!」と姉に制された。
「みんなは、いろいろな夢をもって歩きつづけている途中で、不幸にも命を絶ってしまった。絶たされてしまったものもいるだろう。
でも自分を信じて、次に生まれ変わったときには、もっともっと心の糧を増やして、
夢を実現していって欲しい。そして、本当に心から愛せる人と出会って欲しい。
自分よりもその人の事が大切だって思えたら、
それが、本当に自分が探していた、真実の愛だと思うから。

今度の曲は、バラードで
「カリアーナ・・・・」聴いてください。

小説「天国のコンサート~尾崎豊に捧ぐ~」第一回

2010年11月05日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
11月29日の尾崎豊のバースデーにこのオリジナル小説を捧げます。
関連小説「黄昏の街の中で」もよければご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/9eb9cbe2567005e321e8869897fd844b


「天国のコンサート」  尾崎 詩絵里

第一章 プロローグ

キキーー!!
「危ない!!」ドン
いつもの帰り道を自転車で帰っていた時、信号無視のトラックがつっこんできた。
ブレーキをひこうとしたが一瞬間に合わなかった。

「事故だ!!事故だ!!人が轢かれた!!」
「救急車! 救急車!」

体があちこち痛かった。生暖かいものが自分の中から流れ出ているのが気持ち悪かった。
立ち上がろうとしたけど、体中どこにも力がはいらず、周りを見ようとおもったが、
目が開かなかった。
遠くから救急車とパトカーの音が近づいてきたとき・・・・私は、意識を失った。
「大丈夫ですか?私の声が聞こえますか?」
「まだ、息がある。大至急運ぶんだ!!」

岡崎 美奈 26歳の夏だった。


第二章 コンサート

「龍!!!」「神崎!!」
暗い、暗い場所で美奈は目が覚めた。
「何寝ているの・・・もうすぐ龍のコンサート始まるわよ!!」
「おねえちゃん・・誰のコンサート?私生きていたんだ・・・」
「何言っているの?神崎龍でしょう。」
「え・・・・だって神崎龍って亡くなったんじゃ」
「何寝ぼけているの・・・あんたがあんなに行きたがっていたから、
コネ使ってチケットゲットしたんだから、寝ていたら承知しないからね!!」
「う・・・うん」
神崎龍 享年26歳
10代の頃にライブハウスでデビューをして瞬く間にトップアーティストに。
10代のカリスマと呼ばれ、20代になり、ますます、ファン層はひろがり、
CMでは彼の曲が使われ老若男女知らない人はいなかった。
なのに・・・・
26歳に、事故で急死。
その「神崎龍」の姉は大ファンだった。
双子の姉に私はよく、龍の曲を聴かされた。
確か今年は龍が亡くなって、5年目だったはずなのに・・・・
どうしてその人のコンサートに私がいるの?
もしかしてここは天国??
そうだ・・・私確か、車にはねられて・・・でも姉は現在イギリスで結婚して
幸せにくらしているはず・・・死んでなんかいないし

「何、ボーっとしているの!!龍のコンサートのパンフレット。めっちゃ、
並んでいたんだから。感謝しなさいよ。あの伝説のロックンローラーそして、
人気絶頂の龍様のコンサートに来られるなんて幸せ者なんだから」
神崎龍の熱狂的ファンの姉はマスコミが彼を取り上げるときに使う
カリスマという言葉をあえて避けた。

コンサート会場が急に明るくなり、音楽が鳴り出した。すると地響
きのようなファンの歓声があちらこちらから上がった。
「かんざき!!!!!」「りゅう!!」
「りゅうさま!!!!」
姉も隣で「りゅう!!りゅう!!」と大騒ぎをしていた。
バンドの長い前奏の途中で、白いTシャツに、ジーパン姿の20代の
若い男性、神崎龍が、ゆっくりとステージの中央に歩いてくると、
いきなりマイクをとって歌い始めた。
何度も何度もCDで姉から聞かされている曲
Spring R&R・・・・


恋愛小説「黄昏の街の中で~アーティストとの恋~」最終回

2007年11月01日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
「黄昏の街の中で VOL.3 ~最終回~」

「リュウ見て・・・」

シェーカーからは、目にもあざやかなブルーのカクテルが、グラスになみなみと注がれた。







「このカクテルの名はスカイダイビング・・・

リュウはスカイダイビングしたことある?

やった事ある人たちの話を聞くと、やる前はとても怖かったけど、やってみたら楽しかったって言っているよね・・

もちろん危険はつき物だけど・・・・

人は皆 翼を持っていないから、大空にあこがれる。

自分が出来ないことにあこがれる。

この世の中にはリュウのように、心の叫びや訴えを、表現したい人は、たくさんいる。

インターネットやブログもその一種だと思う。

自己表現をし、多くの人の同感や共感を求めている。

リュウはそれが、音楽でできるじゃない?」





「ミナ・・・・俺には才能なんてあるんだろうか?

今までは、書きたいこと、心の叫びをただ曲にしてきた。





「街が、風が、闇が俺に多くのものを訴えかけてきた。

でも今は、俺が大人になったからなのか、心の眼、耳が曇ったからなのか、何も聞こえない。

才能は油田のように枯渇していくものなのか?

それともあふれ続ける泉のようなものなのか?

今の俺には、それがわからない・・・」

「才能なんてわからない。でも一番大切なのは、自分を信じて自分を愛すること。

街の声が、風の声が聞こえなくなったのなら、自分の心の声をきけばいい。リュウが想い、感じたことを言葉にすればいい。

言葉は言霊・・・口に出した瞬間、魂を持つから。

がんばらなくていいんだよリュウ・・・・

リュウはリュウなんだから・・・あなたのままでいいんだから」

私は震える彼をそっと両手で抱きしめた。





どのくらい時間がたったのだろう・・・

気がつくと私の肩が濡れていた。彼の涙で・・・

かれは静かにむせびないていた。。。

思い切り泣けばいい・・・

涙は心の砕けたカケラ・・・

すべて涙で洗い流せば新しいなにかが見えてくるはずだから・・・・

貴方は自分のために、そして愛すべき者すべてのために歌い、走り続けてきた。

時には、傷つき、時には迷いながら、真実を追い求め、夢に向って・・・

でも走りつかれて、迷いだしたら立ち止まればいいよ。

人に裏切られ、おびえた瞳には、真実はかすんで見えないから。

いつも何かに向って戦い続ける貴方がその傷ついた翼を休める場所はある。

今度は、あなたが、私の胸の中でゆっくりおやすみ・・・

もし片方の翼が折れたなら、私があなたの片翼になろう・・・

もし貴方が暗闇の中で迷っているなら、手と手をとりあい、一緒に真実の輝く一筋の光を探して歩こう。

いつも身にまとっている戦うための鎧兜を私の前では脱ぎ捨てていいよ。

海のような愛の深さで、空のような輝く心で、大地のようなゆるぎない想いで、あなたを傷つけるすべてのものから私が守ろう・・・・

あなたの強さと弱さとガラスのような心の輝き全てを私は愛しているから

3年前私があなたの胸の中で生まれ変わったように、あなたの歌で励まされたように・・・

今度は私が貴方を守ってあげる。

このままずっと・・・・

私の腕の中で・・・・


**********Fin*********


長い間ご愛読ありがとうございます。
感謝申し上げます。

感想なんぞいただけると助かります~

恋愛小説「黄昏の街の中で~アーティストとの恋~」第2回

2007年11月01日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
朝日のまぶしさで目が覚めると彼は寝室にいなかった。
耳をすませるとリビングからギターの音がかすかに聞こえた。


「あ・・・ごめん起こしちゃった?
曲がうかんだから、忘れないうちに書いておこうと思って」
とはにかみながら彼は微笑んだ。

彼の瞳は、朝日をうけてキラキラと輝いていた。
生きとし生けるものの「生」の喜びが彼の魂に宿っているかのように



愛する人を失って、失意のどん底、暗闇の中に一人ぼっちだった私の心に、一筋の淡い光が差し込んできた。



「できあがったばかりなんだけど、曲聴いてみる?
まあ・・・これから何度か手直しが入るけどね

あ・・・そうだ自己紹介遅れたけど、俺は、神崎龍。
リュウでいいから。一応全然売れてないけど、自称アーティスト、これでもCD2枚出しているんだけどね・・・・

いつかは、チャゲ&飛鳥や浜田省吾のようにギター一本、フォークから始めた先輩達のように武道館を満員にするのが夢なんだ





といい終わるや否や彼はギターで曲を弾き始めた。

優しい旋律のアルペジオから始まり、単調な、でも規則正い、そうちょうど秋の海の波が打ち寄せては返すようなメロディー

そして最後は明るいストロークに変わり

徐々にゆったりとした、海に夕日が沈むことを想像させるようなアルペジオに戻り Fin

あまりの美しいいメロディーに気がつけば私はいつも間にか涙していた。

そして知らぬ間にポツリポツリと今回の愛する人との失恋話を昨日会ったばかりの少年に話をしていた。

「私の名は、美咲 美菜穂」

「じゃ・・ミナって呼ぶね・・・」

「ミナ、俺が今の曲に君から聞いた話を混ぜ込んで、究極のLOVE応援ソングを作るから楽しみにしていてね」

と彼は、かるくウィンクをした。

そして、それが、彼を一躍有名にした
「黄昏の街の中で」だった。

失恋し、何もかも失った女性達への応援ソングだった。




オリジナルポエム「黄昏の街の中で」

秋風を受ける波のように
寄せては返す心の痛み

氷のように凍てつく心

誰かが捨てていった空き缶一つ





君は、両翼をもがれた天使のように
小さく海辺でうずくまる。





失くした愛のカケラを一つづつ波に流すように
そして自分の心までも海の泡とともに消し去ろうかとするように・・・

遠いところから流れてきた流木たち





あてどなくただよう海草達

君は涙と悲哀と孤独と絶望で形造った舟で漕ぎ出すのだろか?

あの夏が残した恋の爪あとをオールにして

僕の傍においでよ・・・
傷を癒すことは出来ないけれど・・

せめて一緒に泣いてあげよう

人は哀しみが深いほど
真実の扉が見えてくるから・・・

僕の胸でおやすみよ

偽りの愛に惑わされずに、本当の愛を探しに行こう
心のコンパスが指し示す光を頼りにして・・・

過去の荷物は、海におろせば、波が全てを洗い流してくれるさ

涙で心を洗ったら
街の中へ戻っておいでよ

夏の暑さを残したアスファルトが
心地よい暖かさを残して君のことを待ってるよ

海の夕日は、淋しいけれども
都会の黄昏は明日への扉

君の傷が癒えるまで
僕が傍にいてあげるから・・・

この黄昏の中で
失くした夢や希望が見つかるように
君の心の翼になろう・・・

真実の愛が見つかるまでは・・・・

**********************************

私は、3年前のリュウとの出会いをぼんやりと思い出していた。


淡い間接照明が、シャンパングラスの中の泡を輝かせていた。



その泡をしばらく眺めてから、リュウが言った。

「今度の新曲、事務所が、俺にクリスマスソングを作れってさ


山下達郎さんのクリスマスイブのように毎年売れ続けるような
・・・」

といいうとシャンパンを一気に飲み干した。

「それと同時にCD発売日に握手会とサイン会だってよ

俺はアイドルか?俺は言っていたよな・・・つまらねえ大人にはなりたかねえ・・サラリーマンにはなりたかねえって。

でも事務所に所属し、歌の売れ具合で給料が変わり、上層部の言われたとおりの歌を作り、ヘラヘラと愛想笑いをし、俺の歌を流行歌だというだけで買っていく奴らと握手なんて真っ平だ
ぜ!!どうせ半年もすりゃ飽きちゃうようなファンとも呼べない奴らと・・・・俺は人寄せパンダじゃねえ!!

俺は・・・俺は・・・本当に俺を必要としてくれている、俺の歌にこめた気持ちがわかってくれるクラクション(仲間)達のために歌い続けたいんだ!!」

「結局、俺も今日で20歳。社会からみたら立派は大人だ。事務所から給料をもらい。サラリーマンと何が違うんだろう?」

彼はそういうとソファーの上で両手で足を抱えて頭をうなだれた。



私は、カクテルシェーカーを取り出し、おもむろに、リュウのためにショートカクテルを作るためにシェーカーを振り出し、カクテルグラスを彼の前においた。

「リュウ・・・見て・・・」


***********つづく***********

※この作品は、完全オリジナルフィクションで、写真はあくまでもイメージのために掲載しており、ストーリーとは全く関係ないことをご了承下さい。


恋愛小説「黄昏の街の中で~アーティストとの恋~」第1回

2007年10月30日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
★オリジナル小説「黄昏の街の中で」~アーティストとの恋~★

※本小説及びポエムの前文及び一部の引用掲載は固くお断り申し上げます※

初めて小説を書きます。
感想などコメでいただけるととてもうれしいです。

※注意 本文内に掲載している写真は、あくまでもイメージで、小説は、完全なるオリジナルフィクションです※

ただ、読んでいただけると私の恋愛感がわかってもらえるかな

かなり妄想が入っているのでご了承下さい





【黄昏の街の中で~アーティストとの恋】



ピンポーンコンコンコン
いつもの合図のドアをあける

雨に濡れ、かなり酔った状態のリュウが倒れこんできた。







右手にシャンパン、左手には小さなケーキ箱をもったままで。

「Happy birthday to me!!!」

少々ろれつのまわらない口調でシニカルな笑みを浮かべてリュウはそのふたつを私に差し出した。

「お・・お誕生日おめでとう
っていうかびしょぬれじゃない!!それ今日はCDの発売のイベントのあと打ち上げだって・・・」

まくしたてるように話し始めた私を彼の冷たい唇が、まるで「それ以上いわないでくれ」というかのようにふさいだ。

そっと彼を押し戻すと、彼がこきざみに震えているのに気がついた。

(また・・・彼は何かに傷ついたんだわ)

いつもは、何かに向って、輝いている、そしてするどい瞳は、今日は翳っていた。

私は、バスタオルをリュウに投げると
「とりあえず座っていて・・・何かだすから」
といい体の温まるホットのエッグ・ノッグを彼の前にだした。







神崎龍(かんざき りゅう)

15歳でデビューし、当初は、今のアイドルブームやバンドブームに押され、なかなか芽がでなかったが、路上での弾き語りやライブハウス等、彼のスタイルを崩さず活動をつづけてた。

彼のメッセージ性の強い曲、詞、歌い方に日頃は、無関心だった若者を中心に有線で火がつき、5枚目のシングル「黄昏の街の中で」でオリコンチャート一位

それから、彼の曲を街中で聴かない日はなくなった。

「なあ ミナ」

彼は、美菜穂という私の名をミナと呼ぶ。

「5枚目のシングルが売れなきゃお払い箱だって言われていた俺が、ヒットしたとたんにマネージャーは愛想笑い、プロデューサーは、ペコペコ。おれを邪魔者扱いしていた社長さえ・・・俺に気を使ってるんだぜ・・・・

大人社会、音楽社会ってそんなものなのか?」

彼はあえて嫌いな「芸能界」という言葉を避けた。

私は、リュウの持ってきたシャンパンにオレンジジュースを注ぎ「ミモザ」というカクテルに、ケーキと即席でつくったカナッペをテーブルに並べグラスをかるくあげて言った。




「20歳のお誕生日おめでとう」

「ありがとう・・ミナ。今日は、君と一緒に祝いたかった」

「ねえリュウ、このカクテルの名はミモザ・・・あなたのデビューシングルと同じ名前よ」

「ああ・・・ミナは言っていたよな。いつかリュウが売れたら絶対ミモザでカンパししようって」


「あの頃は、楽しかったよ。自分の思うままに、心から湧き出る言葉をノートに書きなぐり、ギターを片手に曲をつくり、路上で歌ったり、ライブでみんなで熱唱したり、手を伸ばせば俺の歌を本当に愛してくれる奴らと一緒に熱い空間、時間を作り上げていたから」



そういうとリュウはミモザを一気に飲み干した。

私はもうひとつのフルート型シャンパングラスにシャンパンを注いだ。

「シャンパンは、シャンパンを注いだときに、グラスの底から気泡があがってくる様子が、とっても綺麗でうっとりするでしょ
ひとすじの泡が綺麗に上にあがってくるのが、良いシャンパングラスなのよ。
シャンパングラスの中には、内側の底の部分に小さな傷をつけて、綺麗な泡を立ち上らせるようにしてあるものもあるの。わざとね・・・」

「リュウは、今までもたくさんの人に助けられ、でも時には、裏切られ、傷ついたこともあるよね。でもだからこそ他人の痛みがわかり、心に影をもち、なにかにおびえ、不安な気持ちを自分でだきしめている人たちの共感をよぶ歌が作れたんじゃないの?
このシャンパンの泡が、人々の心に感動を呼ぶように・・・・
私だって、私だって・・・リュウの歌が無かったら今頃生きていなかったわ・・・」

3年前・・・・当時愛していた人にふられ、身も心も傷つき、秋の誰もいない海を眺めているうちに、失った愛を求め、さまようように海に入っていった私を、海を眺めながら作詞をしていたリュウが見つけ全身ずぶ濡れになりながら助けてくれたのだ。



当時17歳だった彼に抱きかかえられ、砂浜に座らされた私に向かい、彼は、歌いだした。

  今はもう秋 誰もいない海
  知らん顔して 人がゆきすぎても
  私は忘れない 海に約束したから
  つらくても つらくても
  死にはしないと

  今はもう秋 誰もいない海
  たった一つの 夢が破れても
  私は忘れない 砂に約束したから
  淋しくても 淋しくても
  死にはしないと

  今はもう秋 誰もいない海
  いとしい面影 帰らなくても
  私は忘れない 空に約束したから
  ひとりでも ひとりでも
  死にはしないと

  ひとりでも ひとりでも
  死にはしないと
  ルルル ルルルル
  ルルル ルルルル

透き通ったそして少し寂しげなきれいな歌声だった。

「1968年(S.43)トワ・エ・モアが歌っていたうたなんだ。

http://www.hi-ho.ne.jp/momose/mu_title/daremo_inai_umi.htm

俺は、人の心にしみる詞を書き、自分の心の叫びを曲に載せて世に出したいんだ。」

車で来ていたという彼は、その後、また、自殺をしかねない私を心配し、マンションまで送ってきてくれた。

その夜、私は泣いた。

その日出逢ったばかりの無名のシンガーの胸の中で、体中の水分すべてがなくなるほど・・・・

泣き疲れて眠る私を、ずっとリュウは、髪をなでつづけてくれた。

朝日のまぶしさで目がさめると彼は、寝室にはいなかった。

耳をすませると、リビングからギターの音がかすかに聞こえた。

*******つづく********