スミマセン、これは本格ミステリーではありませんね。
でも、話の構成とか内容はミステリーそのものです。
シャーロック・ホームズや金田一耕助と同じぐらい有名な私立探偵フィリップ・マーロウ。
え、知りませんか? でも少なくとも亜 愛一郎よりは有名な私立探偵でしょう?
ここに上げた写真の様に、私が読んだのは村上春樹の訳による本です。
ハードボイルドというとキザで気取った言い回しのセリフがまず思い浮かびます。
この本はもちろんそういった洒落たセリフがふんだんに見られます。
でも、嫌なぐらいに鼻に付くといったことはありません。
タフガイ、私立探偵フィリップ・マーロウ。
こういった小説の主人公の第一の特徴とはヤワな男ではなくタフガイだということですね。
でも、タフガイといっても今でいう格闘技がめっぽう強く、どんな相手にも負けないというようなヒーローではありません。
時に殴られて気を失ったり、ブタ箱にぶち込まれたり、警官にいたぶられたりします。それでも面倒を引き受けるのが彼の仕事ですから逃げたりしません。
登場人物の多彩さと当時の社会情勢などをバックにした謎めいた殺人事件。
読んで思うのは、やはり物語を面白く読ませるためには構成が大切だということですね。
作家としてはそう恵まれてはいなかったようです。
死後に評価が上がって、今では世界中で愛されている私立探偵フィリップ・マーロウ。
クイーンやドイルのように古典として読む価値はあります。
くすくす笑ったりニヤッとしたりそしてワクワクしたりと楽しみながら読める大人の物語です。